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シーズン第7週で復帰する“準備は整っていなかった”と認めたブラウンズQBワトソン

2023年10月27日(金) 12:01


クリーブランド・ブラウンズのデショーン・ワトソン【AP Photo/Michael Conroy】

クリーブランド・ブラウンズのクオーターバック(QB)デショーン・ワトソンが抱えている右肩のケガの状況については、多くの人が一度は疑問を抱いたはずだ。

そのケガが原因で、ワトソンはまたしても欠場を余儀なくされている。ワトソンは現地29日(日)に行われるシアトル・シーホークス戦を欠場する予定だ。しかし、これまでとは異なり、ワトソンには先週から少しずつ明らかにされてきた自身の状況について、話す機会が与えられている。今回は、完全に健康とは明らかに言えない状態にもかかわらず、短期間で復帰したという事情も加わっている。

具体的に言うと、シーズン第7週に勝利したコルツ戦で復帰を果たすも、当時は不可解に見えた状況で退場したワトソンは、復帰を急ぎすぎた可能性があると認めた。

復帰時期が早すぎたのかと質問されたワトソンは「分からない。腱板の(復帰までのタイムライン)は通常4週間から6週間だ。あの週はプレーするチャンスがあると感じていた。ちょうど3週間か4週間というところだった。単に、試合に出て、最後まで完全にプレーするための体力とか、そういうものがなかったんだ」と答えている。

実際に、ワトソンは最後までプレーすることができず、大きなヒットを受けて肩を地面に打ちつけた後、第1クオーター中に退場。脳しんとうと診断されたワトソンはそのプレー後に出場が許可されたが、復帰はしなかった。ヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーは試合後、ワトソンを“守る”ためにベンチに座らせていたと報道陣に明かしている。

この試合でワトソンはひどいインターセプトを1回喫した。その後、2度目のインターセプトを喫したと思われたが、このプレーはリプレーレビューでターンオーバーの判定が覆っている。

本人が振り返っているように、ワトソンもブラウンズもこのような結果を予見すべきだったのかもしれない。

ワトソンはシーズン第7週前の練習にフル参加していたことについて、「金曜日に完ぺきな状態だと感じていたとか言うつもりはない」と話し、こう続けている。

「俺はコンペティターだから、押し通した。もう十分な状態だと思っていた」

「同時に、現実を理解しなきゃいけない。現実では、練習はものすごく管理されていた。特に金曜日はね。ファストフライデーと呼んでいるのには理由がある。実際は、実戦に挑む日曜日に試合に出てみないと分からない。一球ごとに考えるんじゃなくて、反応できなきゃいけない。どこにボールを投げるのかも、どうやって投げるのかも分からない。哲学、スピード、テンポで決まる」

基本的に、ワトソンは休養期間と健康状態が100%でないことによってもたらされる錆(さ)びついた感覚について説明している。後者は、コルツ戦の第1クオーターに嫌というほど表れていた。それまで1カ月近く試合に出ていなかったワトソンは、腕の強さに欠け、試合のスピードに圧倒されているように見えた。(ワトソンの健康状態と能力に対する)信頼も、決定的に欠けていた要素だったのかもしれない。そのような環境では、クオーターバックは信頼と自信の欠如によって悪い方向へ追い込まれてしまう。

その後、シーズン第8週にワトソンを欠場させる決定が下され、ベテランバックアップのP.J.ウォーカーがシーホークス戦で先発を務めることになった。シーズン第7週に出場したことがケガを長引かせる原因になったかどうかについて、ワトソンもステファンスキーHCも詳しく語らなかったが、ステファンスキーHCは水曜日に、ワトソンの投球側の肩に腫れが残っていることを認めている。

前回の試合でプレーしたことがケガの悪化につながったのではないかと問われたワトソンは「分からない。そうなのか、そうじゃないのかは分からない」と返答。

「それと同時に、先週の俺は100%の状態じゃなかった。だから、すでに言った通り、試合に出てみて、投げられるか、プレーできるかを判断するためのプロセスを踏むだけだ。準備できていると思っていたけど、できていなかった。あのとき、ヒットを受けて、同じところに打撃を受けてしまった。最後のプレーで芝生に倒れたときにね。同じシチュエーションでバーンと当たった。ちょっとショックだったよ。だから、もしかしたらそうかもしれない。分からない」

この一進一退の不安的なプロセスは、ブラウンズファンにとっては苛立たしいものだろう。リーグの個人行動規範に違反したとしてシーズン開幕から11試合の出場停止処分を科された2022年シーズンを終え、ようやくワトソンがフルで出場できると期待していた人々にとっては、なおさらじれったいはずだ。

先週と同じようにフィールドに戻りたいと考えており、その気持ちが先週に復帰を決意した理由だと明かしたワトソンは、次のようにコメントしている。

「プレーしたくないわけないだろ? もう一度プレーするために2年間、必死にやってきたんだ。プレーしたくないわけがない」

日曜日にシアトルで行われる試合にはウォーカーが出場する。ブラウンズはそこで、成績は4勝2敗と同じだが、司令塔がはるかに安定しているシーホークスと対峙する。ブラウンズはワトソンがすぐ戻ってくることを望んでいるかもしれないが、現時点でそれは誰にも分からないことだ。

再びプレーする時期について「できるだけ早くだ」と強調したワトソンは「もう一度プロセスを踏まないと。リハビリして、医師と相談して、できるだけ強化して、痛みを取り除かないといけない」と続けている。

【RA】