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死亡事故を起こした元レイダースWRラッグス三世に懲役3年以上の実刑判決

2023年08月10日(木) 12:44


ヘンリー・ラッグス三世【Paul Jasienski via AP】

現地9日(水)、かつてラスベガス・レイダースでワイドレシーバー(WR)としてプレーしていたヘンリー・ラッグス三世に、ネバダ州の刑務所で少なくとも3年間服役することが宣告された。ラッグス三世は約2年前に市街地にて飲酒した状態でスポーツカーを運転し、最高時速156マイル(251.1km)を出した末に車と衝突して炎上を引き起こした事故で、女性を死亡させた罪に問われていた。

かつてNFLドラフト1巡目指名を受けたラッグス三世は、今年5月に飲酒運転による死亡事故の重罪および軽罪の自動車運転過失致死罪を認めた後、ラスベガスで判決を言い渡される際に「心から謝罪します」と述べている。この罪には6カ月の拘置期間が含まれており、3年から10年の刑期に組み込まれる。

現在24歳のラッグス三世は、2021年11月2日未明に事故を起こした後、入院している間にレイダースからカットされた。この事故でティナ・ティンターさんと彼女の愛犬マックスが亡くなり、ラッグス三世の車に同乗していた婚約者のキアラ・ジェナイ・キルゴ・ワシントンさんが負傷。2人の間には娘がいる。

ラッグス三世はこの事故が自分の家族やチームメイト、ティンターさん一家に与えた苦痛を挙げ、「弁解の余地もございません」と述べた。ラッグス三世は服役後に“危険なスピードでの運転や飲酒運転の危険性について”他の人々に助言するつもりだと話している。

ティンターさんのいとこであるデビッド・ストルバックさんが法廷で読み上げた声明の中で、ティンターさんの母親であるミリヤナ・コマゼックさんは、悲しみと寛大さ、“二度と彼女の額にキスをすることも、彼女をどれほど愛し、どれほど誇りに思っているかを本人に伝えることもできないと分かっていながら、彼女を抱きしめるのがどのような感じだったか”という思い出を語った。

コマゼックさんの声明には「ヘンリー・ラッグスが、彼の愛する娘が素晴らしい女性に成長するのを見守る機会に恵まれることを祈っています。そして、この恐ろしい事故が世界に前向きな変化を促すことを祈っています。私たち全員が、出会う人すべてが他の人の愛する人だということを忘れずに、互いに気を配り合うことの大切さを心に刻むことを祈っています」とつづられている。

クラーク郡地方裁判所のジェニファー・シュワルツ判事が判決を読み上げた際に、ダークスーツに白いシャツ、青いネクタイ姿のラッグス三世が裁判所職員に手錠をかけられるところを、キルゴ・ワシントンさんや友人たち、支援者たちが見守った。その後、ラッグス三世は連行されている。ラッグス三世は事故直後、身柄を拘束されておらず、自宅謹慎を続けていた。

判決に先立つ法廷提出書類の中で、ラッグス三世の弁護士であるデビッド・チェスノフとリチャード・ションフェルドは、アラバマ州モンゴメリーの高校の管理者や教師たちからのラッグス三世を評価する手紙および、民主党のアラバマ州議員フィリップ・エンスラーからの証拠を提出した。

弁護士たちは判決前の覚書で「ラッグス氏はとんでもない過ちを犯した善良な人物だ。自責の念は深く、誠実なものだ」と述べている。

ラッグス三世の司法取引は裁判を回避。ラッグス三世が事故後に現場で飲酒検査を受けていない上に、ラッグス三世の血液アルコール検査が病院で適切に行なわれなかったと弁護士が主張したことから、クラーク郡のスティーブ・ウォルフソン地方検事は有罪判決には障害があると述べていた。

民主党員のウォルフソン地方検事によると、この血液検査はラッグス三世が事故当時アルコールの影響下にあったことを示す“事実上”唯一の証拠だったという。この検査では、追突事故でティンターさんのトヨタRav 4が炎上した後、ラッグス三世の血中アルコール濃度がネバダ州の法定制限値の2倍にあたる0.16%であったことが判明した。

ラッグス三世の大破した2020年型シボレー・コルベットでは、キルゴ・ワシントンさんも負傷している。検察によると、ラッグス三世は足を負傷し、キルゴ・ワシントンさんは腕を負傷したとのこと。キルゴ・ワシントンさんは事故の被害者でありながら検察に協力的ではなかった。

ウォルフソン地方検事は、ラッグス三世が有罪判決を受けた場合、最低2年の禁固刑が科され、50年以上の刑に処される可能性があると述べていた。また、ウォルフソン地方検事はラッグス三世がスポーツエンターテインメント会場やゴルフ場で友人たちと数時間酒を飲み、キルゴ・ワシントンさんと帰宅する前にさらに数時間、友人宅にいた可能性があるとも明かしている。

ティンターさんはセルビアからの移民であり、友人や家族によれば、ラスベガスの高校を卒業して、コンピューター・プログラマーになることを夢見ながらスーパーマーケット『Target(ターゲット)』の店舗で働き、アメリカ市民権の取得も間近だったという。家族の声明には、愛犬のマックスはティンターさんの親友だったと記されている。

ティンターさんの遺族の代理人を務めるファルハン・ナクビ弁護士は法廷の外で「この判決でティナさんが戻ってくるわけではない」と述べている。「私たちが何よりも望んでいるのは、飲酒運転や無謀運転による死亡事故が防がれることだ。それは人生を崩壊させる。家族を壊してしまう」


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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