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QBゴフをつなぎ役だと見なしたことはないとライオンズGMホームズ

2023年01月11日(水) 15:43


デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ【AP Photo/Duane Burleson】

2021年にクオーターバック(QB)ジャレッド・ゴフがミシガン州に移ったのは、まさに彼が必要としていた動きだったのかもしれない。そして今、ライオンズが前に進んでいくにあたり、ゴフの存在が必要とされる可能性がある。

ゴフは2022年に質の高いシーズンをまとめあげた。パス成功率65.1%、4,438ヤード、タッチダウン対インターセプトが29対7、パサーレーティングは99.3を記録している。より重要なことに、ゴフはライオンズが2017年以来の勝率.500以上を記録してシーズンを締めくくる力となった。

その2つが合わさった結果として、また、ジェネラルマネジャー(GM)ブラッド・ホームズが2023年ドラフトに登場するクオーターバックに下す評価次第で、ゴフにはライオンズでの未来が拓かれるかもしれない。

ホームズGMは現地10日(火)に「このリーグではクオーターバックを今よりも悪くする方が、もっと良いクオーターバックを獲得するよりずっと簡単だ」と話した。

「ジャレッドが今年やったこととして、彼はリーダーとしてオフェンスでトップ3に入るこの船を導いていたし、ほとんどのパッシングカテゴリーの記録でトップ10に入っていたと思う。繰り返すが、われわれがドラフトにどうアプローチするかはご存知の通りで、われわれは決して優れたフットボール選手を退けることはない。したがって、われわれが本当に好きなフットボールプレーヤーがいるなら、われわれは隅々まで調べ尽くすつもりだが、ジャレッドは全員に彼がわれわれの先発クオーターバックであることを証明したと思う」

ホームズGMは火曜日に、ゴフをつなぎ役のクオーターバックとして見たことはないとも話している。ゴフはマシュー・スタッフォードをロサンゼルス・ラムズに送るトレードにおいて、その見返りとして2件の1巡目指名権、1件の3巡目指名権と共にライオンズにやってきた。ゴフはすぐにスタッフォードの代役に収まったものの、デトロイトの長期的な答えになるとの信頼感を周囲に与えたわけではなかった。

2021年は実際にその見方の通りの展開となり、ライオンズは3勝13敗1分と苦戦。2022年ドラフトで全体2位指名権を手にした(エッジラッシャーのエイダン・ハッチンソンを指名)。とは言え、適切な環境が整えば、ゴフに何ができるかがうかがえる瞬間も何度かあった。

そして、ゴフはそれを実際に証明してみせた。ゴフが率いた攻撃陣は試合平均パスヤードで6位、プレー平均パスヤードで5位に入るという衝撃の爆発力を見せている。守備陣のパフォーマンスが落ち込む中でライオンズ攻撃陣が船の沈没を食い止め、後半になって守備陣が改善していたときにチームは火力を発揮しだした。

シーズン終盤に敵地でカロライナ・パンサーズに敗れたことで、ライオンズは自力でのプレーオフ進出の可能性を失った。シーズン第18週にシアトル・シーホークスがロサンゼルス・ラムズを下したため、ライオンズはレギュラーシーズンをもってチームの戦いが終わることを知りつつグリーンベイ・パッカーズと対戦。ダン・キャンベルヘッドコーチ(HC)の努力の証として、置かれた状況はともあれ、ライオンズは相手の本拠地でパッカーズを倒している。ゴフは気温の低いランボー・フィールドでパサーレーティング85.9を記録し、ライオンズをポジティブな形でオフシーズンへと送り出した。

ホームズGMの決断が最終的にどういった形になるのかは、2023年にNFLにやってくるクオーターバックたちをGMがどれほど高く評価するかによる。2023年度の目玉選手としてはC.J.ストラウド(オハイオ州立大学)、ブライス・ヤング(アラバマ大学)らがいるが、今のところ、どの候補生もトレバー・ローレンスやアンドリュー・ラックがそうだったような、世代を代表する才能だとは目されていない。

そもそも、9勝8敗ではライオンズがトップクオーターバックを獲得できないと考える向きもあるだろう。それは正しく、ライオンズの指名順は全体18位となっている。しかし、ライオンズはゴフがやってきた際のトレードでラムズの2023年1巡目指名権も手に入れており、ラムズがスーパーボウル優勝の翌年に5勝12敗と落ち込んだことから、その指名順は6位になっているのだ。

ホームズGMがクオーターバックを求めるのであれば、今年はまたとないチャンスかもしれない。ライオンズはダン・キャンベル指揮下の2年目で大きな成長を見せており、攻守両面で重要なポジションに若手を配置することでチームへの期待は高まる一方、ドラフト順は1巡目の後ろに近づいている。

ゴフを維持する場合、これから2年間のそれぞれでおよそ3,000万ドル(約39億6,687万円)のサラリーキャップナンバーが生じることになる。6月1日が過ぎたあとにカットすることで2,500万ドル(約33億0,599万円)をセーブすることは可能だが、ゴフの後継者が低迷するようであれば、災厄のシナリオに突入する可能性がある。

ホームズGMが言うように、このポジションについては良くするよりも悪くする方がずっと簡単だ。ゴフにかかる3,000万ドルという費用は決して巨額というわけではないが、今のライオンズの希望からすればやや高すぎるかもしれない。2024年までとなっている現行契約の再交渉が、事態を解決してライオンズの決断をより容易にできるはずだ。

ホームズGMにはまた、最初の指名権でクオーターバックを指名してゴフの後ろに控えさせるという、両方の面で最良なシナリオを選ぶ道もある。

ホームズGMは「それにはメリットが多く、その背景には多くの保証があると思う。ドラフト上位で指名された選手の例には事欠かない。もちろん、パトリック・マホームズはすぐにトレードアップを促し、自らの力をしっかり発揮した。それに、われわれがちょうど戦った(パッカーズQBの)アーロン・ロジャースのような選手もいる。したがって、そういったアプローチを取ることには多くの保証があり、そこに問題があるとは思わない」と話した。

「主要なポジションであり――彼らは簡単に獲得できるものではない――、見つけるのが本当に難しい。前に言ったように、このポジションの選手は多くなく、良くするよりも悪くする方が簡単だ。しかし、ドラフトで獲得してじっくり成長させ、どうなるかを見ていくといった考え方を否定することはまったくない」

ライオンズにとってはあらゆる選択肢がまだ残っているようだ。ともあれ、彼らが久しぶりに絶望の内にいないというのは、一つの朗報だろう。

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