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1月の悲劇から“驚異”の試合復帰を果たしたビルズSハムリン

2023年08月13日(日) 19:38


バッファロー・ビルズのダマー・ハムリン【NFL】

バッファロー・ビルズのセーフティ(S)ダマー・ハムリンの見事な復活劇にまた素晴らしい章が加わった。現地12日(土)、25歳のハムリンは今年1月2日(月)のシンシナティ・ベンガルズ戦で心停止を起こして以来となるNFLゲームへの出場を果たした。

ハイマーク・スタジアムでビルズはプレシーズン第1週にインディアナポリス・コルツに勝利を収めた。その試合でプレーしたハムリンは24回のスナップに加わり、3回のタックルを記録している。

「楽しかった。最高に楽しかったよ。素晴らしい経験だった。また新たなマイルストーンで、フットボールに関する限り元の自分に戻るためのステップアップだ」と試合後ハムリンは話した。「ちょっとずつ木を削っていって、倒そうとしているんだ。懸命に、一歩一歩ね」

本人は試合を楽しかったと評したが、ビルズのヘッドコーチ(HC)ショーン・マクダーモットはもう少し強い感慨を抱いたようだ。

「われわれが今目撃したものは驚くべきものだよ」と彼は述べた。「本当にそうだ。1人の若者の勇気の証明であり、ここまで彼に手を貸してきたすべての人々の勇気の証しでもある。今日そこで行われていたのがフットボールの試合だというのは分かっているが、それは本物の勇気と強さ、そして信念が表れたものだったと思う。ダマーとは昨夜、少しばかり連絡を取るチャンスがあり、彼は準備ができていると私に請け負い、自分のやってきた準備と神を信じていると言っていた。それは彼の人となりをよく表していると思う」

「昨シーズン終了後、初めてダマー・ハムリンがフィールドに戻ってきた」

第1クオーターの残り11分38秒で、ハムリンはビルズのキックオフチームの1員として最初のアクションを見せた。

コルツの2回目の攻撃ドライブで彼は初めてディフェンシブスナップに参加した。集団に飛び込むのにためらいを見せなかったのは良い兆候だ。

「あのラインの間に入る時は、ためらったり遠慮したりすることで自分をリスクにさらすことになる」とハムリンは説明する。「だから俺はプレーすることを選んだ。他の誰でもなく俺の選択だ。それによってどうなるかは分かっている。クリーツのひもを結び、ヘルメットをかぶってショルダーパッドを付けたら、俺はためらいなく行く。ここはそんなふうにプレーできる場所じゃない。ためらえばもっとリスクを負うことになるんだ。俺はあまり考え過ぎず、自分が弟の年齢だった頃から教えられてきた通りに自分のゲームをプレーしただけ」

第3ダウン残り2ヤードのビルズの41ヤードラインから、ハムリンはコルツを抑えるためにエッジから抜け出し、続く第4ダウン残り1ヤードの場面ではノーゲインでランニングバック(RB)エヴァン・ハルをタックルしてターンオーバーに持ち込んだ。第1クオーター終盤にはソロを含めて連続タックルを決めている。

「あれで明らかに肩の荷が下りたよ」と最初のタックルについてハムリンは言う。「これからも毎試合そうだと思う。でもこういう状況になる前から、最初のコンタクトまではみんな不安を感じているものさ。全アスリートに共通のものだ。それは自分が人間なんだってことを教えてくれて、その瞬間を生きていることを感じさせてくれる」

2021年NFLドラフトでビルズから6巡目指名を受けたハムリンはルーキーとして14試合に出場し、2022年は最後に恐ろしい発作に見舞われるまでは13試合に先発してタックル91回を決めていた。

ハムリンは1月の試合でベンガルズのワイドレシーバー(WR)ティー・ヒギンズとの接触によって心臓振とうを起こし、心停止した。心臓振とうはちょうど心臓の拍動リズムを妨げてしまうタイミングで胸部に鈍い衝撃を受けることで起こる。

ハムリンはフィールド上でCPR(心肺蘇生)を受けた後に救急車でシンシナティ大学医療センターに運ばれ、1週間近く重体だった。バッファローの病院に移送されてさらなる治療を受け、1月11日(水)に退院。

土曜日までに彼は4月にフットボール活動再開を許可され、6月にチーム合同練習でドリルに加わり、過去2週間はトレーニングキャンプにフル参加するという経緯をたどってきた。

おのずと、次のステップはレギュラーシーズンでのフィールド復帰となろう。ビルズの2023年シーズンは9月11日(月)、ニューヨーク・ジェッツとの試合でスタートする。

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