ドルフィンズがCBラムジーおよびTEスミスと引き換えにスティーラーズSフィッツパトリックを獲得、ドラフト指名権も交換
2025年07月01日(火) 09:31
6月最終日に大型トレードが成立した。
現地6月30日(月)、マイアミ・ドルフィンズがコーナーバック(CB)ジャレン・ラムジー、タイトエンド(TE)ジョンヌ・スミスおよび2027年ドラフト7巡目指名権をピッツバーグ・スティーラーズに送り、その見返りとしてセーフティ(S)ミンカ・フィッツパトリックおよび2027年ドラフト5巡目指名権を獲得するという大型トレードが成立したと、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが報道。その後、両チームがトレードを正式に発表した。
ラポポートとペリセロによると、ドルフィンズは今オフシーズンにラムジーに400万ドル(約5億7,450万円)を支払っており、トレード成立を促進するためにさらに300万ドル(約4億3,088万円)を追加したという。一方、スティーラーズはラムジーに150万ドル(約2億1,544万円)の昇給を提示し、今季の報酬の残額(2,660万ドル/約38億2,043万円)を負担するとのこと。ラポポートはスティーラーズがスミスに1年1,200万ドル(約17億2,350万円)の契約延長を提示したとも指摘している。
ラポポートとペリセロは4月15日、ドルフィンズとラムジーがトレードの可能性を探ることに合意したと報じた。しかしその後、ドラフトを終え、OTA(チーム合同練習)や参加必須のミニキャンプ――ラムジーは出席しなかった――を経ても、進展はなかった。
今回、ついに動きがあり、両チームが大きな賭けに出た衝撃的な取引が成立した。
ラムジーは、昨シーズンに被得点で8位につけ、総合的に堅固だったものの、被パスヤードがリーグ下位10位と空中戦に明確な弱点を抱えていたスティーラーズ守備陣に加わる。7度のプロボウル選出経験を持つラムジーは、スティーラーズがその弱点を克服しようとする上で、まさに理想的な存在と言えるだろう。
ラムジーは9シーズンのキャリアでインターセプト24回、パスディフェンス108回、タックル534回を記録し、守備力の高さを証明してきた。今シーズン中に31歳になるため、同年代の多くのコーナーバックと同様に若干の衰えは見られるかもしれないが、ラムジーの本能的な守備力は健在であり、ダリウス・スレイ、ジョーイ・ポーターJr.、ビーニー・ビショップJr.、デション・エリオット、フアン・ソーンヒルらがそろうスティーラーズのセカンダリーを高みに導く存在となるだろう。
オフシーズンにトレードのうわさに名前が挙がっていたスミスは、スティーラーズで攻撃コーディネーター(OC)を務めているアーサー・スミスと再会することになった。アーサーは2023年にアトランタ・ファルコンズのヘッドコーチ(HC)、2019年から2020年にはテネシー・タイタンズの攻撃コーディネーターとしてジョンヌと関わっていた人物だ。ジョンヌは昨季にチームトップのレシーブ数を記録したTEパット・フリーアムスと共に、ダイナミックなTEコンビを形成することになるだろう。
ジョンヌ・スミスが自己最高の2024年シーズン(キャッチ88回で884ヤード、タッチダウン8回)の成績を維持し、昨季にキャッチ65回で653ヤード、タッチダウン7回を記録したフリーアムスとタッグを組めば、ワイドレシーバー(WR)陣の層が薄い中でもスティーラーズのパス攻撃は相当な脅威となる可能性がある。3月にトレードで加入したD.K.メットカーフは、ジョージ・ピケンズがダラス・カウボーイズに移籍して以来、チームのトップワイドレシーバーとなっている。現在のスティーラーズで他に大きな脅威となりうるワイドレシーバーは、スピードはあるがさらなる成長が求められるカルビン・オースティン三世と、ルーキーシーズンに1試合を除くすべての試合を欠場したロマン・ウィルソンだ。
スティーラーズはオフシーズンにさまざまな駆け引きを行い、クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースにとってNFLでの最後のシーズン、そして、チームと共にスーパーボウル出場を目指す唯一の機会となりうるシーズンに向けて準備を進めている。
ただし、月曜日の動きには代償も伴っており、スティーラーズはこの取引を実現するために、守備の要となる選手を手放さなければならなかった。
フィッツパトリックはスティーラーズ在籍中にプロボウルに4度、オールプロのファーストチームに3度選出され、タックル516回、インターセプト18回、タッチダウン3回を記録。今回のトレードでフィッツパトリックは自身を指名したチームと再びタッグを組むことになるが、キャリア2シーズン目の途中にスティーラーズへ移籍するまで、ドルフィンズではわずか18試合しか出場していなかった。
成熟し、安定した実力を持つフィッツパトリックは、昨季に被得点で10位にランクインした守備陣をさらに強化する能力を持ってサウスビーチに戻ってくる。
ドルフィンズはストーム・ダックやケイダー・コホウ、キャム・スミス、アーティー・バーンズ、ケンダル・シェフィールド、ドラフト5巡目指名した新人のジェイソン・マーシャルJr.といった選手にコーナーバックとして成長してもらう必要があるものの、ラムジーを手放す代わりに、不確実性を伴うドラフト指名権だけではなく、真のスター選手も獲得した。
ドルフィンズの動きはまだ終わらないかもしれない。ペリセロによれば、ドルフィンズはスミスの退団によってあいた穴を埋めるために複数のチームと交渉し、ファラオ・ブラウンやジュリアン・ヒル、タナー・コナーが在籍するTE陣に新たな戦力を加えようとしているという。
今はNFLにとって静かな時期のはずだが、ドルフィンズとスティーラーズは目を覚ましたまま積極的に動いている。
【RA】