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QBマレーの試合復帰がカーディナルスの今後を左右する可能性も

2023年11月13日(月) 13:49


アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【AP Photo/Ross D. Franklin】

昨シーズン終盤における非接触の負傷でACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂してから335日がたち、ついにカイラー・マレーが現地12日(日)に行われた試合に先発出場した。この数カ月、多くの見出しを飾ったアリゾナ・カーディナルスのフランチャイズクオーターバック(QB)は待望の復帰を果たしている。

マレーは先週、「かなり前からいい感じだった」と報道陣に明かしたが、チームはアクティブ登録する前にマレーがフィジカル面でもメンタル面でもプレーできる状態にあることを確認したかったようだ。ヘッドコーチ(HC)ジョナサン・ギャノンが負傷前の姿に戻るにはしばらくかかるかもしれないとマレーに忠告していた一方で、マレー本人はこの1週間を通して、日曜日に行われるアトランタ・ファルコンズ戦に挑むときにそのようなことは考えないと報道陣に話していた。

今シーズンから次のオフシーズンにかけて、さらなるドラマが展開されることが予想される中、カーディナルスは日曜日に25対23でファルコンズに勝利している。

マレーは前体制では必ずしも積極的ではない様子を見せていたようだが――マレーの大型契約には自主学習を義務付ける条項が含まれていたが、すぐに修正され、削除された――ギャノンHCのスタッフとはうまくやっている。学び、質問し、攻撃コーディネーター(OC)ドリュー・ペツィングの新スキームを理解しようとする姿勢を受け、複数の情報筋はマレーを“素晴らしい”と評している。マレーは膝のリハビリに取り組み、練習場に出られていなかったトレーニングキャンプの頃からそうした評価を受けていた。

新コーチングスタッフもマレーには期待していたが、実際のマレーは想像以上に速く、才能がある選手だ。しばらく前の出来事のように感じられるものの、マレーは2年連続(2020年と2021年)でプロボウルに選出され、2021年にはチームを8勝1敗の好スタートに導いている。

ペツィングOCはプレーコールの伝達を容易にするために、クオーターバック全員にリストバンドの着用を求めている。今季最初の8試合でカーディナルスの先発QBを務めたジョシュア・ドブスも着用していた。ハドルへの出入りがしやすくなるように、マレーのリストバンドにはカーディナルスのプレーシートがすべて入っている。

マレーにとっては11カ月ぶりの出場となったため、多少のサビはあったかもしれないが、マレーが完全に調子を取り戻せば、オフェンスはよりアグレッシブになるはずだ。そして、マレーが調子を上げれば上げるほど、スタッフはプロテクションやチェックの面で彼に負担をかけることになるだろう。

マレーが身体面において必要とされるレベルに達している様子を見せていることから、カーディナルスがマレーの得意とするQBランをさらに引き出す可能性もある。

今回のファルコンズ戦でマレーはキャリー6回で33ヤードを記録したが、今後の数カ月はどうなるだろうか。

マレーとチームの両者が目を大きく見開いて次の7試合に臨むのは明らかだ。マレーはこの新体制で将来を担うクオーターバックになるかもしれない。あるいは、NFLで今オフシーズン最大のトレード候補になる可能性もある。そうなれば、カーディナルスのジェネラルマネジャー(GM)モンティ・オッセンフォートは新しいクオーターバックを含む再建のスタートを切ることができるだろう。

すべての当事者があらゆる選択肢に前向きな様子を見せている。

カーディナルスが予想以上に白星を挙げれば、ドラフト上位でクオーターバックを指名する可能性は低くなり、マレーがより良い選択肢となるだろう。このすべてが当てはまれば、オッセンフォートGMがマレーと共に進むことが最善の道だと決断する可能性は十分にある。

マレーは来季に完全保証された3,595万ドル(約54億5,254万円)を受け取る予定だ。また、2025年の年俸のうち1,800万ドル(約27億3,008万円)は2024年オフシーズンの5日目に完全保証される。つまり、マレーをキープするという判断を下した場合、カーディナルスは複数年にわたってマレーをとどめることになる。

マレーが活躍してもチームがドラフト上位指名権を手にすることになれば、カーディナルス幹部はQBとの契約を維持することと、トレードで大量の指名権を獲得してチームを再建することを天秤にかけなければならなくなるが、そこにはQBポジションを白紙に戻すことへの不安もあるだろう。

フランチャイズ史上最大級の決断を下すにはまだ十分な時間があるとはいえ、新たなシナリオに向けての道はすでに始まっている。

【RA】