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サンクスギビングデーとクリスマスにトリプルヘッダー

2023年05月12日(金) 15:18


デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ、ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット、ボルティモア・レイブンズのラマー・ジャクソン【NFL】

2023年NFLレギュラーシーズンのスケジュールでは、2つの祝日に魅力的なトリプルヘッダーが用意されている。

もちろん、デトロイト・ライオンズとダラス・カウボーイズはサンクスギビングデーにホームゲームに挑む予定だ――ファンは現地11月23日(木)に2つの古典的な地区対決を楽しむことができる。この日はシアトル・シーホークスがサンフランシスコ・49ersを迎え撃つ、もう1つのNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)対決――プレーオフの再戦でもある――で幕を閉じる予定だ。

また、クリスマスにも2つの地区対決が実現する。また、かつてスーパーボウルで激突したチーム同士の再戦も行われることになっており、NFLファンにとってはうれしいプレゼントとなるに違いない。

ここからはサンクスギビングデーおよびクリスマスのトリプルヘッダーで予想されることを説明していく。

サンクスギビングデーゲーム

グリーンベイ・パッカーズ vs. デトロイト・ライオンズ
会場:フォード・フィールド/デトロイト
日程:米東部時間(以下同)11月23日(木)12時30分【日本時間24日(金)2時30分】(シーズン第12週)

2023年のサンクスギビングは地区ライバルの関係を更新する絶好の機会になるだろう。昨季は、一方が不本意な形でシーズンを終えたのに対し、もう一方がポストシーズン進出まであと一歩のところまで迫るという好成績を残している。

まるで永遠のように感じられるほど長い期間の中で初めて、少なくとも理論上では、ライオンズの方が有利な立場となっている。昨シーズン、9勝8敗――地区ライバルとの対戦では5勝1敗――という予想外の好成績を収めたライオンズは、チームが最盛期を迎えようとしていると信じさせるのに十分な根拠をファンに示している。一方のパッカーズはいまだにクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースがニューヨーク・ジェッツに移籍したことで残されたピースを拾い集めているところだ。新たにリーダーとなったQBジョーダン・ラブは、健康であればキャリアで初めてサンクスギビングデーに先発出場することになる。しかし、パッカーズはこの祝日を迎えるまでにプレーする意味を見出すことができるのだろうか?

ライオンズはこの時期にプレーオフ争いの中心にいるつもりをしている。才能のある選手はそろっているものの、パッカーズがそのような状況になるには一部の人々を驚かせなければならないだろう。形勢逆転が待ち受けている可能性はあるが、各チームの立ち位置にかかわらず、この試合はパッカーズにとって突然有力になったように見えるライオンズに自分たちの実力を証明する機会となるはずだ。パッカーズが昨シーズンのライオンズのように新進気鋭の集団にならない限り、何年も苦戦を強いられてきたライオンズが輝きを放つことになるだろう。

ワシントン・コマンダース vs. ダラス・カウボーイズ
会場:AT&Tスタジアム/テキサス州アーリントン
日程: 11月23日(木)16時30分【日本時間24日(金)6時30分】(シーズン第12週)

過去60年にわたり熾烈なライバル関係にあるものの、現在は立場が大きく異なる2つのフランチャイズが、サンクスギビングデーに激突することになった。

1995年シーズン以来となるディビジョナルラウンド突破に望みを持ち続けているカウボーイズは、2023年シーズンを迎えるにあたって再びその可能性をアピールするだろう。QBダック・プレスコットを筆頭に、それを実現させるための人材がカウボーイズにそろっているのは確かだ。また、カウボーイズは充実した守備陣も擁している。

一方、コマンダースは2023年にQBサム・ハウエルかQBジャコビー・ブリセットにチームを率いてもらうつもりのようだ。ブリセットはクリーブランド・ブラウンズでは十分な活躍を見せていたが、コマンダースに高い潜在能力をもたらすことはないだろう。誰が先発を務めることになっても、ヘッドコーチ(HC)のロン・リベラは自分の立場がこれ以上危うくなるのを防ぐために勝利を重ねる必要がある。

この対戦は綿々と続いてきたNFLのライバル関係の歴史に則したものだが、コマンダースがカウボーイズに匹敵するレベルのパフォーマンスを発揮できるかは見ものだ。もしそうなれば、アーリントンの午後は楽しいものになるだろう。

サンフランシスコ・49ers vs. シアトル・シーホークス
会場:ルーメン・フィールド/シアトル
日程: 11月23日(木)20時20分【日本時間8日(金)10時20分】(シーズン第12週)

2022年にプレーオフのディビジョナルラウンドまで進んでNFL界を驚かせたシアトル・シーホークス。チームに対する注目は、サンクスギビングデーに試合が組まれたことからも分かる通りだ。例年行われるサンクスギビングトリプルヘッダーの3つ目の舞台として、シアトルが選ばれた。2023年にNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区がどういった展開を見せるかにもよるが、12月を迎えるに、この試合が実に重要なものになる可能性がある。

昨シーズンのシーホークスは下位での苦戦が予想されたチームから、ポストシーズンの切符を勝ち取るチームへと変貌(へんぼう)した。フランチャイズクオーターバックだったラッセル・ウィルソンをトレードしながらも、ピート・キャロルHCのクルーはジーノ・スミスと共に成功を見いだしており、スミスはこのオフシーズンに3年契約によってその功績を認められている。しかし、その成功は果たして1年限りのものとならず、2023年にも続けていけるものだろうか?

