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古巣に打ち勝ってライオンズに32年間で初めてのプレーオフ白星をもたらしたQBゴフ

2024年01月16日(火) 15:57

デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ【AP Photo/Duane Burleson】

その試合の後半、フォード・フィールドには息苦しい雰囲気がただよっていた。デトロイト・ライオンズのファンたちは、クオーターバック(QB)マシュー・スタッフォードが、古巣でかつてのサポーターたちの心を破りそうになる瞬間を見守っていた。

しかしそれも、QBジャレッド・ゴフがライオンズに移ってからのキャリアで最大のパスを投じるまでのことだった。

ライオンズが試合開始から5分と少しで確保したリードを削り続けたラムズだったが、ラスト2分を迎えたところでゴフがワイドレシーバー(WR)アモン-ラ・セント・ブラウンにつないだ11ヤードのパスによって、その希望の灯火はついに消え失せている。

何度かのニールダウンを経て、試合は終わった。ライオンズ24ポイント、ラムズ23ポイントだ。ライオンズにとって、32年間で初めてのプレーオフ戦勝利。ゴフにとっては、すべり落ちそうになったゲームを手元に引きとどめての勝利だった。

試合後、ゴフは「ああ、とても重要だ。このチームは特別。このチームは本当に特別で、これはチームでやったことなんだ」と話している。

試合前のウオームアップの段階からファンのチャントを受けたゴフは、“これまで経験してきた中で一番のホームゲームの雰囲気”の中で、試合開始早々、ヒリつくようなプレーによってファンの期待に応じた。ゴフは最初の14回のパスを通し、前半をパス18回中16回成功、194ヤード、タッチダウン1回で締めくくる。ゴフは不調を抱えたタイトエンド(TE)サム・ラポルタにパスを投じて、21対10までリードを広げるも、前半終了時点でラムズは21対17に迫った。

今や歴史的なものとなったトレードでチームを入れ替えたスタッフォードとゴフは、前半でお互いに渾身のパスを繰り出し、それは後半でも続く様子だった。

しかし、第3クオーターに入って両チームのパスラッシュが覚醒。2人のクオーターバックはいずれも、サックをくらい、ビッグヒットを受け、両陣営がフィールドゴールを応酬するにとどまっている。

第4クオーターではスタッフォードがギアを上げる。ライオンズファンたちは、初めて対戦相手としてホームに戻ってきたスタッフォードが、持てるトリックをすべて発揮するのを目撃した。

地元のファンたちは、スタッフォードがライオンズにどれだけの第4クオーターでのカムバックや、決勝ドライブを決めるかも見てきた。非情な運命のめぐり合わせによって、今度はラムズとスタッフォードが、それを果たすかに見えていた。

一方のゴフは低迷していた。重要なコンバージョンになるはずだったWRジョシュ・レイノルズへのパスは、オーバースローになっている。接戦となっている試合の終盤で、ライオンズは2回連続でパントを強いられた。

ゴフは第4クオーターのほぼ全体でパスを決められず、大きなプレッシャーを受けつつ、大事な場面でサックを喫していた。あと2プレーでコンバートできなければ、スタッフォードにボールが戻ってくるところまで来ていた。

しかし、ゴフは笑った。ライオンズはセント・ブラウンが試合後に「1年中やっていて(中略)彼は俺で来るなって分かっていた」というプレーをコールする。

ラムズのラインバッカー(LB)バイロン・ヤングがゴフに迫り、ほんのわずかの間、その投球を邪魔した。それでも、ゴフのショットはデトロイト中に音を響かせた。ゴフにとって、この夜で1番優れていたパスではないし、最長のパスでもない。だが、デトロイト・ライオンズにとっては、特に、今のライオンズにとっては、最も重要なパスだった。

『NBC』のメリッサ・スタークに対し、ゴフは「俺はたしかに、そこには個人的なつながりがいくつかあるが、これは俺たちのチームがやることであり、2023年のライオンズがやったことなんだ」と話し、こう続けている。

「俺たちはたった今、30年間続いてきた(プレーオフで勝利を挙げていない)流れを断ち切ったけど、これはこのチームのこと。このロッカールームにいる人たちや、このビルにいる人たちがやったこと。ヘッドコーチのダン・キャンベルや、彼が俺たち全員に注ぎ込んできたことのおかげであって、俺たち全員がやったことだ」

かつて、長い時間を片腕として過ごし、ゴフと共にスーパーボウルの舞台に上がったこともあるラムズのヘッドコーチ(HC)ショーン・マクベイも、ゴフに讃辞を送っている。

「ジャレッドは本当に有能だった。彼の指揮能力が見て取れる。(ゴフとの関係には)いろいろなことがあったと思うが、彼のために、本当にうれしく思う。当然、われわれは勝ちを望んでいたが、彼が素晴らしい仕事をした」

「彼の気概、忍耐、これまでの3年をどうやってきたか。ジャレッドのために、うれしい。共に過ごした4年間に、感謝している」

どの陣営にとっても、緊張感の高く、エモーショナルな状況において、ゴフは決してうつむかなかった。この試合でゴフはパス27回中22回成功、277ヤード、タッチダウン1回、ターンオーバー0回を記録。それに貢献したのが、第1クオーターで活躍したラムズ時代のチームメイトであるレイノルズ(キャッチ5回、80ヤード)や、信じられないゲームを披露したセント・ブラウンだった。

キャンベルHCから見れば、ゴフはライオンズのために空気を作っていた。それは、サンデーナイトだけの話ではない。

「彼は週を通じてずっと、集中していた。もう6週間、彼は本当にそういう調子で、本当にここで鍛えられているように感じる」とキャンベルHCは述べている

「彼のこと、彼がわれわれに意味すること、そして今日の彼のプレーが本当に誇らしい。われわれがこのディビションで勝てた理由の一つが彼であり、われわれがここ30年で初めて、プレーオフで1勝を確保できた理由でもある」

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