オフシーズンに複数年契約を締結していたペイトリオッツHCベリチック、今季中に解雇される可能性は低いとの見方
2023年10月23日(月) 13:24近年のNFLで最も成功したヘッドコーチ(HC)であるビル・ベリチックは忘れがたいシーズンを送っている。
かつてタイトル争いの常連だったベリチックHC率いるニューイングランド・ペイトリオッツは、シーズン第7週を迎えるまでの時点で1勝5敗と、フランチャイズにおける6試合を通しての結果として、ベリチックがペイトリオッツのヘッドコーチに就任する以前の1995年以降で最悪の結果を残していた。問題をさらに深刻にしていたのは、ペイトリオッツが3連敗を喫している上にその間にわずか20点しか得点できておらず、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区でトップに立つマイアミ・ドルフィンズに4ゲーム差をつけられていたことだ。シーズン第7週に行われたバッファロー・ビルズ戦で勝利を収めたことで、ペイトリオッツの戦績は現在2勝5敗となっている。
2023年はベリチックHCがペイトリオッツで過ごしてきた24シーズンの中で最悪のシーズンになりそうだが、これが彼の最後のシーズンになるのだろうか。ペイトリオッツがオフシーズンに下した決断が何らかの兆候になっているとすれば、ベリチックHCの退団が間近に迫っている可能性は低い。
現地22日(日)、ベリチックHCがオフシーズンの間にペイトリオッツとひそかに高額な複数年契約を結んでいたと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが『NFL GameDay Morning(NFLゲームデー・モーニング)』で伝えた。
「彼の契約はニューイングランドで最も秘密にされていることの1つだ。とはいえ、少なくとも彼をめぐる不確実性や陰謀があったのは事実だろう」とラポポートは説明。「今、契約上、彼は長期的に確保されている」
ベリチックHCの以前の契約がいつ切れるのか、そして新契約がいつまで続くのかは不明だ。しかし、1つだけ明確なことがある。それは、オーナーのロバート・クラフトとペイトリオッツの組織が現在71歳のベリチックHCを当面の、そして長期的な指揮官として想定しており、今季中にベリチックHCを手放す気はないということだ。
ペイトリオッツのジェネラルマネジャー(GM)でもあるベリチックHCの契約を延長するという決断は、ペイトリオッツが2023年にひどいスタートを切ったことを踏まえると驚きかもしれないが、チームを6度スーパーボウル制覇に導いた経験を持ち、生ける伝説とも言えるベリチックHCがいくつかの点で歴史に名を残そうとしていることを考えれば納得できるだろう。
ベリチックHCは現在、NFL史上3番目のレギュラーシーズン勝利数を誇る。シーズン第3週にニューヨーク・ジェッツに勝ってからは白星から遠ざかっていたが、シーズン第7週にようやく新たな勝利を収めた。殿堂入りした元HCドン・シュラが持つ歴代最多レギュラーシーズン勝利数(328勝)を追い越すにはあと29勝だ。
NFLのヘッドコーチとしてベリチックHCが征服すべき山は残り少ないが、ペイトリオッツの指揮官がシュラの記録を塗り替える――あるいは、少なくともジョージ・ハラス(レギュラーシーズン318勝)を追い越す――つもりならば、あと数シーズンは粘る必要がある(現在のペイトリオッツのペースであれば、数シーズンでは達成できないかもしれない)。
ペイトリオッツのコーチングスタッフには後継者候補のビル・オブライエンとジェロッド・メイヨがいるが、ベリチックHC率いるペイトリオッツが1989年から1993年以来となる連続負け越しシーズンを送る可能性がある中で、クラフトをはじめとする首脳陣はNFL史上最高のコーチの1人であるベリチックHCにどれほど忍耐強く接するつもりなのだろうか。ベリチックHCの契約延長からはかなりの忍耐強さがうかがえる。
【RA】