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イーグルスCケルシーが13シーズンのキャリアに幕を下ろすと正式に発表

2024年03月05日(火) 12:10

ジェイソン・ケルシー【NFL】

切りっぱなしのシャツを身につけ、ちらほらと白い毛が混じったトレードマークのあごひげを蓄えたフィラデルフィア・イーグルスのセンター(C)ジェイソン・ケルシーが、現地4日(月)に引退することを正式に発表。NFLキャリア最後のスピーチを行うにあたって、ケルシーは自らを奮い立たせる必要があったが、冒頭では涙があふれて10単語も話すことができずにいた。

ケルシーは感極まりながらも、殿堂入りが確実視されている選手にふさわしいスピーチを行い、約45分間、イーグルスのオーナーであるジェフリー・ルーリーやジェネラルマネジャー(GM)ハウイー・ローズマン、プロとしてのキャリアでともに戦ってきたチームメイトやコーチ、さらには幼少期のコーチやシンシナティ大学でキャリアを育んでくれた人々に至るまで、フットボールの旅を通して自分の人生に関わってくれたすべての人々に感謝の言葉を述べた。

ケルシーは涙を拭いながら「今日、フィラデルフィア・イーグルスでの13シーズンを経て、NFLから引退することを発表する」と語り、こう続けている。

「そして今日は、自分が本当は公の場で過大評価されていること、ものすごく過大評価されていることを、認めなくちゃならない。それでも、ここまで来るには多くの努力と決断が必要だった」

「俺はキャリアを通してずっとアンダードッグだったし、今もそうありたいと願っている。俺にとって、誰かの間違いを証明することほどうれしいことは、ほとんどなかった。母親は“ジェイソンに何かをさせたければ、お前にはできっこないと言うだけでいい”とよく言っていたし、今も言っている。認めたくないけど、ほとんどの場合でそれは真実なんだ。俺は疑ってくるやつらが大好きだ。そのおかげで熱くなれる。それは、両親から“ジェイソン、お前はできる。その気になれば何にでもなれるし、そのために懸命に努力しなさい”と言われて育ったからだと思う。だから、キャリアの中で、ファンやコーチ、チームメイトからも疑いの目を向けられることがあったけど、その度にアメリカン・ドリームが心の奥底から燃え上がった。それがジェフ・スタウトランド(イーグルスのオフェンシブラインコーチ)の“ハングリーな犬は速く走る”という言葉につながる」

2011年ドラフト6巡目指名を受けたシンシナティ大学出身のケルシーは、キャリアを通してイーグルスに所属。動きながら無数のパンケーキ・ブロックを決めてきたケルシーはプロボウルに7回、オールプロのファーストチームに6回選出されたほか、スーパーボウルリング1つを獲得している。

ケルシーは月曜日に「ありがとう、フィラデルフィア。この街の代表として、毎週日曜日に皆さんのお家にお邪魔させていただいたことを、心から感謝している」とコメント。

「本当に光栄だった。皆さんは俺と俺の家族にとても良くしてくれた。クリーブランドで育ち、お気に入りのアスリートたちがみんな街を去っていくところを目の当たりにしてきた。チーム全体が街を離れた。1つの街でキャリアを全うすることは、常に自分の目標だった。そして、これ以上いい街、これ以上合う街はないと思っていた。これからどうなるかは分からないけど、次の挑戦と機会が待ち受けていることを楽しみにしている。ここで得た教訓を胸に刻み、フィラデルフィアンズとしての絆を永遠に分かち合いたいと思っている。それがすべてだ」

オーナーのルーリーは声明の中で、ケルシーは理想的な“イーグル”であり、フィラデルフィアを代表する選手だと称賛しつつ、次のようにつづっている。

「ジェイソン・ケルシーがこの組織のみんなにとって、フィラデルフィアの街にとって、そしてファンにとって、どれほどの存在であったかを言葉にするのは難しい。彼は13年間、私たち全員にすべてを捧げてきた。そして、彼はそれを本物のやり方で行った。ジェイソンは素晴らしいフットボール選手だった。将来の殿堂入り選手であり、どこにいても成功を収めていただろう。しかし、これほど完ぺきな選手、街、チームの組み合わせはこれまでにあっただろうか?」

「シンシナティ大学でウオークオンのラインバッカーとなったところから、2011年に小柄な6巡目指名選手となるまで、彼の気概と決断力は比類ないものだった。ロックアウトシーズンに新人センターとして先発し、複数のコーチや攻撃スキームの下で成功を収めた彼の知性と多才さは、同じポジションの他の選手とは一線を画している。コーチ、チームメイト、スタッフへの真摯な愛と気づかいによって、彼は共に働くすべての人から愛されてきた。彼がフィールドの内外であらゆることに注いできた情熱と激しさに、街は恋に落ちた」

36歳の今でも、セカンドレベルに到達してコーナーを回り込み、バランスを保ちながら立ち向かってくる相手ディフェンダーをひっくり返す能力を持っているケルシーは、スペースで最高のブロッカーの1人だと言えよう。“Brotherly Shove(ブラザリー・シャブ)”という異名で親しまれている、イーグルスが得意とするQBスニークをけん引したのは、相手よりも低い位置につけるというケルシーのユニークな能力であり、相手チームがそれを止めることはほぼ不可能だった。

ケルシーはこれからの人生で何をするかは未定だと明かしている。テレビで活躍するにせよ、他のメディアに出るにせよ、ケルシーの旅路には、いつの日かオハイオ州カントンへ向かい、ゴールドジャケットを身につけることが含まれているはずだ。

「フィラデルフィア・イーグルスのスターセンターである@JasonKelceが引退を表明した今、2029年という年は注目に値する」

【RA】