ジャガーズHCに就任のコーエン元OCに対して「恨みはない」とバッカニアーズQBメイフィールド
2025年02月04日(火) 16:45リアム・コーエンがチームを去ったことについて、クオーターバック(QB)ベイカー・メイフィールドは割り切っているようだ。
タンパベイ・バッカニアーズの元攻撃コーディネーター(OC)であるコーエンは、1月24日にジャクソンビル・ジャガーズのヘッドコーチに就任した。最初は候補から辞退し、バッカニアーズとの新契約を結んだが、その後ジャガーズの2度目の面接を受け、最終的にオファーを受け入れるという波乱の1週間となった。
それでもメイフィールドは、その経緯に対して理解を示している。
「納得できない人もいるかもしれないけど、彼にとっても、アシュリー(コーエンの妻)や子どもたちにとっても最善の決断だ」と、メイフィールドは週末に行われたプロボウルの会場で『ESPN』のジェナ・レインに語った。
「恨みはない。もちろん、彼に残ってほしかったけど、仕方がないことだよ。人生はこれからも続くし、彼のことを応援している」
これで2年連続でメイフィールドのOCがヘッドコーチ職へと旅立ったことになる。2023年にバッカニアーズに加入して以来、ジャーニーマンだったメイフィールドは自身のキャリアを軌道に乗せただけでなく、指導者の出世ルートを築く存在となっている。
最初にメイフィールドを復活させたのは、当時のOCデイブ・カナルスだった。彼の指導のもと、メイフィールドは4,044ヤード、タッチダウン28回、インターセプト10回を記録し、キャリア初のプロボウルに選出。カナルスがカロライナ・パンサーズのヘッドコーチに就任すると、後任としてコーエンが着任し、メイフィールドはさらに進化を遂げた。
コーエンの下でメイフィールドは前年のキャリアハイを大幅に更新。パス成功率71.4%、4,500ヤード、タッチダウン41回と圧巻の成績を残した。恩恵を受けたのはメイフィールドだけではない。コーエンはそれまで2年連続でリーグ最下位だったバッカニアーズのラン攻撃を立て直し、NFL4位のランヤードを記録した。
バッカニアーズはオフェンス全体でも得点でリーグ4位、総獲得ヤードでは3位につけている。
この成功により、コーエンは各チームから熱視線を浴び、最終的にジャガーズからのオファーを受け入れることとなった。
かつて全体1位指名を受けながらも、バッカニアーズにたどり着くまで不安定なキャリアを歩んできたメイフィールドは、NFLの世界がいかに移り変わりの激しいものかを誰よりも知っている。昨年のヘッドコーチ候補リストに名前が挙がっていたヒューストン・テキサンズの元OCボビー・スロウィックは、一度チームに残留したものの、コーエンがジャガーズに採用された同じ日に解雇された。
同様に、バイロン・レフトウィッチも2019年から2022年にかけてバッカニアーズのOCを務め、一時はヘッドコーチ候補とされていたが、解雇後はNFLの仕事に就いていない。
ジャガーズのファンは、メイフィールドが受けた恩恵を、同じく1巡目指名のQBトレバー・ローレンスにも期待しているはずだ。
NFLで4シーズン目を終えたローレンスは成績に波がある。ルーキーイヤーはアーバン・マイヤー元HCの下で低迷した一方で、2年目にはダグ・ペダーソンHCの指導を受け、4,113ヤード、タッチダウン28回を記録し、成長を遂げた。ところが、その後は負傷と不安定なプレーに苦しみ、年間5,500万ドル(約85億3,600万円)の契約に見合う活躍には至っていない。
メイフィールド自身がコーエンの指導で成長したように、ローレンスの潜在能力もさらに引き出せると確信している。
「リアムはうちのオフェンス全員にフットボールを教え込んだ男だ」とメイフィールドは『SiriusXM NFL Radio(シリウスXM NFLラジオ)』に語った。
「個人的にはプレスナップでの調整や、瞬時の状況判断能力を大きく向上させてくれた。トレバーにとっても、リアムはその力を引き出してくれる存在になるはずだ。プレー面だけでなく、それ以外の部分でも成長を促してくれると思う。だから、これからのトレバーが楽しみだ」
もしローレンスがコーエンのもとで飛躍し、その成長を持続させることができれば、ジャガーズがヘッドコーチ選びに費やした時間と労力は十分に報われるはずだ。
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