たとえクオーターバックポジションに疑問が残っていたとしても、サンフランシスコがすぐに表舞台から去ることはない。2022年の彼らはトップ2のクオーターバックを失いながらも、“ミスター・イレレバント”としてNFL入りしたQBブロック・パーディとともに次々と関門をくぐり抜け、スーパーボウルの戸口に手をかけていたのだ。自らが“レレバント”(重要)な選手であることを証明したパーディは、今年もチームにとって重要な人物になっている。ひじの手術からの復帰が、49ersのデプスチャートに大きな影響を与えるだろう。

とは言え、この試合が行われるのは11月の終わりのこと。パーディがフィールドに復帰するには、十分な時間がある。対するシーホークスはオフシーズンに堅実なドラフトを行っており、2023年にコンペティターの一角であっても、それはもう驚きではない。NFLのスケジュール作成者たちは、49ersとシーホークスの双方がNFC西地区争いで有力だと考えているようだ。

クリスマスデーゲーム

ラスベガス・レイダース vs. カンザスシティ・チーフス
会場:GEHAフィールド・アット・アローヘッド・スタジアム/ミズーリ州カンザスシティ
日程: 12月25日(月)13時【日本時間26日(火)3時】(シーズン第16週)

最も近いところでは特殊なプレーが行われたことが記憶に新しい地区ライバル同士のラスベガス・レイダースとカンザスシティ・チーフス。両者の次の対決はクリスマスにやってくる。ディフェンディングスーパーボウル王者は、チーフスキングダムにスペシャルなプレゼントを届けようと準備万端で試合に臨むはずだ。しかし、レイダースがその中身を石炭に変えてしまうかもしれない。

今やジミー・ガロポロをセンターの後ろに擁するレイダースは、トップ争いの一員に戻ることを目指している。ガロポロには爆発的な力を見せることが多いチーフス攻撃陣のペースに食らいつくというタスクが課されている。チーフス攻撃陣を率いるのは、2度のスーパーボウルMVPであるQBパトリック・マホームズだ。両者のライバル関係はAFL(アメリカン・フットボール・リーグ)時代までさかのぼる。楽しい休日ではあるものの、彼らが心の中にやすらぎや優しさを見いだすことは期待できないだろう。特に、ディビジョンタイトルがかかわってくるような状況では。

ニューヨーク・ジャイアンツ vs. フィラデルフィア・イーグルス
会場:リンカーン・フィナンシャル・フィールド/フィラデルフィア
日程: 12月25日(月)16時30分【日本時間26日(火)6時30分】(シーズン第16週)

フットボールファンの中にはこの対決をすでに見たような感覚を持つ人がいるかもしれない。ご明答。このディビジョンライバルたちが最後に対戦したのは今年1月、プレーオフのディビジョナルラウンドでのことだ。このときはイーグルスが勝利している。その試合によって、ジャイアンツにとって忘れがたいシーズンが幕を閉じている。誰もプレーオフ進出を予測していなかったチームが、スーパーボウルまであと2試合のところまで歩みを進めた。2023年のジャイアンツとしては、後退しないことが最も大きな課題になる。ジャイアンツにとって重要なのは、継続的な成長だ。

一方のイーグルスは第57回スーパーボウルの舞台に到達し、もう少しで勝てるところだった。彼らの目標はNFLカレンダーの最後の試合に始まり、そこで終わった。今回こそ、同じステージで勝利をつかもうと意気込んでいるだろう。

この試合は両者にとって、NFC東地区のみならず、カンファレンス全体でどういった位置にいるのかの指標になる。たとえ、いずれか、もくは両方がタイトル争いの有力候補になっていなかったとしても、アメリカ中のクリスマスツリーのそばでしか見られない、いつもの火花が散ることは間違いない。さあ、薪をくべよう。この炎が大きく燃え盛るのは、最初から決まっていることなのだから。

ボルティモア・レイブンズ vs. サンフランシスコ・49ers
会場:リーバイス・スタジアム/カリフォルニア州サンタクララ
日程: 12月25日(月)20時15分【日本時間26日(火)10時15分】(シーズン第16週)

このマッチアップは即座にハーボーボウル、つまり、第42回スーパーボウルの記憶につながる。ハーボー兄弟の一人、ジョンはいまでもボルティモア・レイブンズのサイドラインに経ち、一方の49ersは両チームが最後にスーパーボウルで対峙してからはじめて、チームを同じ大舞台まで導いたカイル・シャナハンHCに代替わりしている。

当時の主役たちはもういない。今も残っているのは、スーパーボウルでの対決以来、両者が互角であるという事実であり、過去2戦の対戦ではそれぞれが1回ずつ勝利している。2023年はAFC北地区とNFC西地区の対決のときであり、いずれのチームもポストシーズンに重要な意味を持つかもしれないこの試合で自分たちの価値を証明しようとしている。

両チームに才能と実績のあるコーチングスタッフがそろっている。ボルティモアはNFLで最高額のQBとなったラマー・ジャクソンを擁しているが、サンフランシスコで誰がクオーターバックをプレーしているかはまだ分からない。いずれにせよ、この試合はホリデーにぴったりな、おもしろい試合になるはずだ。

【RA/A】