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引退前にスティーラーズの一員となり、プレシーズンに“数回”ボールを運びたいとRBベル

2023年05月29日(月) 12:50


リビオン・ベル【AP Photo/John Munson】

ランニングバック(RB)リビオン・ベルは2019年にピッツバーグ・スティーラーズを離れてからずっと明らかだったこと――彼は決してそこを離れるべきではなかったということ――を認めた。

現地26日(金)、ベルはポッドキャスト『Steel Here(スティール・ヒア)』で過去に起きた評判の悪い契約論争について「ああ、あれはちょっとつまらないことだった。保証に関することだった。飲み込むことができたかって考えると、たぶんできただろうなと思う。きっとできたと思う」と語っている。

袂を分かつ前、ベルとスティーラーズの相性は抜群だった。ベルが在籍していた頃のスティーラーズの強固なオフェンシブラインは、リーグ内のどのユニットよりもランを妨害してくる相手を抑えることに長けていた。そして、忍耐力と爆発力を兼ね備え、ホールが塞がる寸前にリズミカルに抜けることができたベルは、スティーラーズ時代に合計で5,336ヤード、タッチダウン35回をマークしている。また、パスゲームでも脅威となっていたベルは、75回以上のキャッチを決めたシーズンを3度送った。

最終的に、2013年から2017年までの5年間で、ベルはプロボウルに3回、オールプロに2回選出されている。

そのようにして順調な関係を築いていたにもかかわらず、ベルのルーキー契約の終了とともに彼の価値をめぐって問題が浮上した。スティーラーズは2017年にベルにフランチャイズタグを指定。そのタグの下でプレーしたベルは、長期契約を提示されるという期待を胸に、プロとして最高レベルのシーズンを送ったが、両者が納得するような契約は実現しなかった。

ベルはポッドキャストで、スティーラーズが1年目だけを保証したいと望んでいた一方で、自分はもっと保証を欲していたのだと明かしている。また、それが原因で2度目のフランチャイズタグを指定された2018年に全試合を欠場することになったのだという。

「俺たちは行ったり来たりし続けた」と振り返ったベルはこう続けた。「まさに保証だった。彼らも俺もそれを譲らなかった。ピッツバーグを離れたくはなかった。結局のところ、そこが俺の居場所だった。ドラフトで指名された場所だからな。いろんなチームに行って、どんな感じか見て、チームが選手を抱えているとき、その選手はチームのメンバーになるということを実感した後はなおさらね。俺はピッツバーグのメンバーだったんだ」

2019年、ベルは自由に他のチームへ移ることができた。そして、ニューヨーク・ジェッツに入団したが、スティーラーズ時代と同じようにはいかなかった。

ベルはジェッツでの1年目に789ヤードとタッチダウン3回をマーク。当時、この成績は7試合以上に出場したシーズンとして過去最悪のものだった。その翌年は2試合しか出場できず、故障者リザーブ(IR)入りした後にリリースされている。

2020年シーズンの残りの期間と2021年シーズンにカンザスシティ・チーフス、ボルティモア・レイブンズ、タンパベイ・バッカニアーズを渡り歩いたベルは、どのチームのRBルームでも2番手にすらなれなかった。スティーラーズを離れた後の3年間では、出場した34試合中19試合しか先発しておらず、1,218ヤード、タッチダウン7回という記録にとどまっている。さらに2022年はチームに加入することができなかった。

月日が流れた現在、ネガティブな経験によって新天地を見つけることができていないベルは、自分をドラフトで指名したチームに対して何の恨みも抱えていない。

実際、もう一度NFLでプレーするとなった場合に、それはブラック&ゴールドでしか起こり得ないとベルは話している。

「正式には引退していない」と強調したベルは次のように続けた。「引退する日はピッツバーグと共に迎えるつもりだ。ピッツバーグと共に引退しようとしている。でも、そうする前に“なあ、プレシーズンに数回ボールを運ばせてくれ。そうしたら全員に何かを見せられるから”と言うかもしれない」

「スティーラーズではプレシーズンにちょっとだけ、よし、やってやるぞって感じになるだろうけど、他のところではそうならないと思う。だって、プレーすることすら考えていないからな。それが実現するのは文字通りピッツバーグだけになるだろう。俺の引退の地となるのはピッツバーグだ。言っている意味は分かるだろ。ただそれだけさ。他の場所にはもう行ったからな。そこはピッツバーグじゃない」

昨年9月にベルがボクシングの試合で倒したRBエイドリアン・ピーターソンが先週、メンタル的にはまだ引退する準備ができていないと認めたのと比べると、ベルが語る復帰は、心からの目標というよりも、虚栄心から来るものだと見受けられる。

ベルは今までの中で“最高の体調”であり、フィーチャーバックとして“試合平均100(ヤード)”を記録できるだろうと豪語しているが、31歳のベルはこの1年間、フットボールフィールドでのキャリアよりも、ボクシングのキャリアに集中していると一貫して主張してきた。

郷愁を誘う旅を楽しんでいたかもしれないスティーラーズファンは、その代わりに元オールプロRBがチームとの関係を改善したことに慰めを見出す必要がある。彼らはベルが再びユニフォームを着用する姿よりも、クラブと共に引退セレモニーを行う姿を見る可能性の方が高い。

【RA】