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試合を決めたドライブは「アメイジングという言葉では言い表せない」とシーホークスQBロック

2023年12月20日(水) 14:44


シアトル・シーホークスのドリュー・ロック【AP Photo/Lindsey Wasson】

シアトル・シーホークスが先発クオーターバック(QB)を窮地に追い込んだ夜、QBドリュー・ロックがフィラデルフィア・イーグルスに衝撃を与えた。

一度もリードすることなく、17対13でイーグルスを追う展開になっていた試合時間残り1分52秒、ロックは2分間のドライブを完璧にこなし、プレー10回の全スナップでパスを投げ、92ヤードを獲得して試合を決定づけた。

ロックは試合後、『ESPN』のリサ・ソルターズに対し「アメイジングという言葉では言い表せない。でも、Oライン、DK(メットカーフ)のあのキャッチ、ワイドレシーバー(WR)陣、(RB)ケン・ウォーカー、(RB)ザック・シャルボネが試合中ずっとやってくれたことも、アメイジングという言葉では言い表せない。タイトエンド(TE)たち。今シーズン2試合目を迎える選手の周りには、特別なグループが必要だろ? 1年中同じことに慣れていて、同じリズムで、ボールのスピンも同じ。すべてだ。攻撃陣だけでなく、守備陣も含めて。素晴らしかったよ」と語った。

さらに驚くべきは、それまでの58分間、ややパッとしないパフォーマンスを見せていたロックが一転したことだ。試合を変えるようなドライブに入ったとき、ロックのパス成功率は73.9パーセントと正確だったが、パスヤードはわずか116ヤードにとどまり、RBのケネス・ウォーカーがロスに終わる可能性のあるプレーをビッグゲインに変えるのがシーホークスの最大の望みだった。

それ以前に、ロックに3年ぶりの勝利を挙げる再チャンスがあるのかどうかさえ、まったくわからなかった。

先週、鼠径部の負傷で欠場したQBジーノ・スミスはまだ不調だったが、チームは意外にもスミスが試合に出ることができる健康状態だと宣言している。

シーズンを通したQB1が、シーホークスのシーズン第15週のQB1として――緊急オプションとしてではなく――機能するのかという疑問は、キックオフ15分前まで残った。

QBの決定についてロックは、「ああ、その話には長いストーリーがあるんだ。でも俺は自分がプレーするというメンタリティを持ち続けた。何が起ころうと、みんながどう見ようと、関係ない。俺はただ、“分かっているはずだ。だからプレーする準備をしておけ”って感じだった。ここに来て、俺が選ばれることがわかった。一か八かの勝負をするんだ。行くぞってね」と振り返った。

シーホークスで2度目の先発出場を果たし、守備陣がイーグルスの中盤付近での試合運びを阻止した直後、ロックは自陣8ヤードラインで主導権を握った。

最初のパスインコンプリートに続き、ロックはWRメットカーフへの低いスローでチームを動かし、さらに2回のショートゲインと2回のインコンプリートを繰り返した。

そしてメットカーフへのさらに大きなパスを、サイドライン沿いの2人の相手ディフェンダーの間に投じて、34ヤードを獲得している

ロックが息を吹き返したようにメットカーフも息を吹き返し、ロックの最初のパス4回のうち3回を成功させ、シーホークスを敵陣29ヤードまで引っ張り、この試合での78ヤードのうち58ヤードをこのドライブで獲得した。

そこから残り33秒の第3ダウン残り10ヤードで、ロックは右サイドライン際でイーグルスのコーナーバック(CB)ジェームス・ブラッドベリーを抜き去る新人WRジャクソン・スミス・インジグバをロックオンし、彼を完璧にエンドゾーンまで導いて得点を決めた。これはインジグバにとって今シーズン2度目の決勝点だった。

ロックは「あのプレーコールは一生忘れないだろう。俺たちはハドルを解いているところだった。ジャックスに1対1があるのはわかっていたし、シェイン(攻撃コーディネーター/OCのウォルドロン)がヘッドセットでいいことを思い出させてくれた。“おい、ジャックス、もし1対1なら、お前に投げるぞ”って言ったんだ。案の定、1対1で見せてくれたし、相手の守備は柔らかかった。ジャックスはスピードで相手を抜き去っていたんだ。バックパイロン。バックボックススロー。それで決まりだった」と語った。

元2巡目指名のロックにとってのとてつもなく素晴らしい夜は、シーホークスのセーフティ(S)ジュリアン・ラブがQBジェイレン・ハーツから2度目のインターセプトを奪うことで勝利を決定づけられた。

興奮が収まったときに気づく、その夜の最大の結果は、シーホークスのシーズンを救った可能性があるということだろう。7勝7敗としたシーホークスには、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)の第8シードに入る可能性が残った。

このカムバックにより、ヘッドコーチ(HC)ピート・キャロルが今後万全な状態であれば先発にすると認めたスミスが復帰し、チームをプレーオフに導くチャンスが生まれる。

しかし、当面の話題は2年前にQBラッセル・ウィルソンのトレードでデンバー・ブロンコスからシーホークスにやってきて、その後のQB競争でスミスに敗れたロックのことばかりだ。

ロックはブロンコスでの3シーズンで足場を固めることができなかった。5試合以上先発したのは1度だけ。先発として13試合に出場し、インターセプト15回でリーグトップとなった2020年シーズンのことだ。

ロックはイーグルス戦で2020年シーズン第8週以来のゲームウイニングドライブを決めた。『NFL Research(NFL リサーチ)』によると、シーホークスでクオーターバックが2分以内に90ヤード以上を獲得してゲームウイニングドライブを達成したのは2020年シーズン第5週以来だ。

スミスがいつ先発復帰できるほど回復するかはともかく、ロックはチームに大きな貢献をしたことになる。

そしてロック自身にとっても、フットボール界に自分の実力を証明することができた。

ロックは「とても辛かった。これほど長い間プレーできなかった気持ちを表現するのはとても難しい。少なくとも俺にとっては本当に長い時間のように感じる。控えとしてベンチに座って、試合を見て、思うんだ。俺にこれができるか? って。フィールドに出ていない選手にとって、それが普通の反応だった。先週、フィールドに戻ってきた。俺は“俺はまだやれるヤツだ。俺にはできる。”と思っていたんだ。そして今週も試練があって、プレーできるかどうか分からなかった。案の定、プレーすることになった。今夜のイーグルス戦。そして、俺の周りにいた選手たちが今夜結集してくれた。すごくいい気分だよ。すごくいい気分だ。今夜のみんなを誇りに思うよ」と話した。

【AK】