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ワイルドカードラウンドで勝利したテキサンズQBストラウド、「夢がかなった」

2024年01月15日(月) 14:52


ヒューストン・テキサンズのC.J.ストラウド【AP Photo/David J. Phillip】

ヒューストン・テキサンズは勢いに乗ったまま、数年ぶりのプレーオフゲームを戦い抜いた。

テキサンズは現地13日(土)にスーパーワイルドカード週末で、新人クオーターバック(QB)C.J.ストラウドの順調な滑り出しと、自分たちが得点を挙げることに熱中していたディフェンスにあやかり、あらゆる局面でクリーブランド・ブラウンズを圧倒して45対14の勝利を収めている。

ストラウドは土曜日に今回の勝利について「これは夢がかなったようなものだ」とコメント。

「俺たちがチームとしてどれだけ仲がいいか。本当に、本当に仲がいいんだ。オフェンス、ディフェンス、スペシャルチーム、全員がうまくやっているし、次の週もまた兄弟たちと一緒に戦えるのは幸せだ。俺はこのチームとヒューストンの街を思ってものすごく興奮しているし、今のポジションにいられることは単純に恵まれていると思う」

自身とってはキャリア初の、そして、テキサンズにとっては2019年シーズン以来となるプレーオフゲームで、ストラウドはパス21回中16回を成功させて274ヤード、タッチダウン3回、ほぼ完ぺきなパサーレーティング157.2をマークし、ベテラン選手のような風格を漂わせていた。

22歳のストラウドは試合開始早々に鋭いパスを通していたものの、最初のドライブで2回パスインコンプリートとなった上に、2回目のドライブで失速したことを受けて、テキサンズは3得点しかあげられなかった。しかしそこから、ストラウドは試合の前半に75ヤード、76ヤード、71ヤードのタッチダウンドライブを3回演出している。

そのすべてをパスで終わらせたストラウドは、ポストシーズンにおける1試合あたりのタッチダウンパス数で新人記録に並んだ。

テキサンズのヘッドコーチ(HC)デミコ・ライアンズはそのパフォーマンスについて「C.J.のおかげで、私たちは今このポジションにいる。彼は特別だ。特別な若者、特別な選手だ。どんなに大きな瞬間でも輝き続ける。チーム全体が彼を頼りにしているし、彼にはその重荷を背負えるだけの度量がある。チームの重荷を背負うことができる若い選手がいて、チームがそれを支えているとき、それはチーム全体にとって自信になる。それを見ているのは最高だ」と述べている。

試合の前半、両チームはそれぞれのドライブで競り合い、拮抗した展開が続いた。

しかし、テキサンズのディフェンスは自分たちがやや優勢であったことを証明。さらに、ストラウドは第2クオーター終了まで残り1分11秒でタイトエンド(TE)ダルトン・シュルツに完ぺきな37ヤードのタッチダウンパスを通した。その結果、テキサンズは後半に向けて、拮抗した戦いに不可欠だったと思われる余裕を手に入れている。

とはいえ、ストラウドは試合後半の大半で、互角の戦いを強いられるどころか、リラックスしてプレーすることができた。守備陣が勢いを増してブラウンズを圧倒し、相手の得点を0点に抑えた上に、致命的なターンオーバーを2回強いたため、ストラウドは後半にわずか11回のスナップにしか参加していない。

第3クオーター最初のドライブで、ブラウンズは8回のプレーで48ヤード前進し、ファーストダウンを更新してテキサンズ陣34ヤードラインに到達。フィールドゴールかタッチダウンで1スコアゲームに戻そうとしていた。

前半を通してQBジョー・フラッコにストレスを与えていたテキサンズは、次のスナップで自陣に入り込まれそうになった。そこで、ディフェンシブエンド(DE)デレック・バーネットはプレッシャーをかけるべく突進。それを受けて、フラッコは近くにいた2人のターゲットの間、つまり誰もいない場所にボールを投げてしまった。

テキサンズのコーナーバック(CB)スティーブン・ネルソンはそこで待ち構えており、フラッコが投げたボールをキャッチしてキャリア初のピックシックスを決めている。

ブラウンズの次のポゼッションで、今度はひとかけらの勢いもないまま、フラッコは第4ダウン残り2ヤードの場面でまたしても致命的なターンオーバーを犯した。

ラインバッカー(LB)クリスチャン・ハリスがフラッコのボールをキャッチして36ヤードを駆け抜け、テキサンズにとってこの日2度目となるインターセプトリターンタッチダウンに成功している。

ライアンズHCは試合後、「あんな連続ピックシックスは見たことがない」と述べた。「ディフェンスの踏ん張りが必要だった。ジョー(フラッコ)が数週間前に私たちを相手に素晴らしい結果を残したのは知っているし、それがパスゲームにおける課題だとも分かっていた。ネリー(スティーブン・ネルソン)がああいうピックを決め、(クリスチャン)ハリスも同じことをやってのけた。どちらも素晴らしいプレーだった。この試合に臨むにあたって、フットボールに到達することが私たちの焦点の1つだった。だが、到達した上で得点までできた。それで試合の流れが変わった」

スクリメージから5プレー、試合時間にして1分59秒の間に、テキサンズは38対14と圧倒的なリードを築き、混戦の末に勝つ可能性があると予想されていたチームから、絶対的な力を持つチームへと変貌を遂げた。

ランニングバック(RB)デビン・シングルテリーが第4クオーターに決めた19ヤードのタッチダウンランは最後の一撃となっている。ブラウンズはシングルテリーがタッチダウンを決めたドライブの前後で、3回連続でターンオーバー・オン・ダウンズとなっていた。

後半にわずか5回しかパスを試みなかったにもかかわらず、パスディフェンスでNFL1位のブラウンズを相手に今季3番目に多いパスヤードを稼いだストラウドは、試合があと9分22秒残されている中でサイドラインに戻っている。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、22歳と102日という若さのストラウドは、プレーオフゲームで勝利したリーグ史上最年少のクオーターバックとなったほか、フラッコと並び、1967年以降に1巡目指名された新人QBとしてそれを成し遂げた4人の選手のうちの1人なったという。

テキサンズのオフェンシブラインは、ブラウンズの恐ろしいパスラッシュを相手に一度もサックを許さないことで、それを後押しした。シングルテリーはその後ろを動き回り、キャリー平均5.1ヤードをマークしている。

最初のピックシックスを決めたバーネットや、2回目のピックシックスを決めたハリスを含め、テキサンズでは4人のディフェンダーがサックを記録した。

それは完全なる勝利だったと言えよう。これにより、フラッコの物語のようなシーズンは幕を閉じた。もうすぐ39歳になるフラッコは、自宅のソファからブラウンズを活性化させるためにやってきたが、プレーオフの残りではまたそこに戻ることになる。

一方で、テキサンズの物語はまだ続いていく。

新人QBと新人HCがけん引する中、予定よりもはるかに早くプレーオフ進出を果たしたテキサンズは、予想を大幅に上回るパフォーマンスを見せており、十分な勢いを持ってAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)ディビジョナルラウンドに突入していく。

【RA】