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2023年に向けての決断は「距離を置いてしっかり考えてから」とパッカーズQBロジャース

2023年01月10日(火) 12:14


グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Morry Gash】

グリーンベイ・パッカーズのクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースが4度のリーグMVPおよびスーパーボウルチャンピオンとしてすでにNFLの歴史にその名を刻んでいるのは確かだ。

しかしながら、19年目のシーズンにパッカーズに復帰するのか、それとも別の場所でプレーするのかという彼の将来に関しては、それほど明確ではない。

フットボールのゲームが終わったグリーンベイではこれから推理ゲームが始まる。ロジャースは戻りたいのか? パッカーズは彼に戻ってほしいのか?

両者は3年連続で不透明な状況を抱えながらオフシーズンを迎えることになる。過去2回はプレーオフのホームゲームで敗れた後だった。今回は現地8日(日)の夜にランボー・フィールドで行われたデトロイト・ライオンズとのレギュラーシーズン最終戦に20対16で負けた後となる。

ロジャースは親友でベテランワイドレシーバー(WR)のランドール・コブと肩を組みながらフィールドを去っており、終わりが近づいていることは避けられないように思えた。だが、ロジャースのボディランゲージを解釈しようとする場合はそれなりの自己責任が伴う。

ロジャースのゲームへの愛はフットボールフィールドを越えてメディアルームにまで及んでいる。彼は記者たちに対して抜け目なく、すべてを語ろうとしない態度をとることがあり、記者たちが予想し続けるのを楽しんでいるようにさえ見える。それでも一つ言えるのは、ロジャースはフットボールと同じくらい言葉を正確に扱えるということだ。彼は思案した上で発言し、自分の言葉の影響力を十分に理解している。

ロジャースにはこれからどうしたいのかすでに分かっているのかもしれないが、日曜日の夜には、そのことを考えるにはまだ気持ちの整理がついていないと話していた。ロジャースが今でもあらゆるパスを成功させられることは明らかで、彼がライオンズ戦で右サイドラインに沿ってWRロミオ・ドゥブスに出したディープパスはキャッチミスに終わったものの、あまりにも美しかった。とはいえ、ロジャースは身体能力以外にも検討しなければならない要因があることは承知している。

たとえば、ロジャースはこれ以上自分に対して証明するものがあると感じているのだろうか? 彼は新たなシーズンに向けてまた厳しい準備期間を経験したいのか? 別の選手がチームを率いる時期ではないだろうか? パッカーズは元1巡目指名のQBジョーダン・ラブが後を継ぐ準備ができていると感じているのだろうか?

試合後の記者会見でロジャースはこう語った。「距離を置いてそういったことをじっくり考えなければならない。すべて俺にとって重要なことだ。このリーグで成し遂げたことに誇りを持っているが、同時に俺は現実主義者でもあり、チームがどういう状況に置かれているかも理解している。俺たちは若いチームで、年長者の何人かに変化があるかもしれない。退くべき時が来たのかもしれない。でも、しばらく時間をおいたら“そんなことはない。もう1回フィールドに立ちたい”と思うかもしれない」

ロジャースとパッカーズが自問自答しなければならない真の問題は、彼らが言うほど競争力のあるチームに近づいているかどうかということだ。パッカーズはヘッドコーチ(HC)マット・ラフルアーの指揮下で、4シーズンで47勝を挙げ、安定して勝利を重ねることはできているが、最も重要な試合に勝てていない。チームは13勝した後にNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)のチャンピオンシップゲームで負けたことが2回あり、昨シーズンは13勝を挙げた後にホームでのプレーオフ開幕戦を落としている。

パッカーズは日曜日に、ランボー・フィールドでこれまで30試合中27敗しているライオンズと対戦したが、ホームフィールドというアドバンテージを生かすことができなかった。パッカーズは相手にファンブルとインターセプトを許し、得点を狙える状況でエンドゾーンにたどり着くことができなかった。

ロジャースが27回中17回のパスを成功させて稼いだのは205ヤード。これにより、ロジャースは先発選手として初めて、一度も300ヤードを達成することなくシーズンを終えることとなった。これは極めて重要な点と言えよう。通算6万ヤード近くを投げ、想像を超えるほど正確なパスを誇るあのロジャースが、最低限とも言える基準に到達できなかったのだ。

もしかしたらWRデイバント・アダムスの不在が影響し、若手のレシーバー陣を信頼していなかったのかもしれない。偉大なロジャースでさえも、周りの選手からいいプレーを引き出す存在になれないという事実に心理的に苦しんでいたのかもしれない。それは彼のような卓越した選手にとっては屈辱的なことだろう。

ロジャースいわく、あと何人か優秀な選手がいればパッカーズは優勝候補になれるという。だが、それを真に受けることはできない。もし彼らが思っているほどのチームでなければ、大きな変化が必要かもしれない。

「(パッカーズが復帰を望んでいるということを)当然の結論と考えるのは、おそらく少しばかり自己中心的な考えだろう。だから、すごく現実的な話として、いまの状況にはさまざまな要因が絡んでいるということを俺は理解している」とロジャースは述べている。「(シーズン中に)手詰まりになった場合、チームが若手を起用する可能性があることは意識していた。(将来に向けて)その可能性はまだあるだろう」

ロジャースは2023年シーズンに6,000万ドル(約78億9,300万円)を保証されている。どんな話し合いが行われるにせよ、主導権を握っているのはロジャースで、本人もパッカーズもそれを分かっている。唯一分からないのは、19シーズン目も両者の関係が続くかどうかだ。

もしパッカーズに残った場合、それは決して金額に影響されてのことではないとロジャースは言う。

「お金はエネルギーになる。俺はかなり稼いできたし、それを何年にもわたって提供してくれたこの組織にはとても感謝している。俺がそれにふさわしい選手だと思ってくれていることを願っている。でも、それを手放すことだってもちろんあり得る」

他のチームでプレーする可能性について聞かれた際にロジャースは肯定も否定もしなかった。

「“絶対”という言葉は好きじゃない」とロジャースは答えており、可能性が高くないことをほのめかすような発言とも捉えられる。

もし日曜日がロジャースの最後の試合になった場合、彼の最後のパスはライオンズの新人セーフティ(S)カービー・ジョセフにインターセプトされたことが歴史に刻まれ、前回の対戦でも2回インターセプトしているジョセフはロジャースに対して1シーズンで3回のインターセプトを成功させた初の選手となる。だが、これが本当にロジャースの最後のパスになるだろうか?

一つのゲームが終わり、別のゲームが始まった。

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