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“フットボールについて多くのことを学んでいる”とロジャースに感謝するジェッツQBウィルソン

2023年06月10日(土) 17:17


ニューヨーク・ジェッツのザック・ウィルソン【AP Photo/Seth Wenig】

2年間のチームでのプレーを見て、ニューヨーク・ジェッツはクオーターバック(QB)のザック・ウィルソンが自分たちを勝利に導くには不十分と判断し、2023年シーズンからアーロン・ロジャースと交代させた。

しかし、ウィルソンはロースターに残り、デプスチャートでロジャースの後ろに座っている。多くのクオーターバックはこのような考えに反発するだろうが、ウィルソンは違う。ロジャースの登場を、フットボール界の偉大な人物の一人から学ぶまたとない機会だと考えた。

現地9日(金)、ロジャースがジェッツに加入してから初めての記者会見で、ウィルソンは「面白いことだよね。もちろん、過去2年間、俺がもっと素晴らしいプレーをすることができて、違う展開になっていればとは思うよ」と語った。

「でも、俺はすべての出来事には理由があると心から信じている。アーロンは知っているけど、彼は俺がフットボールを始めたときから尊敬している選手だ。だから、俺は彼にとても感謝しているし、彼がどれほど俺を助けようとしてくれているか、本当にはっきりと言わなくてもわかっているんだ。彼は本当に素晴らしい友人であり、間違いなく素晴らしいクオーターバックだから、俺はフットボールについてたくさん学んでいるよ」

「彼だけでなく、(攻撃コーディネーター/OCの)ナサニエル・ハケット、(パスゲームコーディネーターの)トッド・ダウニング、オフェンススタッフ全員からね。本当に楽しんでいるんだ」

ウィルソンは2021年に全体2位指名でジェッツに加入し、フランチャイズの未来のQBとして期待された。しかし、このブリガムヤング大学(BYU)出身のパサーは、1年目のシーズンはケガのためにフィールドに留まるのに苦労し、2年目のシーズンも苦戦したため、チームはこのポジションを改善するために積極的に行動するようになった。競争に十分な質の高いピースを持っていることがチーム中心の若手選手によって証明されている以上、もはや忍耐は不可能だった。

ロジャースは、NFLのMVPを4回受賞し、ロンバルディ・トロフィーも持っているベテランで、次のタイトルを狙えるチームでの再出発を望んでいた。彼はジェッツをそのチームと決め、40歳の誕生日を迎えるにあたり、ジェッツへ行きたいという希望をグリーンベイ・パッカーズに伝えた。

ロジャースが来るということは、ウィルソンはその後ろに立って、ロジャースからできるだけ多くの情報を吸収するしかないのだ。2人は意気投合し、ウィルソンはチームメイトとして過ごした時間がすでに役に立っているという。

ウィルソンは「もちろん、俺もロジャースのポジションに立ちたいから、分かると思うけど、最初はそのことを喜べないこともあった。でも、チームが連れてきたクオーターバックが彼だったことに、非常に感激しているよ。このオフシーズンに彼と話していたんだ。今回の移籍が話題になる前のオフシーズンの早い時期から、彼と一緒にいたんだ。だから、いくらか一緒に時間を過ごすことができた。すべてがうまくいくのを見るのは、本当にクールだった」と話した。

「クオーターバックとして自分がどのような位置にいるのか、どうすればベストな状態になれるのかを考えなければならないし、今シーズンの多くの部分はそこだと思う。彼がもたらすもの、コーチのハケットとダウニングがもたらすものは、俺と俺の成長にとって本当に良いものになる。そしてこの攻撃陣も、もちろんね」

ジェッツがロジャースを獲得する前に、ウィルソンは新しいクオーターバックの人生を”地獄に落とす”と発言した。そうした展開にはなっていないようだが、ロジャースにとっては、それは良いことかもしれない。

気難しいことで知られるロジャースだったが、ジェッツでは新しい態度を取り、一見厳しそうなベテランから新しいチームの若返ったリーダーに変身し、金曜日には記者陣に「この6週間は、ここしばらくの間で一番楽しいくらいだった」とまで語っている。その6週間の中には、ロジャースの後を継いで、2021年のドラフト上位で指名した時に期待した選手になることを今も望まれているウィルソンとの交流も含まれている。

ロジャースはウィルソンについて、冗談を交えつつ「彼はとても素晴らしかった。毎日俺に地獄を味わわせてなんかいないよ。一緒にプレーをするのが楽しいし、彼が厳しい状況なのは分かっているから、俺は彼を賞賛したい。彼が経験したこと、昨シーズンのフラストレーション。人々から多くのことを言われただろうし、彼がソーシャルメディアをチェックしていたらと考えると、それに対処するのは、時には難しかったかもしれない。若い選手にとって、自信はとても大切なものだと思うんだ」とコメントした。

「だから、俺の仕事、ハックの仕事、ロブの仕事、トッドの仕事は、彼を励まし続け、自信を取り戻させることなんだ。でも、もし彼が一歩引いて、このオフシーズンに成し遂げたことを見て、俺がここに来た初日、初日ではなかったけど、その日からこの最終日までの彼自身の成長ぶりを確認することができたなら、信じられないほどよくやったと思う。彼にとって重要なのは、成長と学習で、その後、すべてを立て直すことだ。俺たちは彼の基本的な部分の一部を立て直したと思うし、彼がぴったりと正確にボールを投げ、良い決断をするのを見たことがあると思う。俺はそれが好きだ」

「素晴らしいことも起きたんだ。俺がふくらはぎを痛めて数日フィールドから離れていたとき、彼は多くのレップスに取り組む機会を得て、いくつかの失敗をし、その失敗から学んでいた。俺は彼と、チームに入って以来良い関係を築いてきた。フィールドの外でも一緒に過ごしたし、俺は彼をとても愛している。そして、彼が俺を歓迎し、大切に思ってくれるような対応をしてくれたことに、さらに敬意を表したい。そして、俺のポケットに入り込んで勉強していたこともね。たくさんの質問があった。ロッカールームでも、練習後のミーティングルームでもね。うれしかったよ。チームのために高いレベルでプレーし勝利に貢献するだけでなく、彼の時が来たときに準備ができているようにすることが、ここでの俺の役割の大きな部分を占めていると感じているから、その機会をとても楽しんでいるよ」

ウィルソンが伝説の選手から学ぶように、ロジャースはパッカーズからジェッツへ移ったことで生まれた新たな期待に応える準備をしている。ジェッツが本当に結果を出すまでにはまだ2ヶ月あるが、彼らは前向きな思考で夏休みを迎えようとしている。そして、最も重要なこととして、クオーターバックルームには嫌な雰囲気がない。

【AK】