ニュース

チーフスTEケルシーが『サタデーナイト・ライブ』で司会者とコメディ役者を務める

2023年03月06日(月) 15:52


カンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー【AP Photo/Reed Hoffmann】

カンザスシティ・チーフスのタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーはアリゾナ州グレンデールにあるステート・ファーム・スタジアムの明るい照明の下でプレーした後、今度はニューヨークのスタジオの舞台照明の下で演技を披露しており、めまぐるしい一カ月を満喫している。

4度のオールプロに輝いているケルシーは2度目のスーパーボウル優勝からわずか3週間で、『Saturday Night Live(サタデーナイト・ライブ)/SNL』の司会者としてチャンピオンリングの代わりに何種類ものカツラをつけながらスケッチコメディに出演した。

ケルシーの陽気な性格は彼のフットボールの偉業と同じくらい有名で、冒頭の一人芝居に踊りながら登場したケルシーは観客の心をしっかりとつかんでいる。

「ここに来られてうれしい」とケルシーは歓声をあげる観客に語りかけた。「知らない人がいるかもしれないけど、俺は2度目のスーパーボウルを優勝したばかりなんだ。最高の経験だったけど、俺にとってSNLの司会を務められる方がもっとすごい。それは嘘だけど。嘘だよ、冗談だ。スーパーボウルで優勝する方がずっといいに決まっているだろ。でも、真面目な話、SNLから司会を依頼されて光栄だ」

チームメイトのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズのモノマネをした後にケルシーは家族のことに話を移した。

「今回のスーパーボウルで最もクールだったことは俺の家族全員がいたことだ」とケルシーは話している。「兄のジェイソンがプレーするフィラデルフィア・イーグルと対戦することができた。それに、俺たち2人よりも母親の方がテレビに映っていた。今夜は母も父も兄もみんなここにいる」

「スーパーボウルで兄を負かすのはどんな気分かとよく聞かれるんだけど、そりゃかなり気まずいさ。特に、試合の後は同じ車で一緒に家に帰ったからな。母親がミニバンで送ってくれたんだ。昔のようにね。前半で10点リードしながら負けてしまっても、兄は俺が優勝したことを本当に喜んでくれている」

客席に切り替わったカメラの先には仏頂面のジェイソンがいた。

構わず話し続けるケルシーはこの番組を見て育ったことを語り、司会者として「全力を尽くす」と約束した。

ケルシーは約束以上のことをやって見せた。彼はこの有名なスケッチコメディ番組の司会を務めてきた何人ものNFL選手の後をしっかりと引き継いだ。1977年にフラン・ターケントンが出演したのをきっかけに、トム・ブレイディやペイトンとイーライのマニング兄弟といった歴代のクオーターバックをはじめ、最近では2020年2月に元ディフェンシブエンド(DE)J.J.ワットが出演しており、その日はケルシーが最初のスーパーボウル優勝を果たす前日だった。

ケルシーは大根役者どころか、秋の日曜日にアローヘッド・スタジアムでプレーしているかのような自然体で現地4日(土)にコメディ番組の司会を務めあげた。

最初のコントでは、ケルシーはピンクのスーツときれいになでつけられたブロンドのウイッグを身に着け、アメリカの子どもたちがドールと一緒におしゃれやカフェを楽しむ店である『American Girl(アメリカン・ガール)』のドールカフェに登場。周囲の家族が大男を凝視する中、ケルシーは連れてきた2体のかわいらしいドールと一緒に(ウェイターに恐怖を感じさせつつ)カフェを満喫した。2つ目の場面では、ケルシーは護身のエキスパートであるカート・ライトニングに扮し、ブロンドのカツラは肩までの長さのものに変更。とんでもないメソッドによってコメディートリオ“Please Don’t Destroy(プリーズ・ドント・デストロイ)”のメンバーのうちの2人をノックアウトしたケルシーは、3人のインターンからコーヒーのカップを手渡される寸前のトリオに不意打ちで足払いをかけている。見事にまとめて倒れた3人にコーヒーが浴びせられたところで、この寸劇は幕を閉じた。

どんな役柄でも引き受けたケルシーは、自身の得意とするシチュエーションやフットボールフィールドを必要とすることなく、喜劇役者ぶりを発揮している。

5つ目のスキットにはゲストが登場。チーフスは金曜日にオフェンシブラインマン(OL)クリード・ハンフリーがこの番組に登場することを『Twitter(ツイッター)』でほのめかしていたものの、実際にやってきたのは別のセンターだった。

グラハムという名の男を演じていたケルシーは、アビーという名の一日限りの元恋人に再会する。グラハムが婚約したことを知ったアビーの目からは、涙が(ものすごい勢いで)流れだした。グラハムを演じるケルシーは、あまりにも滑稽な涙が飛び出す仕掛けに、何度か笑いをこらえきれない様子だった。しかし、ケルシーが本当に衝撃を受けたのは、その後にアビーが現在のボーイフレンドを紹介したときだ。その演者はなんと、2歳年上の兄ジェイソンだったのだ。

恋人が泣いているのを見たジェイソンはアビーに「この男」を殴ろうかと尋ねている。「絶対にできるから」と。

さまざまな役柄を演じ、歌声も披露したケルシー。2度のスーパーボウル王者は、数々の栄誉と記録を残してきた履歴書に「SNLの名ホスト」をつけ加えることができる。

【RA/A】