チーフスのスパグニョーロDCは再びHCの機会を与えられるべきとラムズCOOデモフ
2024年02月15日(木) 12:46マイアミ・ドルフィンズのワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルは第58回スーパーボウルで元所属チームが優勝した後、『X(旧Twitter/ツイッター)』上でカンザスシティ・チーフスの守備コーディネーター(DC)スティーブ・スパグニョーロがなぜこのオフシーズンにヘッドコーチ(HC)として関心を持たれなかったのかと疑問を呈した。
スパグニョーロが1度だけフルタイムのヘッドコーチを務めた際に、彼の上長のひとりだったある人物は、スパグニョーロはもう一度チャンスを与えられるべきだと考えている。
現地13日(火)、2009年から2011年までスパグニョーロが当時セントルイスに本拠地を構えていたラムズに在籍していた間、その大半をともにしたチーフオペレーティングオフィサー(COO)であるケビン・デモフが、ヒルの投稿に返信する形でXにこう綴っている。
「もっと前からスパグニョーロはヘッドコーチの機会を再び与えられているべきだ。彼が当時引き継いだラムズのチームや組織は混乱を極めていて、誰も成功を手にすることができないような状況だった。それでも彼は文化を変え、スタッフを変え、選手は彼のことを信じた。彼は、われわれが与えられなかった真のチャンスを手にするにふさわしい、素晴らしい人間だ」
スパグニョーロはニューヨーク・ジャイアンツのDCとして第42回スーパーボウルで無敗を誇るニューイングランド・ペイトリオッツの記録的なオフェンスを阻止し、翌年もジャイアンツのDCを務めた。その後、スパグニョーロはヘッドコーチ候補として注目を浴び、最終的にラムズの指揮を任されることに。しかしながら、2009年の頭にスパグニョーロを雇ったラムズは、2007年に3勝13敗、2008年に2勝14敗という厳しい状態にあった。
スパグニョーロをヘッドコーチに迎えた最初の年にラムズは1勝15敗に終わったが、2010年には7勝9敗を収めている。その勢いはスパグニョーロの職を安泰なものにするはずだったが、デモフが一連の投稿で指摘したように、スパグニョーロが加入した直後にラムズは売りに出され、彼とチームはサラリーキャップの混乱とロースターの高齢化という問題にも直面していた。
2勝14敗だった2011年シーズンの終了と同時にスパグニョーロは解雇された。NFLのロックアウトとオーナー交代、さらにはケガに悩まされ、才能に欠いたロースターといったすべてのことがスパグニョーロを不利な状況に追い込んだとデモフは言う。
「もしかしたら、彼は条件の整ったチャンスを与えられるべきかもしれない」とデモフは投稿している。
ここ数年、チーフスのDCを務めてきたスパグニョーロは、とりわけ2023年シーズンにおいて、同世代の間で最高のディフェンス指揮者のひとりとして評判を復活させた。今年のレギュラーシーズンにNFLで2位となる被ヤードと被得点を記録したチーフスは、ポストシーズンでも好調なディフェンスプレーを続け、5シーズンで3度目の優勝を果たしている。
チーフスが逆転勝利を収めた第58回スーパーボウルで、サンフランシスコ・49ersは序盤こそ攻撃を成功させたが、第3クオーターで大きく失速し、最後の2得点はいずれもフィールドゴールによるものだった。このポストシーズンに「In Spags We Trust(スパッグスを信じよう)」という言葉は、次第にNFL屈指のディフェンス陣にとってここぞという時の掛け声となっていった。
チーフスのディフェンスが並外れたパフォーマンスを披露してきたにもかかわらず、ここ数年で大幅に再建されたユニットの立役者であるスパグニョーロは、今シーズンも、過去数回のコーチ採用の時期にも、ヘッドコーチ職の面接を受けていない。
ジャイアンツでの2度目の就任となったスパグニョーロは、2017年シーズン中に解雇されたベン・マカドゥーに代わって臨時ヘッドコーチを務め、1勝3敗でシーズンを終えている。2018年はじめにジャイアンツはヘッドコーチ候補としてスパグニョーロと面接しているが、採用したのはパット・シューマーだった。その翌年に彼はアンディ・リードHC率いるチーフスに移っている。スパグニョーロは過去4回のヘッドコーチの採用サイクルでいずれも面接を受けていないと見られている。
表面的には、ヘッドコーチとしてのスパグニョーロの実績(ラムズとジャイアンツで11勝41敗)は見栄えのしないものと言えよう。チームによっては64歳という彼の年齢も躊躇する要因になっているのかもしれない。しかし、もし採用に当たって候補者の状況や実績が重要な要素だとすれば、ラムズがロサンゼルスに移転する前、セントルイスでの時間をともに過ごしたスパグニョーロはもう一度チャンスを得るに値するとデモフは信じている。
「彼はひどい状況を引き継ぎ、それを改善するためにベストを尽くした」とデモフはつづっている。
「彼がヘッドコーチになったことでわれわれはより良い組織になれた」
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