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イーグルスDTコックスが12シーズンのキャリアに幕

2024年03月11日(月) 12:41


フィラデルフィア・イーグルスのフレッチャー・コックス【AP Photo/Matt York】

2024年、フィラデルフィア・イーグルスはまたしても伝説的な選手がキャリアを終えるところを目にしている。

現地10日(日)、プロボウルに6度選出され、第52回スーパーボウルチャンピオンに輝いた経歴を持つディフェンシブタックル(DT)フレッチャー・コックスが、ソーシャルメディアで引退することを発表。コックスはNFLで12シーズンのキャリアを積み、そのすべてをイーグルスで過ごしてきた。

コックスは『X』で「ありがとう、フィリー!」という言葉と共に声明を発表している。

「イーグルスファンへ」

「フィラデルフィア・イーグルスからドラフト指名されるという電話をアンディ・リードからもらった2012年4月26日は、自分の人生を永遠に変える特別な日となった。俺はNFL入りを果たし、生涯の夢をかなえた。しかし、その時はまだ、そこから12シーズンにわたってフィラデルフィアの街とイーグルスという組織を代表してプレーすることが、どれほどの光栄で名誉なことなのかは分かっていなかった」

「ジェフリー・ルーリー、ハウイー・ローズマン、ダグ・ペダーソン、ニック・シリアニ、ドン・スモレンスキー、そしてフィラデルフィア・イーグルスのサポートスタッフ全員に感謝したい。人数が多すぎて全員の名前を挙げることはできないが、皆さんは俺の人生とキャリアに多大な影響を与えてくれた。あなた方ひとりひとりから多くのことを学んだ。さまざまな形で1人の選手としてだけではなく、1人の若者を今の姿へと成長させてくれたことに、どれほど感謝しているか分からない」

「母のメリッサ、素晴らしいサポートをしてくれ、俺がベストを尽くせるよう奮い立たせてくれるお手本でいてくれてありがとう。俺のきょうだいのニッキーとパム、いつもそばにいて話を聞き、俺が直面していることを理解してくれてありがとう。ガールフレンドのケイシー、どんなときも俺のそばにいてくれてありがとう。亡き兄シャドリック、あなたはいつもどれほど俺のことを誇りに思っていたか。あなたは自分たちが来た場所から抜け出すことがどれほど難しいかを教えてくれた。あなたが亡くなってから、俺が成し遂げたことはすべてあなたのためだった」

「BG(ブランドン・グラハム)、(ジェイソン)ケルシー、レイン(ジョンソン)――あなたたちは俺にとっていつまでも特別な存在だ。トレント・コール――1年目の俺を指導してくれてありがとう。あなたが与えてくれたのと同じような影響を、自分も他の人たちに与えられていたらいいなと願うばかりだ。DB(デレック・バーネット)――君と俺は何年もかけて共に成長し、同じようなストーリーを共有してきた。君が俺にとってどれほどの存在なのか、君は知らないだろう。(ビニー)カリー――お互いをまったく知らない状態から、コンバインで同じグループになり、そして同じチームにドラフトされた。ルーキーの頃はルームメイトで、ベテランになると近所に住むようになった。君は俺にとって親友以上、つまり兄のような存在だ。他のチームメイトやコーチたち――俺はその友情を永遠に大切するつもりだ。俺たちは一生の思い出を作ってきた」

「世界中のイーグルスファン――あなたたちほど情熱的なファンは、どのスポーツ界にも存在しない。あなたたちは激しく、厳しいけど、それはあなたたちが深く関わってくれているからこそだ。ここでキャリアを積んできて、それ以外の形の応援を望んだことはなかった。リンカーン・フィナンシャル・フィールドのトンネルを駆け抜けるときの気持ちや、ビッグプレーを決めた後の観客のどよめきを忘れることは決してない。人生で最も誇らしい瞬間のひとつは、ロッキー・ステップで大勢のファンを眺めながらロンバルディトロフィーを掲げたときだ。自分たちが成し遂げられたこと、そしてそれが多くの人々にとってどれほどの意味があったかを実感して、息をのんだ」

「ワールドチャンピオンになる夢はおろか、プロレベルで戦うチャンスを持つ選手がそう多くはいないヤズーシティで育った。自分の故郷、ミシシッピ州、ミシシッピ州立大学を代表できたことを誇りに思っているが、フィリーはこの12年間、自分の故郷であり、これからも自分の中で特別な存在であり続けるだろう」

「熟考の末、フットボールというゲームから引退する決断をした。このチームとこの街にすべてを捧げてきた。この先どうなるかは分からないが、ここフィラデルフィアで、イーグルスという組織と共に過ごした時間に、一生感謝することは確かだ。GO BIRDS(ゴー・バード)!」

コックスが引退するというニュースは、長年センター(C)としてプレーしてきたジェイソン・ケルシーが正式に引退を発表した数日後に飛び込んできた。

2012年NFLドラフト全体12位指名を受けたコックスは、イーグルスが2017年シーズンにフランチャイズ史上初のロンバルディトロフィーを獲得する上で、重要な役割を果たした。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、通算で70.0回のサックを記録したコックスは、イーグルスの歴代サックランキングで5位につけており、2012年にリーグ入りして以来、ディフェンシブタックルのサック数としてアーロン・ドナルド(111.0回)、キャメロン・ヘイワード(79.5回)、クリス・ジョーンズ(75.5回)に次ぐNFL内4位になっているとのこと。

33歳のコックスは12シーズンでサック70.0回、タックル519回、クオーターバック(QB)ヒット173回、タックルフォーロス88回、フォースドファンブル16回、ファンブルリカバリー14回を記録。さらに、コックスはNFLの2010年代オールディケイドチームにも選出されている。

イーグルスの会長兼CEOであるジェフリー・ルーリーは声明で「成績面で称賛されるだけにとどまらず、対戦相手のコーチなら誰でも、91番(コックス)に対処するまではゲームプランを立てられないと言うだろう」と述べた。

「バックフィールドで大混乱を引き起こしたり、ダブルチームに挑んで他の選手を成功に導いたりと、フレッチャーはキャリアを通じてプレーしたあらゆるスタイルのディフェンスで成功を収めた。彼は信じられないほどタフかつ耐久力のある選手で、毎週、チームメイトのために体を張っていた。感銘を与える素晴らしいスピーチを行ってもらうにせよ、重要な場面でビッグプレーを決めてもらうにせよ、試合当日の雰囲気作りは、いつも彼を頼りにしていた」

イーグルスの2023年シーズンは、スーパーワイルドカードラウンドでタンパベイ・バッカニアーズに敗れたことで早々に終わりを迎えたが、コックスはタックル33回、サック5回、QBヒット17回、タックルフォーロス3回、フォースドファンブル1回、ファンブルリカバリー1回と、キャリア最後のシーズンに全力を尽くした。

コックスはイーグルスの豊かな歴史の中で偉大なディフェンダーの1人として記憶されるだろう。一方で、イーグルスは2024年シーズンを迎えるにあたって、また1人、卓越した選手がディフェンシブラインからいなくなった状態に適応する必要がある。

【RA】