ブラウンズQBジョー・フラッコ、2023年最優秀カムバック選手賞を受賞
2024年02月09日(金) 17:17ジョー・フラッコなくしてクリーブランド・ブラウンズのまさかの2023年プレーオフ進出はありえなかった。
39歳のクオーターバック(QB)であるフラッコは、シーズン終盤の5試合の先発出場を存分に生かし、ブラウンズをオフェンス面で躍進させ、重要な4連勝に導き、その結果、ケガに悩まされたシーズンであったにもかかわらず、ブラウンズはワイルドカード出場権を獲得した。
現地8日(木)の夜、ラスベガスで開催されている『NFLオナーズ(NFL Honors)』で、フラッコはシーズンを救った功績が認められ、AP通信2023年最優秀カムバック選手に選ばれている。
フラッコの受賞は、ディフェンシブエンド(DE)のマイルズ・ギャレットがAP通信ディフェンス部門最優秀選手賞、ヘッドコーチ(HC)のケビン・ステファンスキーがAP通信年間最優秀コーチ賞、守備コーディネーター(DC)のジム・シュワルツがAP通信年間最優秀アシスタントコーチ賞を受賞した2023年ブラウンズの祝賀の夕べを締めくくるものだった。
ブラウンズQBフラッコは、バッファロー・ビルズのディフェンシブバック(DB)ダマー・ハムリンに獲得ポイントで151対140と僅差で勝利したものの、1位票ではハムリンが21票獲得し、フラッコの13票を上回っている。残りの最終候補者の得票数は以下の通り:タンパベイ・バッカニアーズのQBベイカー・メイフィールド(93点、1位投票10票)、ラムズのQBマシュー・スタッフォード(30点、1票)、ドルフィンズのQBトゥア・タゴヴァイロア(21点、4票)。
デショーン・ワトソンがシーズン第10週終了後に肩の手術が必要と判明した時点で、ブラウンズのシーズンは絶望的と思われていた。ランニングバック(RB)のニック・チャブ、左タックル(LT)のジャック・コンクリン、右タックル(RT)のジェドリック・ウィルズなど、シーズン終了となる負傷者が続出していたブラウンズにとって、ワトソンを失ったことは追い打ちをかける知らせだった。
ブラウンズは11月19日(日)、新人クオーターバックのドリアン・トンプソン-ロビンソンが先発に決まっていた中、保険としてフラッコと契約。シーズン第13週でルーキーのトンプソン-ロビンソンが起用できなくなると、すぐにフラッコの背番号がコールされ、ベテランの逆転劇が始まった。
一度の先発で新しいオフェンスの感触をつかんだフラッコは、シーズン第14週のジャクソンビル・ジャガーズ戦でタッチダウン3回の活躍を見せたのを皮切りに、ブラウンズをオフェンス面で本格的な脅威に変えていく。フラッコの2度目の先発登板は、ステファンスキーHCに今季の残りの先発QBに指名されるに十分なものだった。
翌週のシカゴ・ベアーズ戦では、第4クオーターに10点差を逆転するなどの活躍を見せて、シーズンハイの374パスヤードをマーク。さらに翌週のヒューストン・テキサンズ戦では、フラッコはチームを勝利に導くだけでなく、ワイドレシーバー(WR)のアマリ・クーパーに、1試合265ヤードのレシーブ記録を達成させ、ブラウンズの歴史に名を刻んだ。
シーズン第17週にも4試合で3度目となるタッチダウン3回をあげたフラッコは、ニューヨーク・ジェッツ戦でシーズン最多の37得点をマークし、ブラウンズのポストシーズン進出を決定づけている。
クリーブランドの夢のようなシーズンはスーパーワイルドカードラウンドで幕を閉じたが、フラッコの驚異的な復活劇の素晴らしさは、他のどの選手にも劣らず記憶に残るものだった。
『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、フラッコの1,616パスヤードとタッチダウン13回は、いずれもシーズン最終6試合でデビューしたQBによるNFL史上最多記録だという。フラッコは1試合あたりのパスヤード323.2ヤード(最低200回パスアテンプト)は2023年のリーグトップで、ブラウンズ史上初めて4試合連続で300ヤード以上を記録したQBとなっている。
フラッコのクリーブランドへの曲がりくねった道は逆境とともにあり、2019年から2022年にかけてデンバー・ブロンコスとジェッツで過去11試合の先発で10敗を喫していた。ボルティモア・レイブンズでスーパーボウルMVPを獲得した過去を持つフラッコは、2023年の大半はフリーエージェント(FA)だったのだ。
フラッコがキャリア終盤の復活を遂げるために手を差し伸べたのが、長年のAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区でのライバルだったというのがまた、フラッコの復活をより印象深いものにしている。フラッコの目覚ましいシーズンは、2023年最優秀カムバック選手として永遠に不滅のものとなった。
【KO】