QBトラスクは“先発レベルの才能”とバッカニアーズOCカナルス
2023年08月26日(土) 17:51タンパベイ・バッカニアーズのクオーターバック(QB)争いは、予想通り今週初めにベイカー・メイフィールドが先発に指名されることで終わった。メイフィールドがバッカニアーズと1年間のインセンティブ付き契約を結んだ瞬間に予言されていた結果だった。
しかし、誰が見ても、カイル・トラスクは予測可能なQB争いをサプライズに変えるためによく頑張った。
現地24日(木)、攻撃コーディネーター(OC)のデイブ・カナルスは、チームの公式サイトを通じて「ああ、間違いない。われわれはすべてを映像に残しているため、先発として数試合プレーする選手か、それとも控えとして数試合プレーする選手かにかかわらず、プレシーズンでプレーした全クオーターバックの映像を見ることができる。カイルの映像を見ると、どの試合のどのパスであっても、これは本物の才能、クオーターバックの先発レベルの才能を持っていることがわかる。彼はポケットの中で(冷静さを)持ち、正確で、いい時も悪い時も、全体を通してすぐに立て直せる冷静さを保っている。とてもクールだ」と話した。
先週のニューヨーク・ジェッツ戦でのスナップ58回を含め、トラスクはプレシーズン最初の2試合で大活躍。3年目のQBは全部でパス38本中26本(68.4パーセント)成功、317ヤード、タッチダウン1回、インターセプト1回という記録を残した。他の若手QBと同様に浮き沈みはあったが、トラスクが面目を失うことはなかった。ポケットでの落ち着きは予想以上で、素晴らしい腕を持っているのだ。
カナルスによると、メイフィールドを先発に指名したのは経験があったからだという。
カナルスは「2人ともポジティブな点がたくさんあったが、ベイカーがこれまでやってきたことを考えたんだ。キャンプ中盤、カイルは真価を発揮した。ベイカーはプレッシャーを感じ、キレがない日が何日かあった。しかし彼はそれを好転させ、プレシーズン初戦では2、3のドライブで素晴らしいプレーを見せ、われわれを引っ張り、タッチダウンを決め、コミュニケーションもスムーズだった」と語った。
「ジェッツ戦までの翌週、彼は練習に参加して、”こいつと一緒にいると落ち着く”と感じさせたんだ。すべてがスムーズに進んでいる感じだった。試合ではカイルが素晴らしいプレーを見せてくれた。幸運だったのは、カイルに実力を示すチャンスを与えずに先発を決めなかったことだ。ロッカールームでもコーチングスタッフでも、ファンベースでも、どこに行ってもリスペクトされているカイルは本物だ。第1週を迎えるクオーターバックの状況について、これ以上いい気分はない」
行間を読むと、評価は最初からメイフィールド有利に傾いており、それを覆すのは内部での大きな変化だけだったことがわかる。
トラスクのプレシーズンでのプレー、そしてコーチ陣からの熱烈な評価により、興味深いうわさが発生している。もしスタッフがトラスクに関して言っていることが本当で、そしてそれらがただの幻想でなければ、メイフィールドがシーズン序盤につまずきチームが苦戦するようなことがあれば、迅速なQB交代もあるかもしれないということだ。
メイフィールドに懐疑的な人が多いことに驚いているのか、と聞かれたカナルスは次のように答えた。
「紆余(うよ)曲折があったのだから、ある程度は当然だと思う。どんな事情があったにせよ、それが現実なんだ。肩の問題もあった。われわれ全員が見てきたことではあるが、彼のキャリア全体を見てみると、全体1位指名で、(彼は)これが自分の予想通りだったとは言わないだろう。懐疑的な見方は当然だと思うが、それについては気にしない。私が気にするのは“このプレーは何なのか、ボールはまずどこに行くのか”といったことだけだ。“このランプレーは何なのか、ここでベストなプレーをしてくれ”、と願う。彼はそれらすべてを見事にやってのけている。私としては、彼が攻撃陣を引っ張ることに安心感がある。彼が自分以外の誰かに何かを証明しなければならないと思っていないことを祈るよ」
カナルスの評価は正しい。メイフィールドは特にプレッシャーのかかる場面で苦しみ、それによっていくつかのクラブから放出されている。また、メイフィールドがバッカニアーズで大活躍して自身のキャリアを復活させれば、そんなことはどうでもいいというのも間違ってはいない。しかし、カナルスは何も言う必要はなかった。彼はただ、”どの選手もメディアのあなたたちに疑われているが、われわれはベイカーを信頼している”とでも言えばよかったのだ。
メイフィールドにとって、自身がNFLの先発であることを証明する最後のチャンスになる。実際に証明するのは彼自身だ。もしメイフィールドが再び苦戦するようなことがあれば、トラスクが最初のチャンスを待つことになるだろう。
【AK】