降格でジェッツに “スケープゴート”にされたとは思っていないQBザック・ウィルソン
2023年11月23日(木) 16:44ニューヨーク・ジェッツのクオーターバック(QB)ザック・ウィルソンをベンチに下げるのはおそらく遅すぎたかもしれない。ウィルソン自身も聞かれたら、特に反論することはないはずだ。
ジェッツのオフェンスは、ウィルソンをクオーターバックに起用したことで、サードダウンコンバージョン成功率とレッドゾーンでの得点率で最下位となり、まさにひどいものだった。ジェッツ攻撃陣は最近の3試合で平均してわずか8点しか得点していない。現地24日(金)に行われるマイアミ・ドルフィンズ戦でQBティム・ボイルが大幅に向上することはないかも知れないが、何週間も現状維持をして改善の兆しをほとんど見出せなかった後、ヘッドコーチ(HC)ロバート・サラーは新しいことを試みるためについに切り替える決断を下した。
ジェッツはスパーク(火花)を切実に必要としている。ボイルがその火種になることを期待しているのだ。結果はどうであれ、ウィルソンは自分のベンチ降格は妥当だったと考えている。
『ESPN』によると、火曜日にウィルソンは「オレはスケープゴートにされたとは思っていない。絶対にない」とコメントし、こうつけ加えたという。「現状を見なきゃいけない。タッチダウンを取れていない。オレが何をしていようと、クオーターバックとしてのオレの仕事は得点に貢献することだ。ここに座って、今年はたくさんの成長や素晴らしいことをしたということはできるけど、タッチダウンを決められなければ意味がない。本当にそうだ。それは理解している」
ウィルソンが“スケープゴート”という言葉を使ったのは偶然ではない。QBアーロン・ロジャースは火曜日の『The Pat McAfee Show(ザ・パット・マカフィー・ショー)』での定期出演で、ウィルソンの苦労と交代を嘆き、「こういう状況だと、スケープゴートになってしまう特定の選手がいるんだ」と説明した。
スケープゴートという言葉には不公平なニュアンスが伴うことが多い。しかし、ウィルソンがクオーターバックとしてジェッツを率いているのを見た人なら、誰もがウィルソンが先発を続けるには十分な仕事をしていなかったことを知っている。ウィルソンは火曜日にこの事実から逃げなかったが、昨年の問題と今シーズンの彼自身の問題を結び付けることには反論した。
「かなり違う」とウィルソンは、別々のベンチ降格を比較しながら述べ、次のように続けている。「明らかに、去年は何もうまくいっていなかった。ベンチ降格は当然の報いだった。ロッカールームでもそう感じていた。でも今のオレは、オフェンスの一員として本当に苦戦している。誰かのせいにするのは難しい。物事を解決できることを願っているし、オレが問題だったならそう受け止めるよ」
「何があっても、このチームには頑張ってほしい。でも、今は違うこともある。オレはこれまでとは違う選手なんだ。長い道のりを歩んできた。ゲームをより理解しているし、自信を持ってプレーできている。どういうわけか、うまくいかない。責任を負うことはこのポジションにはつきものだと理解している。残念なことだけど、オレは努力し続ける」
今のウィルソンがこれまでとは違う選手だと主張するのは間違いではない。昨シーズンと比べて今シーズンでは、ウィルソンが真の成長を見せた瞬間はあったものの、結果が劇的に変わっていないため、そして、ジェッツのオフェンスはウィルソンがフィールドにいる間あまりに非生産的だったため、ジェッツは現実的に同じ行動を繰り返し続け、異なる結果を期待することはできなかった。攻撃タッチダウン回数が合計9回とリーグ全体で最低をマークしているジェッツ攻撃陣は、NFLで最も爆発的なオフェンスの一つと対戦するシーズン第12週のゲームでは、成果を上げるには十分ではないだろう。
ウィルソンは自身の降格について「個人攻撃とはとらえていないよ」と話し、「これはオレへの当てつけではない」と主張。
ウィルソンは金曜日のドルフィンズ戦でベンチに戻り、3番手QBとしてキャップとヘッドセットを着用し、ボイル率いるオフェンスが泥沼から抜け出そうとするのを見守ることになる。しかし今回、ウィルソンは苦い思いを胸にサイドラインに座ることはないだろう。自分が指揮を執るチャンスがありながら、それを生かせなかったことを知っているからだ。
ボイルは、2つの大学(コネチカット、イースタン・ケンタッキー)で目立たない数字を残したNFLのベテランで、ジェッツが切実に必要としている救世主になろうとするだろう。ボイルはヒーローである必要はなく、ただ有能である必要がある。ボイルがそうすることができるかどうかはわからないが、サンクスギビングデーの翌日には最初の機会が与えられるだろう。
「クオーターバックにとって最も重要なのは責任を持つことで、オレは大学ではいいプレーができなかったけれど、こうしてNFL6年目を迎えている」と語るボイルは、こう締めくくった。「十分な手ごたえを感じている。タイミングよくボールを出せるし、すべてのパスを投げられる。ポケットにいて、このチームのためにいいクオーターバックになれると思っている」
【KO】