コラム

第9週にNFCの天王山、ラムズ対セインツ

2018年11月03日(土) 09:06


ロサンゼルス・ラムズのジャレッド・ゴフ【AP Photo/Marcio Jose Sanchez】

2018年シーズンは折り返しを迎え、そろそろプレーオフピクチャーが気になり始めるころだ。シーズン後半のスタートとなる第9週にNFCは大一番を迎える。リーグ唯一の無敗チームであるラムズ(8勝0敗)が敵地に乗り込んでセインツ(6勝1敗)と対戦することになっており、現時点のNFCトップ2チームによる、まさに天王山だ。

抜群の安定感で絶好調のこの2チームの直接対決がプレーオフにおけるシード順位に大きく影響することは間違いない。もっと言えばNFCのトップシードを決める戦いになる可能性が高いのだ。

ラムズがセインツを下せばNFCにおける1敗チームが消滅し、プレーオフの第1シードとホームフィールドアドバンテージ獲得に向けて大きな一歩となる。セインツが勝てば1敗で並ぶ(消化試合数が違うので勝ち星はラムズが依然として有利)が、直接対決を制すればシーズン終了時に勝率が並んだ際に有利な材料となる。

この試合における「1敗」の重みはセインツのほうが大きい。NFC南地区では現在、セインツが首位ではあるものの、パンサーズが5勝2敗で続いており、最近5試合では4勝1敗と好調だ。直接対決は第15週と第17週に残されており、パンサーズに逆転地区優勝のチャンスは十分にある。セインツは今、トップ2シード圏内にあるが、終わってみればワイルドカードでのプレーオフ出場となる可能性もあるのだ。

カンファレンス内の他ディビジョンのチームを見ると5勝2敗のレッドスキンズや4勝3敗のベアーズ、バイキングス、シーホークスの動向が気になるところ。

試合は派手な点の取り合いが期待できそうだ。セインツはチーフスに次ぐリーグ2番目の得点力を誇る(1試合平均33.4点)。それに続くのがラムズだ(33.0点)。ただし、舞台となるメルセデス・ベンツ・スーパードームは人工芝であり、ラムズがロサンゼルスに移転してから使用しているメモリアル・コロシアムは天然芝だからセインツ有利かもしれない。

クオーターバック(QB)対決も注目だ。ベテランのドリュー・ブリーズはここまで被インターセプトがわずか1回と好調を維持している。3年目のジャレッド・ゴフとの新旧QB対決は楽しみだ。

ランニングバック(RB)の比較も面白い。セインツのアルビン・カマラとラムズのトッド・ガーリーはいずれもラン、パスキャッチともに優れている。どちらが有能かではなく、どちらがより多くプレーメークするかが比較ポイントだ。

ディフェンスならパスラッシュとターンオーバー率ではラムズに利がある。ただし、パスのリリースが早くコントロールミスもほとんどないブリーズの前にはこの数字はあまり意味をなさない。やはり今年のリーグ全体の傾向通り、点の取り合いで、その競り合いに勝ったチームが勝ち名乗りをあげることになるだろう。

たかが中盤の対戦と言うなかれ。この試合はNFCのスーパーボウル出場権を見据えた重要な一戦なのだ。

いけざわ・ひろし

生沢 浩
1965年 北海道生まれ
ジャパンタイムズ運動部部長。上智大学でフットボールのプレイ経験がある。『アメリカンフットボールマガジン』、『タッチダウンPro』などに寄稿。NHK衛星放送および日本テレビ系CSチャンネルG+のNFL解説者。著書に『よくわかるアメリカンフットボール』(実業之日本社刊)、訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。日本人初のPro Football Writers Association of America会員。