契約状況について質問されたスティーラーズHCトムリンが記者会見を途中退席
2024年01月16日(火) 23:42マイク・トムリンはピッツバーグ・スティーラーズでの将来をめぐる質問が好きではないようだ。
ワイルドカードラウンドでバッファロー・ビルズに31対17で敗れた後、スティーラーズのヘッドコーチ(HC)であるトムリンは試合後の記者会見に臨んだ。そこである記者が「マイク、あなたの契約はあと1年残っている」という言葉と共に質問を始めると、トムリンHCは即座にその場から立ち去ってしまった。
51歳のトムリンHCは記者会見の冒頭で、激戦の末に勝利をつかんだ相手を称賛。そこでは、報道陣への対応をする前に、スティーラーズが試合の前半に相手に21得点を許すことにつながった理由や、負傷者の最新情報について明らかにした。
トムリンHCはスティーラーズのターンオーバーや、チームのランゲーム構築力の欠如、ビルズのタイトエンド(TE)使用率、アウトサイドラインバッカー(OLB)T.J.ワットの不在、クオーターバック(QB)メイソン・ルドルフのパフォーマンスに関する質問に答えている。
残念ながら、契約に関する質問は度が過ぎていたようだ。
このところ、2024年シーズン終了後に契約満了を迎えるトムリンが、1年早くチームから離れるかもしれないといううわさが流れていた。トムリンHCが将来について明確なビジョンを示す前に、今回の敗北を受け止める時間を取ることに疑いの余地はほとんどなかったものの、今回のようなぶしつけな退出を踏まえると、トムリンHCが18年目のシーズンに復帰を果たすことは約束されていないようだ。
トムリンHCは現時点で、173勝100敗2分、スーパーボウル出場2回(優勝1回)、ポストシーズン進出11回という輝かしいヘッドコーチキャリアを持っている。
2023年シーズンは波乱もあったが、トムリンHCはキャリア開始時から続いている連続勝ち越し記録をNFL史上最多の17シーズンに伸ばした。
今回の敗北は、トムリンHCがスティーラーズでの在任期間にチームと共に見せてきた回復力の縮図だったと言えよう。
リーダーのワットを欠いていたスティーラーズは、前半終了2分前の時点で21対0と大差をつけられていた。
しかし、前半残り1分43秒となったところでルドルフがワイドレシーバー(WR)ディオンテ・ジョンソンを見つけて10ヤードのタッチダウンパスに成功。そこからの21分間で17得点を挙げた一方で、相手の得点を3点に抑えたスティーラーズは、第4クオーター残り10分の時点でワンスコア差に迫っていた。
スティーラーズは奮闘したものの、逆転劇を始めるにはやや遅過ぎたようだ。ビルズは再び点差を広げ、そのまま勝利を収めている。
今回の敗北を受けて、攻撃コーディネーター(OC)マット・カナダを解雇したのに加え、ドラフト1巡目指名を受けてからキャリア2年目を迎えていたケニー・ピケットではなく、調子を上げていたルドルフに手綱を任せたり、シーズン終盤に当時2勝しか挙げていなかった2チーム――アリゾナ・カーディナルスとニューイングランド・ペイトリオッツ――に連敗したりと、不安定な状況を経験してきたスティーラーズのシーズンに終止符が打たれている。
とはいえ、スティーラーズはプレーオフ進出を果たし、トムリンHCのキャリアで10度目となる2ケタ勝利を収めた状態でレギュラーシーズンを終えた。
34歳という年齢で、自分自身の将来が不確実な状態となっているディフェンシブタックル(DT)キャメロン・ヘイワードは「どの選手もマイクTがいなければ何もできない」とコメント。
「マイクTがいなければ、このグループはプレーオフに進出することさえできなかっただろう。彼は俺たちに上から下まで責任を持たせてくれる。他のコーチの下ではプレーしたくない」
記者会見場から出ていくことは、トムリンHCがチームから離れることを否定するものでは決してないだろう。
しかし、もしそうなれば、1969年からこれまで、異例とも言える長さで一貫して同じヘッドコーチを起用してきたスティーラーズの、第3の時代が終わることになる。
スティーラーズがこの54年間で起用したヘッドコーチはわずか3人(チャック・ノール、ビル・カウハー、トムリン)だ。そうした中で、スティーラーズはロンバルディトロフィーを6回獲得するという成果を残している。
特に、トムリンHCと同じように殿堂入りが確実視されているビル・ベリチックやピート・キャロルといったコーチたちが長きにわたる在任期間を終えたこの時期に、そうした決断を下すことは現在のコーチングサイクルに衝撃を与えるだろう。
何はともあれ、ヘイワードは自分とトムリンHCの将来に関する質問に快く答えている。そして、自分が唯一知っているNFLヘッドコーチがチームに戻ってくると信じているヘイワードは、次のように語った。
「俺はまた年をとった。このゲームを見ていると、平均は3年な気がする。俺は毎年それを打ち破ってきた。だけど、シーズン中に何度かケガをしていただけに、プレーオフに進出できたこと自体が功績だと言える。俺たちは1年を通して戦ってきた。マイクTは戻ってくるような気がするから、コーチングに関することはあまり気にしていない。でも、それは俺が決めることじゃない。彼の代弁をするつもりもない。ただ、ここにいるグループが全体として、スーパーボウルで勝てるほど強いグループであることは分かっている」
【RA】