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TDを決めてSBで勝つ夢を見ていたチーフスMLBボルトン、「それが実現するのは非現実的なこと」

2023年02月14日(火) 14:51

カンザスシティ・チーフスのニック・ボルトン【AP Photo/Ross D. Franklin】

第57回スーパーボウルのMVPは最終的に――驚くべきことではないが――カンザスシティ・チーフスがフィラデルフィア・イーグルスを相手に38対35で勝利するのを立派にリードしたクオーターバック(QB)パトリック・マホームズに贈られた。

しかし、ミドルラインバッカー(MLB)ニック・ボルトンがそれを共有するに値するという正当な根拠がある。

守備面で陣頭指揮を執ったボルトンは、ゲームハイとなる9回のタックルを記録しただけではなく、試合序盤ではチームにとって間違いなく最も重要なプレー――第2クオーターでの36ヤードのファンブルリターンタッチダウンで14対14の同点に持ち込んだ――を決めた。

このプレーは最近、ボルトンの夢の中に出てきたものだったという。

「実は、ボールをすくって得点を決めてスーパーボウルで勝つ夢を見たんだ。たぶん2日前の夜とかにね。それが本当になるなんて、現実じゃないみたいだ」とボルトンは明かした。

その後の試合で両チーム合わせて45点の得点があったため、チーフスの守備コーディネーター(DC)スティーブ・スパグニョーロが試合後にチームのミドルラインバッカーが実際に得点を挙げたことを忘れていたとしても許されるだろう。

スパグニョーロDCは「実際にディフェンスで得点を挙げたのに、私はそれをすっかり忘れていた。あれは大きかった」と述べている。

とはいえ、スパグニョーロDCはディフェンシブタックル(DT)クリス・ジョーンズと共にディフェンスのアイデンティティの一部となっていたボルトンへの思いを決して忘れていなかった。

「彼のことが大好きだ。みんな彼のことを認めるべきだと思う。彼は長い間、いい選手であり続けるだろう」とスパグニョーロDCはコメントしている。

ボルトンは極めて重要な場面でファンブルリターンに成功した。それは14対7でリードしていたイーグルスがミッドフィールドを越えたばかりで、チーフス側47ヤードラインから第3ダウン残り1ヤードのプレーに臨んでいた場面だった。また、QBジェイレン・ハーツがほぼすべてのショートヤードのパスに成功していた中で、ガード(G)アイザック・シウマロのフォルススタートで第3ダウン残り6ヤードとなった場面だった。

このプレーで、ブリッツを仕掛けていたボルトンによってプレッシャーをかけられていたハーツは、ポケットから抜け出し、不可解にもファンブルを喫している。ボールは彼の足に跳ね返って数ヤード後方に飛んでいき、それをすくい上げたボルトンが試合の流れを変える得点を決めた。

スパグニョーロDCの中では、ボルトンがそうしたプレーを決めるのは偶然ではなかったようだ。

「いいか、どのような試合でも(ボルトンのような)ミドルがいなかったら本当に良いディフェンス、つまり堅実なディフェンスはできない」とスパグニョーロDCは強調している。「彼はうちのクオーターバックであり、そのように機能してくれている。彼は自分がやりたい特定のプレーについて、自分がクオーターバックであるかのように話してくる」

ボルトンは問題のプレーを分析し、次のように振り返っている。

「俺たちはただ5人体制のラッシュをしていた。彼らは最終的にセンターに寄っていたと思うんだけど、それでギャップに2人残されていた。だから、彼らは俺とクリスをブロックできなくて、俺はブロックされていない状態だったんだ。俺はボールをたたくことができた。それをすくい上げて得点できた。あれも非現実的な瞬間だったな」

驚くべきことに、ボルトンは試合中にもう一度リターンタッチダウンを決めそうになっていた。

チーフスは後半の最初のドライブで得点を決め、24対21と差を縮めた――そして、あっという間にリードを奪いそうになっていた。ハーツからパスを受けたランニングバック(RB)マイルズ・サンダースは、すぐさまチーフスのCBラジャリウス・スニードからヒットされた。1回目のチャンスと同じように、適切なタイミングで適切な場所にいたボルトンは、ルーズボールを拾ってエンドゾーンまで24ヤードを駆け抜けている。

ただ、それには1つ問題があった。そのプレーはレビューの結果、サンダースがボールをきちんと確保していなかったという判定が下されたのだ。ボルトンはこれに驚いておらず、「不完全なのは分かっていた」と話している。

それがカウントされていれば、ボルトンはタンパベイ・バッカニアーズの元ディフェンシブバック(DB)ドワイト・スミスと並んでスーパーボウルで守備選手として2回の得点を決めた選手になっていたはずだった。スミスは第37回スーパーボウルのオークランド・レイダース(現ラスベガス・レイダース)戦で2回のピック6を決めている。

試合を通してイーグルスが75ヤード、68ヤード、75ヤード、75ヤードのタッチダウンドライブを展開し、25回のファーストダウンを獲得していた中で、チーフスがディフェンス面で不安定になっている場面はあった。しかしながら、ワイドレシーバー(WR)カダリウス・トニーによる65ヤードのパントリターンにつながった3アンドアウトを含め、チーフス守備陣は適切なタイミングで十分なストップをかけることができていた。

最終的にスパグニョーロDCは試合のいくつかの場面でイーグルスに苦しめられたことを認めたが、その一方で、彼はディフェンスの戦いぶりを称賛している。

「彼らを高く評価している」と語ったスパグニョーロDCは次のように続けた。「多くの場面で、相手に圧倒されていたと思う。みんなのことも、彼らの後半の戦いぶりも誇りに思っている。少なくとも、パトリックがチームを優位に立たせられるような展開に持ち込んでくれた」

「最後にロングパスでタッチダウンを決められたのは気に入らないが、うちの選手がやっていたことのひとつは、ボールの反対側にいる選手たちを信じることだ。そこで踏ん張って数回止められたら、パトリックは相手より多くの得点を取る方法を見つけてくれる。今日、彼がそうしてくれたのはありがたかった」

最終的にチーフスに勝利をもたらしたのは確かにマホームズだ。しかし、ボルトンが試合序盤にタッチダウンを決めていない状態で彼らが勝利を目指せたかについて疑問を持つのは妥当だと言える。

ボルトンは「今はいろんな感情が渦巻いている」とコメントしている。「俺にとっては非現実的な瞬間だった」

【RA】