コルツHCスタイケン、RBテイラーは「許可が出たときにプレーする」
2023年08月01日(火) 11:24インディアナポリス・コルツとランニングバック(RB)ジョナサン・テイラーの関係は驚くべき速さで崩壊していっているようだ。
キャンプ開始時にPUP(故障者)リストに置かれたテイラーが、短期間のPUPリスト入りと思われていたところから、チーム離脱を希望するまでに至るまで、時間はかからなかった。
現地30日(日)、複数の番記者たちがコルツはトレーニング前の身体検査で分かった背部の問題によって、テイラーを非フットボール故障者リストに置くことを考えていると報道。そうすることにより、テイラーは序盤6試合に出場できなくなる可能性がある。
この報道を受け、テイラーは背部の問題の存在を強く否定。コルツのヘッドコーチ(HC)であるシェーン・スタイケンは月曜日に行われたメディアセッションの場でテイラーの状況について詳しく述べることを拒否している。
『The Athletic(ジ・アスレチック)』によれば、スタイケンHCは「彼はただ、現時点で何らかのものに対処しているだけだ。そのことについて詳しく触れるつもりはない」と話したという。
また、『Indy Star(インディ・スター)』はスタイケンHCが「彼は今、このフットボールチームに在籍しているし、医療スタッフの許可が出れば彼はプレーする」と話したと伝えている。
月曜日のスタイケンHCのコメントとは裏腹に、両サイドはもう戻れない地点に近づいているように見える。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートは月曜日、“Inside Training Camp Live(インサイド・トレーニング・キャンプ・ライブ)”で次のように報じた。
「コルツが何らかの背部の痛みがあると考えているのは確かだが、ジョナサン・テイラーは確実にそれを感じていない。彼らがさかのぼって彼を非フットボール故障者リストに置くつもりだったのならば、負傷情報の開示に失敗した状態でそれをやる必要があった。彼らはテイラーが虚偽を申告し、フットボール外での負傷を開示しなかったと主張するつもりだったのかもしれないが、私の知る限りでは、そういったことは起こっていなかった」
「しかし、事態はそれほど複雑になっている。これほど厄介になっている。あるチームが彼らのベストプレーヤーとこれだけ公に対立する例は多くない。こういった先例は多くない。ここからどうなっていくかは見ていくが、橋は焼け落ちつつある」
単独で起こるものなどないため、テイラーの状況については今夏に話題になっているランニングバックの価値の低下と切り離して考えることはできない。テイラーはルーキー契約の最終年――今季の報酬は430万ドル(約6億1,384万円)――を迎えており、昨年にケガで有効性が抑えられていたため、最初の2シーズンでトップクラスの活躍を見せたテイラーにとって、2023年は非常に重要な年になっている。
コルツ攻撃陣で最高の選手の一人であり、確実にチームに必要とされているテイラーは、今以上に自分の影響力が強まることはないと分かっている。月曜日に飛び込んだ残念な知らせも、テイラーの立場を強化するばかりだった。コルツのRBザック・モスが練習で腕を骨折したとNFLネットワークのマイク・ガラフォロが伝えている。モスは6週間離脱する見込みであり、コルツのRBポジションはさらに手薄になった。
ただし、テイラーにとっても危うさがないわけではない。
今オフシーズンに示されたように、ランニングバックは現在のパス重視のNFLにおいて、必須の要素とは見られていない。チームはコミッティーでデプスチャートを埋めることもできるし、若い才能をドラフトし、高い報酬が必要になったときに同じサイクルを繰り返すことで、そのタイミングまではより安いレートでその選手に頼ることもできる。
テイラーとコルツオーナーのジム・アーセイは、土曜日にアーセイのバスの中で話し合いを行った。どうも、そのミーティングはうまくいかなかったようだ。ラポポートはテイラーがその話し合い後にトレードを要求したと伝えたものの、アーセイはこのニュースを好意的に受け止めていない。
テイラーはトレードを要求することで、今後数年にわたって自分をキープすることに関心を持つ雇用主の元に行けることに希望を持ちつつ、この状況をコントロールしようとしている。これまでのところ、コルツとテイラーの双方が強い姿勢を取ったことで、両者の溝は広がっているようだ。その溝を埋めるにはしばらくかかるかもしれない。仮に、埋めることが可能だとしての話だが。
【A】