“楽しむこともゲームの一部”とするチーフス、レイダース戦で特殊なプレーを披露
2023年01月09日(月) 14:48カンザスシティ・チーフスは今シーズン、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズが見せた素晴らしいプレーによって一度ないし二度、インターネット上で注目を浴びてきた。しかし、現地7日(土)に臨んだシーズン最終戦で、チーフスはこれまでにない新しいタイプのプレーを披露し、それが大きな話題となっている。
31対13でラスベガス・レイダースに勝利した試合の第2クオーターで、チーフスは第2ダウンをレイダースの9ヤードラインから開始しようとしていた。だがそのとき、選手たちは通常通りの流れでスクリメージラインに並ばず、ハドルを組んだまま数秒間ぐるぐると回転した後、即座にフォーメーションについてボールをスナップしたのだ。
この演出にアナウンサーが思わず笑ってしまったのも無理はない。このプレーでは、ランニングバック(RB)ジェリック・マッキノンが直接的にスナップを受けたあとに後方にいたマホームズにボールを戻した。それを受けてマホームズがワイドレシーバー(WR)カダリウス・トニーにパスを通してタッチダウンに成功している。そのため、これは当初、効果的なプレーのように見えていた。残念ながら、最終的にはホールディングのペナルティで無効になったものの、それでもこの試合に関する最大の話題の1つとなっている。
試合に勝利した後、このプレーについて質問されたマホームズは、チームには奇妙なセットアップで相手ディフェンスを混乱させるために作られたプレーがいくつかあると説明。ホリデーにちなんで“スノーグローブ”と名付けられた今回のプレーは、昨シーズンに発案されるも今週の試合で使われるまで脇に置かれていたものだったと話している。
マホームズは試合後の記者会見で「あれは実際に去年の練習でやっていたことで、混乱を起こしてからラインまで行ってスナップするというものだったんだけど、去年は実行する機会がなかったんだ」と語っている。「シーズンが戻ってきたときに、俺は(アンディ)リードコーチに“あれを違う形で復活させようぜ”みたいな感じで促した。前にやったときはボールが投げ返されなかった。もう一度、同じようなことをやって、同じようにタッチダウンを奪えるといいなと思っている」
試合後の記者会見で、リードHC(ヘッドコーチ)はマホームズやオフェンスに、相手ディフェンスを惑わせることを目的とするプレーを練習で生み出すことを許可していると述べた。また、練習中に“実験室”でプレーが生み出されるたびに、それを吟味してプレーブックに加える価値があるのかを判断していると明かしたリードHCはこうコメントしている。
「まあ、結果は見ただろう。あれが効果だ。少しだけ混乱状態を作ってから、相手チームに馴染みのない形で並ぶ。みんなうまく実行してくれた。最終的にホールディングの判定が出てしまったが、彼らはうまくやってのけた。選手たちはあれを楽しんでやっているから、ちょっと創造力を働かせればこういうことを思いつくのだ。だから、われわれはただ彼らに任せて実行させるだけだ」
プレーオフ進出とスーパーボウル出場に向けての戦いは真剣そのものであり、チーフスは土曜日に勝利したことでAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)第1シード獲得という主要なタスクを達成した。一方でマホームズは、試合を楽しむこともゲームの一部であり、今回のようなエンターテインメント性のあるエクササイズを行うことで長いシーズンを耐えられるようになるということをチームが理解しているのだと話している。
「俺たちは毎日出ていくたびにベストを尽くすけど、コーチは楽しむことも許してくれている。だからこそ俺たちは続けていけるんだ」と強調したマホームズは「俺たちは“外に出て練習し、そこで素晴らしい時間を過ごして楽しもう。でも、それと同時に偉大な存在になろう”という文化を築いてきた。それは自分がここに来る前からあったもので、この組織にいられて、毎日それをできることをうれしく思っている」と続けた。
【RA】