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新契約について語るイーグルスQBハーツ、「お金は良いもの、チャンピオンシップはもっと良いもの」

2023年04月25日(火) 13:24


フィラデルフィア・イーグルスのジェイレン・ハーツ【AP Photo/Ashley Landis】

急速に成長を遂げ、エリートクオーターバック(QB)の仲間入りを果たしたフィラデルフィア・イーグルスのジェイレン・ハーツは先週、大型契約を締結した。しかし、ハーツはこの1週間、自分の報酬を計算するのに明け暮れていたわけではないようだ。

現地24日(月)、ハーツは「お金は良いものだ。チャンピオンシップはもっと良いものだ」と報道陣に話している。

ハーツの発言は、チーム第一主義、勝利至上主義、個人的な利益にこだわらないといった、フランチャイズクオーターバックの理想的な(そしてありきたりな)典型に合致している。とはいえ、彼が5年2億5,500万ドル(約342億1,271万円)の契約を結び、NFLで最も高い報酬を得る選手になったという事実を軽く扱うのは怠慢だと言えよう。ハーツは確かに正当な取り分を得ようとしている。

しかし、ハーツがどのようにその取り分を得るかは注目に値するはずだ。

ハーツの契約は多くの理由から理にかなっていたが、中でも特にタイミングが重要だった。ハーツはキャリア最高のシーズンを送り、イーグルスをディビジョンタイトルおよびカンファレンスタイトルに導き、スーパーボウル制覇まであと一歩のところまでけん引したばかりだ。3年前に行われたドラフトの2巡目で指名されたハーツの新人契約には、あと1シーズンしか残っていなかったため、2023年シーズン以降もハーツを確保しておく重要性が高まっているところだった。

一方で、QBラマー・ジャクソンがボルティモア・レイブンズと契約を結ぶ前にイーグルスがハーツの新契約を成立させられたことにはさらなる価値があったと言える。最も重要なのは、ハーツが1年前にデショーン・ワトソンがクリーブランド・ブラウンズから得た2億3,000万ドル(約308億5,853万円)に匹敵するような多額の保証金を求めなかったことだ。

ジャクソンの契約がいまだに成立していないのは、保証金に関する意見が一致していないことが主な理由になっているようだが、ハーツがワトソンと同等かそれ以上の金額を要求することはなかった。ハーツのロジックはシンプルであり、間違いなくフィラデルフィアでファンからの支持を得るだろう。

ハーツは「まあ、もちろん、周りの素晴らしいチームを見ていると、あまり詳しく言うつもりはないけど、素晴らしいチームや選手を見ていると、いろんな人の協力が必要なようだ。村1つ分くらいのね」とコメントしている。「去年を経て、まあ、最初の3年間もそうだけど、いろんな人と一緒にプレーできたことで、俺たちは特別なものを手に入れたと思っている。俺たちはみんな、それを長く続けたいと考えているから、そういうアプローチをとることが、自分にとって1つのポイントになっていた」

ハーツはすでに、期待に応えられない高給取りのクオーターバックが、いかにフランチャイズの足かせになりうるかを見たことがある。彼はイーグルスでそういう選手(カーソン・ウェンツ)の代わりに指揮を執るようになった。イーグルスのジェネラルマネジャー(GM)ハウイー・ローズマンはハーツが手頃な価格の選手だったこともあり、急速に軌道修正を図ることに成功している。

大型契約を手にしている現在、ハーツはローズマンGMの邪魔をするようなことがないようにしたいと望んでいるはずだ。昨シーズンにイーグルスがロンバルディトロフィー獲得まであと一歩のところまで近づいていなければ、特にそうだっただろう。

「俺は本当にゲームが大好きで、負けるのが嫌いだ」と語ったハーツはこう続けている。「チームスポーツである以上、誰かと一緒にやること、誰かと一緒に仕事をすること、みんなが1つの共通の目標に取り組み、最終的にその目標を達成しようとすることで、ある種のスリルや満足感を得ることができる。そのおかげで特別なものになっていると思うし、ここでの3年間で進化を遂げた部分だと思っている。自分たちが実現したいことという観点から見ると、それこそが将来に向けてつくりたい前例なのだと思う」

「旅はまだ終わっていないから、今は振り返りができるような時期じゃない。それは俺にとって本当に大変なことだけど、自分はこれまでに何度も困難を克服してきたと確信している。最終的にはいつもそのおかげでより強くなることができた。俺がやりたいことはただひとつ。可能な限り最高のプレーヤーになるために常に探求を続けることだ。限界はない。最高の自分になれるよう努力するだけ――最高の選手、リーダー、そして人になれるようにね。これが変わることは決してない。だから、これからもハードワークは続くし、炎は燃え続けるだろう」

NFLでの3年を経て、ハーツはドラフト2巡目指名されたところから、クラブの指揮を執る頼もしいフランチャイズクオーターバックへと変貌を遂げた。イーグルスはすぐにでも勝てるように構築され、今後何年もサラリーキャップの制限を受ける中で、競争力を維持するためにあらゆる努力をしている。ハーツは多額の報酬を受け取ることになったが、彼もまた自分の役割を果たしている。そして、ハーツはこれ以上ないほど幸せを感じているようだ。

「とてもうれしい。ものすごくありがたい」と強調したハーツは「3年前の今日、(イーグルスのオーナーであるジェフリー)ルーリー氏とハウイー氏は、誰もが理由を理解していない状況で、勇気を持って俺をドラフト指名してくれた。誰もその理由を知らなかった。今の自分に成長する機会を得ることだけでも、他の場所では不可能だったと思うし、これが他の形で実現していたことも想像できない。俺たち全員にとって、とんでもないチャンスなんだ」と続けている。

【RA】