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スティーラーズがQBピケットをイーグルスにトレード、ラッセル・ウィルソンの先発QBの道を確保

2024年03月16日(土) 12:13

ピッツバーグ・スティーラーズのケニー・ピケット【AP Photo/Matt Freed】

ピッツバーグ・スティーラーズがクオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンと契約したことで、スティールシティの愛称で知られるピッツバーグにおけるQBケニー・ピケットの在籍期間は予想外の終わりを迎えた。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地15日(金)に報じたところによると、スティーラーズがピケットおよびドラフト4巡目指名権(全体120位)をフィラデルフィア・イーグルスにトレードする見込みだという。スティーラーズはこのトレードでドラフト3巡目指名権(全体98位)およびイーグルスが持つ7巡目指名権のうち高い方から2つの権利を受け取るとラポポートはつけ加えた。

このトレードのニュースを最初に報じたのは『CBS Sports(CBSスポーツ)』のジョジーナ・アンダーソンだ。

また、NFLネットワークのトム・ペリセロが報じたところによれば、ピケットは10日夜にソーシャルメディアを通じてウィルソンの契約について知り、11日朝にスティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンから、ウィルソンが先発クオーターバックの座を確保するためにファーストチームの練習に参加すると言われたことを受けてトレードを要求したとのこと。ペリセロによると、トムリンHCはこれまでにピケットに対し、先発の座を争う機会があると伝えていたようだ。

ピケットがスティーラーズ入りするまでの道のりは最小限だった。ピッツバーグ大学でスター選手だったピケットは2022年ドラフト全体20位指名選手としてUPMCルーニー・スポーツ・コンプレックスの一角からもう一角に自分の荷物を移動させるだけでよかった。これは一見、元QBベン・ロスリスバーガーの引退に伴う、事実上の後継計画を作り上げるかのような動きだったと言える。

しかし、意図した通りには機能しなかった。QBミッチェル・トゥルビスキーのバックアップとしてルーキーシーズンをスタートしたピケットは、2022年シーズン第4週にはトムリンHCによって苦戦するトゥルビスキーの代役として起用され、NFLの戦いの渦中に身を置くことになる。そこから2023年シーズンの中盤までピケットは先発の座にいたものの、パフォーマンスと可用性の両方で一貫性を見いだすのに苦労し、何度もケガでプレー時間を失った。

ピケットの時代が終わりに近づいていることを最も感じさせたのは、トムリンHCが2023年シーズンの終盤1カ月で、ケガから復帰したピケットよりもベテランバックアップQBメイソン・ルドルフを続投させることを選んだ時だった。結果的に、ルドルフはスティーラーズを予想外のプレーオフ進出に導いている。この一連の出来事により、2024年シーズンに向けてクオーターバックを取り巻く状況が不透明な状態だったスティーラーズは、3月に入ってリリースされたばかりのウィルソンと契約することになった。

スティーラーズが来季にウィルソンを先発起用させる意向を明確にしたことが、ピケットをトレードする決断につながっている。ピケットはイーグルスでも先発するチャンスはないだろう。イーグルスでは、フランチャイズクオーターバックであるジェイレン・ハーツが2024年シーズンに向けて先発クオーターバックの座を確固たるものにしている。

ピケットがスティーラーズで苦闘したのは、ピケット自身だけの責任だとは見なされないだろう。ピケットは攻撃コーディネーター(OC)マット・カナダの下で1シーズン半を過ごしたが、そのプレーコール能力の低さがスティーラーズファンを激怒させており、最終的にはトムリンHCが2023年シーズンの途中でカナダOCを解雇せざるを得なくなる。ピケットはカナダOCの後の舞台で即座に改善の兆しを見せたが、クオーターバックの問題がピケットではなくカナダOCだったことを証明できるほど長くフィールドにとどまることはできなかった。

スティーラーズファンはその真実を知ることはないまま、代わりにウィルソンがクオーターバックとして率いる2024年シーズンに備えることになる。一方、2022年のNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンであるイーグルスにとって重要なシーズンとなるであろう来季において、ピケットはクリップボードを持って、ハーツ、ニック・シリアニHC、そしての残りのイーグルスのメンバーからできる限りの知恵を吸収する準備をするだろう。

【KO】