ブラウンズがWRジューディと3年最大88億円の契約延長で合意
2024年03月20日(水) 12:14クリーブランド・ブラウンズにトレードされたワイドレシーバー(WR)ジェリー・ジューディは新たなチームおよびクオーターバック(QB)とともに大きな期待を一身に背負って2024年シーズンに挑むと同時に、自らの能力を証明するシーズンになると思われていた。
少なくとも現地19日(火)まではそうだった。というのも、ブラウンズはジューディに長期投資の価値があることを証明させるどころか、ブラウンズで1スナップもプレーしないうちに3年の延長契約を結んだのだ。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが火曜日に報じたところによれば、ジューディの契約金は完全保証額4,100万ドル(約61億9,653万円)を含む最大5,800万ドル(約87億6,583万円)だという。
つまり、今回の契約延長はブラウンズのジェネラルマネジャー(GM)アンドリュー・ベリーが、ジューディ自身もまだ自覚していないであろうポテンシャルに信頼を寄せていることを表明した格好だ。2020年NFLドラフト全体15位で指名されたジューディは4シーズンにわたってポテンシャルを垣間見せてきたものの、ケガのために出場機会を失ったり、試合中に出番がなくなったりと苦戦を強いられてきた。後者については、デンバー・ブロンコスのクオーターバックの状況——ジューディの加入当時はあまり良い状況ではなく、QBラッセル・ウィルソンとの2年間の試みが失敗に終わったあとも流動的だった——を指摘することで簡単に説明できる。しかし、単純に、ジューディが多くの人が信じているほど優れているわけではないと考えることも妥当だろう。
4月に25歳を迎えるジューディとこのような契約を結ぶにあたって、ベリーGMは明らかに前者――ケガがジューディのポテンシャルを妨げていること――にかけていると言えよう。
ブラウンズが発表した声明の中でベリーGMは「この春、トレードでジェリーを獲得した時、彼が2024年以降のオフェンスの中心メンバーになるというビジョンを持っていた。彼はマンカバレッジに対して打ち勝てるハイレベルな能力を持ち、サイドライン際やスロットでも多様なプレーができるスキーム万能のレシーバーだ」と述べている。
「彼のような情熱的で競争力のある選手が加わることは、現在そして将来にわたって私たちのオフェンスにとって重要な要素になると考えた。24歳という全盛期を迎えたばかりのジェリーを、今後数シーズンにわたりブラウンズの一員として迎えられることをうれしく思うし、最高のシーズンはこれからだと信じている」
1,000レシーブヤードを突破したシーズンがキャリアで一度もないジューディに4,100万ドルを渡すのは無謀にも見える。この契約延長はベリーGMが3月初めにジューディ獲得のために実行したリスクの少ないトレードを倍増する形になっており、まるでベリーGMが事前に自分の動きを確信していたかのようだ。
しかし、このような状況下での資金繰りは、後から考えるとベリーが機転の利くGMであるように見えるかもしれない。もちろん、これは数字上の理論にすぎないが、このような場合、ジェネラルマネジャーは延長契約によって目先の柔軟性と引き換えに、報酬金を将来に回すことができる。ブラウンズのようなコンテンダーは通常、不調なレシーバーに何百万ドルも浪費するリスクよりも、今を大切にするものだろう。
最大5,800万ドルの契約金は、ジューディがこの契約に含まれるすべてのインセンティブ(および関連する可能性のあるロースターボーナス)を達成して初めて手にするものだが、まだその詳細は公開されていない。現時点でより重要なのは保証される4,100万ドルの方であり、これを3年間で分割すると1年平均1,366万ドル(約20億6,505万円)となり、ジューディの元チームメイトであるコートランド・サットンを下回るものの、アトランタ・ファルコンズの新しいWRダーネル・ムーニーやジャクソンビル・ジャガーズに新加入したWRゲイブ・デービスをわずかに上回る。
ムーニーは1,000レシーブヤードを突破したシーズンを1度経験している。しかし、過去2シーズンでは500ヤードを超えることができていない。一方で、デービスの2022年と2023年の成績はジューディのそれと似ているが、デービスはバッファロー・ビルズのスターQBジョシュ・アレンとプレーしてこの数字を出したのに対し、ジューディはウィルソンとジャレット・スティッドハムと共にプレーしていた。
アマリ・クーパーを筆頭とし、エライジャ・ムーアに支えられたブラウンズのレシーバー陣の中でプレーしながら、ジューディが本当に潜在能力を発揮できれば、年俸1,366万ドルの価値がある。そして、ジューディがブラウンズに移籍してきた時の低い期待を上回れば、さらに稼ぐことができるはずだ。
そうなれば、ベリーGMは天才に見えるだろう。また、ベリーGMが契約を適切に構成していれば、この契約を額面通りに見た場合、そのマイナス面は大方が想定しているほど恐ろしいものではないかもしれない。
もちろん、最終的には時間が経てば分かることだ。とはいえ、ベリーGMはブラウンズが今勝つために動いており、2024年の極めて重要なシーズンを前にして大胆な行動に出ることに批判を浴びることもいとわないということを改めて示している。
【KO】