バッファロー・ビルズの新スタジアム着工を前に、オーナーのテリー・ペグラは空を仰いだ。前任者であり、チームの創設者であるラルフ・ウィルソンに言葉を伝えるために。

「ラルフ、通りの向こうへ引っ越すよ」というペグラオーナーの言葉に、そこに集まったウィルソンの妻であるメアリーさんを含む人々から大きな笑いが起こった。

「彼は何て言うだろうね、メアリー？　泣かないでくれよ。私も泣いてしまうから」とペグラオーナーは続けている。

2026年シーズンのオープンを予定している新スタジアムの起工式で、通りをはさんだ現スタジアムを背景に、ペグラオーナーとNFLコミッショナーのロジャー・グッデル、ニューヨーク州のキャリー・ホウクル知事が地面にスコップをいれた。このスタジアムの建設費用は15億4,000ドル（約2,093億2746万円）が見積もられており、そのうち850万ドル（約1億1,862万円）が税金から負担される。

1時間におよんだセレモニーは、30年のリースで今後使用することになる新スタジアムでの未来と、これまでの歴史とを祝福した。セレモニーは元のスタジアムの駐車場だったところにそろえられた建設器具に囲まれた状態で行われている。

メアリー・ウィルソンは式典の後、『The Associated Press（AP通信）』に「テリーの言葉は素敵でした。彼らのリーダーシップ全体がこれを実現させたのであり、バッファローはこれがどれほど素晴らしいものになるのか、知らなかったと思います」とコメントした。

ウィルソンは夫の死後、ビルズを当時のNFL最高額である14億ドルで売りに出した2014年に、初めてテリー・ペグラとキム・ペグラに出会った。

「信じられないことです。彼らは大きな波を作ろうとしています」

ビルズの現在のホームであるハイマーク・スタジアムは1973年にオープンしており、州の調査によってリノベーションの費用は高すぎると判断された。新スタジアムはビルズが健康保険会社である『Highmark（ハイマーク）』との長期契約を発表したのを受け、命名権を引き継ぎつつチームの第3のホームになる。

1960年にアメリカン・フットボール・リーグのフランチャイズとしてウィルソンが設立したチームであるビルズは、最初の13シーズンをバッファローの中心街にあるウォー・メモリアル・スタジアムで送った。

記事提供：『The Associated Press（AP通信）』

【A】