QBスミスとの契約が全体5位でQBを指名する妨げにはならないとシーホークスHCキャロル
2023年03月09日(木) 14:22シアトル・シーホークスは今週、3年最大1億0,500万ドル(約143億9,393万円)の契約で先発クオーターバック(QB)ジーノ・スミスを確保した。
しかし、この取引によってシーホークスがQBラッセル・ウィルソンのトレードでデンバー・ブロンコスから受け取ったドラフト全体5位指名権を使ってクオーターバックを指名できるという現実が変わるわけではない。
現地7日(火)、『Seattle Sports 710AM(シアトル・スポーツ710AM)』の“Brock and Salk(ブロック・アンド・ソーク)”に出演したシーホークスのヘッドコーチ(HC)ピート・キャロルはその真実を認めている。
チーム公式サイトによると、キャロルHCはドラフトで新人QBを指名する可能性について「その機会は間違いなくある」と述べたという。
「必要なことであれば何でもできるし、それは本当にエキサイティングなまったく別の議論だ。コーチも、スカウト担当者も、適切な選択をするために取り組んでいるところだ。全体5位で指名するとなると、これまで見てきた状況とは異なってくる。4種類の選択肢で何が起こるかを想像できるのだから、今回は本当に楽しい。さあどうしようかな?」
スミスが締結した契約の構造は、シーホークスがドラフト上位でクオーターバックを指名するのをためらわない可能性があることも示唆している。『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロが火曜日に報じたところによると、スミスの契約の基本額は1シーズンあたり2,500万ドル(約34億2,819万円)で、4,000万ドル(約54億8,510万円)が完全保証されているとのこと。スミスは初年度に2,800万ドル(約38億4,044万円)を受け取る予定で、契約には総額3,000万ドル(約41億1,476万円)のインセンティブが含まれている。つまり、スミスにとっては1年や2年でシーホークスと離別することになっても構わないような契約になっているのだ。
短期的な視点で考えたときに上位で指名することを計画していないシーホークスが、2023年中に将来のフランチャイズQBをチームに迎えいれて、1年間スミスの後ろで成長させるというのは賢明な判断かもしれない。NFLスカウティングコンバインで輝きを放っていたQBアンソニー・リチャードソンのような非常に高い潜在能力を持った選手は、そのようなタイムラインにフィットするだろう。
2012年に元QBマット・フリンに報酬を支払った後すぐにドラフト3巡目で指名した新人のウィルソンを先発に起用したフランチャイズは、QBポジションにドラマが起こることにひるまないはずだ。それは単純に賢明なビジネスになるのだろう。
少なくとも、シーホークスは知恵を働かせて自分たちがまだQBを求めて市場にいると他チームに思わせている。彼らはカロライナ・パンサーズやアトランタ・ファルコンズ、ラスベガス・レイダースなど、QBを必要としているチームにトレードアップしてシグナルコーラーを獲得する必要があると思わせることで、より多くの人材の獲得を検討する、あるいは独自のトレードバックシナリオを立てている可能性もあるのだ。
ドラフトがどんな展開になろうとも、シアトルにはスミスという安定したシグナルコーラーがいて、スミスとならスーパーボウルを制覇できると思っているキャロルHCは次のように話している。
「もちろんできるさ。彼は自分の役割を果たすだろう。私たちにはやるべきことがたくさんある。やり遂げなければならないことが山ほどあるし、決めなければならないことも多くある。現在進行形で今回の特別なドラフトも近づいてきている状態だ」
スミスとの契約を実現させたことで、シーホークスは2022年シーズンに頻繁に崩壊していたディフェンスを改善することを目標にフリーエージェント(FA)だけに注目できるようになっている。
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