プレーオフ進出に向けて奮闘するバッカニアーズで見事な活躍を見せるQBメイフィールド
2023年12月26日(火) 11:54クオーターバック(QB)ベイカー・メイフィールドとタンパベイ・バッカニアーズが熱い展開を見せている。
レギュラーシーズン最後の2試合でどちらも勝利を挙げるシナリオを作るチャンスを得た状態で現地24日(日)にジャクソンビル・ジャガーズを迎え撃ったバッカニアーズは、すべてのフェーズで攻撃モードに入っていた。
それをけん引したメイフィールドは、ハーフタイム前のワンスナップポゼッションを除いて、3クオーターを通してすべてのドライブで得点をもたらした。守備陣もそれに続いてジャガーズをことごとく妨害し、バッカニアーズは30対12で勝利。力の差は実際の点数よりも開いているように見えた。
『ESPN』によれば、ヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズは日曜日にメイフィールドについて「彼は傑出している」と述べたという。「12月に入ってからずばぬけている。12月にクオーターバックに求める姿そのものだ。今は誰もがお互いのプレーを知っている。だが、頑張っていこうとしている中で、チームのクオーターバックが素晴らしいプレーをしていたら、それは自分たちにとってチャンスになる」
先週に行われたグリーンベイ・パッカーズ戦で158.3という完ぺきなパサーレーティングを記録したメイフィールドにとって、“傑出した”というのはやや低く見積もった表現と言えるかもしれない。それでも、それは再起を果たした元ドラフト全体1位指名選手にふさわしい評価だと言えよう。
回避不能に見えたいくつかのシチュエーションでうまくピンチを脱するなど、プレッシャーの中でも堂々と立ち回っていたメイフィールドは、ターゲットにも一貫してパスを通し、パス35回中26回を成功させて283ヤード、タッチダウン2回、パサーレーティング116.7を記録した。
メイフィールドとバッカニアーズ攻撃陣は試合の前半に連続で69ヤード、56ヤード、45ヤード、65ヤードのドライブを展開し、そこでフィールドゴールとタッチダウンを交互に繰り返した。
その4回目の得点は、今回の試合で最も素晴らしいプレーの候補として挙げられるだろう。メイフィールドは2人のディフェンダーの頭上を通り超えてワイドレシーバー(WR)マイク・エバンスだけが取りに行ける22ヤードのタッチダウンパスを放った。
エバンスはそのキャッチで今回の試合における2得点目を挙げている。そのタッチダウンで、エバンスはこの4年で3度目となる13回のタッチダウンレシーブ達成を果たした。新たにチームに加わったメイフィールドがプロボウルに4回選出された経歴を誇るエバンスにパスを通し続けられるのかと疑念を抱いていた人々は、エバンスの今季のレシーブヤード(1,163ヤード)がすでに2019年以降で最多になっていることを目の当たりにしている。
第3クオーターに攻撃陣が再びタッチダウンとフィールドゴールのコンボでジャガーズを苦しめた後、守備陣のスター選手たちが同じようにジャガーズのよく練られた計画に対抗したおかげもあって、バッカニアーズはそのまま勝利を手に入れた。
ボウルズHC率いる強力な守備陣はジャガーズのランニングバック(RB)トラビス・イーティーエンのランヤードをわずか12ヤードに抑えている。また、他の4試合で記録した2回のターンオーバーを上回る、今季最多4回のターンオーバーを相手に強いた。
金曜日に公表された故障者レポートで、セーフティ(S)アントワーヌ・ウィンフィールドJr.はふくらはぎの問題でクエッショナブルとされていたものの、クオーターバック(QB)トレバー・ローレンスにインターセプトとファンブルをそれぞれ1回ずつ決めるなど、不調な様子は見られなかった。また、ラインバッカー(LB)デビン・ホワイトも今季2回目のインターセプトを決め、ドラフト3巡目指名を受けた新人LBヤヤ・ディアビーはキャリア初のストリップサックに成功している。
混乱していたジャガーズは第3クオーターまで得点を挙げられず、この試合初のタッチダウンを決めたドライブはローレンスが右肩の負傷で離脱する前に参加した最後のものとなった。これはシーズンの後半になってから負傷が増えているローレンスにとって、最新のケガとなっている。
今回の試合は、12月を迎えるまで4勝7敗と暗礁に乗り上げていたところから一転して4連勝を収めたバッカニアーズにとって、完ぺきと言えるほど補完的なフットボールだった。
NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区の首位を維持しているバッカニアーズは、シーズン第17週に行われるニューオーリンズ・セインツ戦か、レギュラーシーズン最後に臨むカロライナ・パンサーズ戦のいずれかに勝てば、3年連続の地区タイトル獲得が可能になる。
ボウルズHCはチームのパフォーマンスについて「私たちはすべてをつなぎ合わせ、全員がお互いのためにプレーし、集中し、試合に臨んでいる」と述べ、こう続けた。「私たちはあがき、戦い、自分たちにできることをすべてしている。選手たちの態度は素晴らしく、リーダーたちは素晴らしい存在として私たちが厳しい時期を乗り越え、成功を収められるよう導いてくれた。私たちはまだそれが終わっていないことを分かっている」
トム・ブレイディの引退や、少ないキャップスペースの中で実行したロースターの整理、メイフィールドとコストを抑えた契約を締結することなどから始まったオフシーズンは、あらゆる予想を覆し、バッカニアーズのQBポジションを完ぺきに補完するものをもたらしている。
プロデビューしてから最高のシーズンを送っているメイフィールドは今季、3,598パスヤード、タッチダウン26回、インターセプト8回をマーク。プレーメーカーたちの信頼を得ているメイフィールドは、守備陣が定期的に休んだり、得点の恩恵を受けたり、あるいはその両方が可能になるのに十分な長さのドライブを持続させている。
日曜朝、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはバッカニアーズとメイフィールドが双方ともに2024年シーズンに再び契約を結ぶことに関心を持っていると報道。試合終了後にその意向を改めて表明したメイフィールドは次のようにコメントしている。
「ぜひここにいたいと思っている。ここは素晴らしい街で、素晴らしい仲間がいて、素晴らしい組織があるけど、今は試合に勝つことを考えているから、その議論はシーズンが終わってからにしよう」
現状では、数々のチームを転々としてきたメイフィールドが居場所を見つけたように見える。そうした中で、バッカニアーズはメイフィールドの居場所となる可能性がある場所、つまり自分たちの本拠地でプレーオフの初戦に臨む可能性が高い。
【RA】