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新規定により2026年に殿堂入りを果たす可能性が高まるベリチック、キャロル元HC

2024年08月24日(土) 19:06


ビル・ベリチック【AP Photo/Michael Dwyer】

プロフットボールの殿堂の資格規定の変更により、2人の伝説的なヘッドコーチ(HC)の殿堂入りが早まる可能性が出てきた。

殿堂は現地23日(金)に選考プロセスを見直した新たな規定を発表し、加えて重要な変更点を明らかにした。それはコーチの殿堂入りの資格獲得の待機期間が、引退後5シーズンから1シーズンに短縮されたというものだ。

現実的に考えると、これはスーパーボウル制覇8回を誇るビル・ベリチック元HCが2026年に殿堂入りの資格を得ることを意味する。また、2024年に退任するまでシアトル・シーホークスを率いて10年間にわたるタイトル争いを繰り広げ、第48回スーパーボウルで優勝を手にしたピート・キャロル元HCにも同じことが言える。

もしどちらも2025年に再び仕事を引き受けなければ、ベリチックは殿堂入りがほぼ確実となり、キャロルについても好意的な議論ができるだろう。また、『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、どちらかのコーチが殿堂入り後に再び仕事を引き受ける場合、2人はジョー・ギブスとポール・ブラウンに次いで、殿堂入り後に引退から復帰して再びNFLのヘッドコーチとなる数少ない人物となるという。

ベリチックはニューイングランド・ペイトリオッツを強豪チームに育て上げ、ヘッドコーチとして9回のスーパーボウルに出場し、6つのロンバルディ・トロフィーを獲得することで、アメリカンフットボール史上最高のコーチと評される地位を確立した。ベリチックはスーパーボウル最多勝利(8回、そのうち2回はアシスタントコーチとして)、ヘッドコーチとしてのスーパーボウル最多勝利、スーパーボウル最多出場(12回)、ヘッドコーチとしてのプレーオフ最多勝利(31勝)、ヘッドコーチとしての最多地区優勝(17回)という記録を保持している。ベリチック指揮下のペイトリオッツほど一貫して強さを誇ったチームはなく、その24年間の指揮のもとでペイトリオッツは266勝121敗を記録し、プレーオフでは42試合中30試合で勝利を収めた。しかし、クオーターバック(QB)トム・ブレイディがタンパベイ・バッカニアーズに移籍してからチームの基盤が崩れ始め、ベリチックは2024年に双方合意の上でペイトリオッツに別れを告げている。

一方、1990年代にペイトリオッツで苦しい時期を過ごしたキャロルは大学フットボールの世界に戻り、2000年代初頭に南カリフォルニア大学(USC)を強豪チームに育成。AP全米タイトルを2回(2003年と2004年)獲得した後、2010年にシーホークスのヘッドコーチとしてNFLに復帰している。わずか3シーズンで、キャロルはシーホークスをチーム史上初のスーパーボウル制覇に導いており、2014年2月に強豪のデンバー・ブロンコスを相手に43対8で圧勝した。そして1年後、シーホークスは連覇達成まであと一歩のところまで迫ったが、第49回スーパーボウルではベリチック率いるペイトリオッツに最終的に敗れている。

キャロルはシーホークスを再びスーパーボウルの大舞台に導くことはできなかったものの、ヘッドコーチとして、レギュラーシーズンでは137勝89敗1分、ポストシーズンでは10勝9敗という成績を残してシアトルを去った。

キャロルとベリチックは両者とも70代前半であり、どちらのコーチに関係する人々も、殿堂の新しい資格要件に異議を唱えることはなさそうだ。これまでは殿堂入りを5年待つというのが確固たる伝統の1つであっただけに、違和感を覚えるかもしれないが、どちらのコーチに対しても異議を唱えるのは難しいだろう。

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