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「予想から外されるのは楽しい」と番狂わせの勝利を語るバッカニアーズQBメイフィールド

2024年01月17日(水) 14:35

タンパベイ・バッカニアーズのベイカー・メイフィールド【AP Photo/Chris O'Meara】

タンパベイ・バッカニアーズのクオーターバック(QB)ベイカー・メイフィールドは、まるで危険を感じて目覚めたかのようなプレーを見せ、チームは現地15日(月)夜に実施されたフィラデルフィア・イーグルス戦に32対9で勝利。スーパーワイルドカードの週末を締めくくった。

メイフィールドはイーグルスの守備陣を337ヤードとタッチダウン3回で粉砕し、プレーオフゲームで300パスヤード以上とタッチダウンパス3回以上を記録した、チーム史上初のQBとなった。メイフィールドの記録は、前半終了となる試合序盤の落球がなければもっと目を見張るものだっただろう。

バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズはチームを通して「彼はシャープだった。試合全体を通して彼は冴えていたね。彼が言ったように、試合中何回かはボールを落としたけど、修正して、ボールを投げ続けた。彼はボールを味方がキャッチできる位置にしか投げなかった。ターンオーバーもなかったんだ。次から次へとプレーを決め続けた。すごい仕事をしていたよ」と話した。

メイフィールドは今シーズン、QBトム・ブレイディに過剰な出費を重ねてしまったため、帳尻を合わせようとしていたバッカニアーズに加わった。昨シーズンの苦戦の後、この元全体1位指名選手は、実力を証明するために先発の空きがあるチームと契約を結んだ。そして、メイフィールドはその才能を見事に証明したのだ。

メイフィールドのプレーは素晴らしく、ボールを散らし、頭脳的なパスを決め、プレーが失敗したときにはタフさと賢さを発揮していた。プレッシャーがかかったときの混乱したような判断が完全になくなったわけではないが、メイフィールドはそれらの点で以前より飛躍的に成長した。

クリーブランド・ブラウンズに放出され、カロライナ・パンサーズでは散々な結果に終わり、バッカニアーズはメイフィールドにとって3年で4つ目のチームだった。メイフィールドが突然、違いを生み出すことのできるQBへと変身することは、プレシーズンの予想では話題になっていなかった。しかし、実際にメイフィールドの活躍が目撃されている。

メイフィールドは月曜日、「活躍する予想の候補から外されているのはいつも楽しいことだ。俺にとってはその方がかなり快適なのは間違いないし、俺たちのチームは完全にそれを受け入れているよ」と語った。

ボウルズHC、バッカニアーズ、そしてメイフィールドは、“世界を敵に回す”というメンタリティを受け入れている。ボウルズHCの容赦ないブリッツのディフェンスとメイフィールドの素晴らしいパスの組み合わせのおかげで、チームはディビジョナルラウンドに進み、東部時間日曜日15時【日本時間22日(月)5時】にデトロイト・ライオンズと対戦する。

ブレイディの引退後、バッカニアーズがこんなに早くこの場所に来るとは誰も予想していなかったことだ。

メイフィールドは「アンダードッグ(勝ち目が薄いチーム)であろうとアウェーゲームであろうと、期待されておらず、背後に壁があるような逃げ場のない状態で、俺たちのチーム対他の全員だとわかっている状況でも、その役割につくのはいつも楽しいことだ」とコメントした。

バッカニアーズはNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区を勝ち上がるため、最後の6試合で5勝をあげてポストシーズンに臨んだが、最高のプレーはできていなかった。シーズン第17週のニューオーリンズ・セインツ戦ではホームで夢遊病のような敗戦を喫し、シーズン第18週はシーズン2勝のみのパンサーズ相手にメイフィールドと攻撃陣がフィールドゴールを3本決め、9対0で勝利した。

シーズン終盤に負傷したメイフィールドは、この1週間、パーソナルトレーナーとともに胸郭をストレッチして治療にあたっていた。

メイフィールドは「科学的なことはわからないよ。俺はただ彼に仕事をしてもらっただけだ。俺は逆境が好きなんだ。楽しくはないけど、やる価値はある」と笑いながら語った。

メイフィールドはディビジョナルラウンドへ向けてキャリア最高のフットボールを披露し、それぞれアンダードッグストーリーを抱える他の3人のQBに合流している。

バッカニアーズはダークホースのメンタリティを受け入れている。シーズン前は無視され、シーズン中盤の崩壊で4勝7敗となった後は疑われ、ワイルドカードラウンドではその勝利が疑問視された。ボウルズHCのチームはそのたびに成果を挙げてきた。チームの勝利を疑う人々を再び黙らせるために今、モータウンへの遠征が待っている。

ボウルズHCは「彼らはプレーする準備ができていた。引き分け狙いで行くつもりはない。われわれは勝利を目指していた。自分たちがアンダードッグなのは分かっている。来週もアンダードッグの立場だろう。それは理解しているし、受け入れている。われわれはその立場が好きなんだ。彼らは次から次へとプレーを繰り出せる。今夜は楽しんで、次のデトロイト・ライオンズ戦に臨むよ」と話した。

【AK】