NBA王者サンダーのようにチームの好転を目指すレイダースDEクロスビー
2025年06月30日(月) 11:40
ラスベガス・レイダースのディフェンシブエンド(DE)マックス・クロスビーにとって、体制が変わろうとも“勝利あるのみ”という信念は揺るがない。
プロボウルに4年連続で選出され、通算59.5回のサックを記録しているクロスビーは、NFLキャリア7年目を迎える。それでもチームとしての成功にはいまだ恵まれていない。自身にとって4人目の正式なヘッドコーチ(HC)となるピート・キャロルのもとで、ようやく継続的に勝てるチームへの変貌を願っている。
『The Athletic(ジ・アスレチック)』のタシャン・リードによると、クロスビーは現地26日(木)に開催された毎年恒例の“Sack Summit(サック・サミット)”で、「フィールドに立つなら、常に勝てる状況に身を置きたい」と語ったという。
「個人の成功や記録は素晴らしい。でも、それがこの競技をプレーする理由ではない。プレーする目的は勝つことだ。NBAでもその例があったばかりだろ?オクラホマシティ・サンダーはほんの数年前までリーグ最下位クラスだった。だけど、若手を多く抱えながらもプロセスを信じて、地道に育ててきた。その結果、今ではチャンピオンだ」
「俺たちも勝ちたいんだ。本気で勝ちたい。そのためにすべてを懸けてきた。チームのみんなにも同じ気持ちでいてほしい。それが俺の目標でもある。できる限り多くの仲間とその思いを共有したい」
言うまでもなく、近年のレイダースは勝利から遠ざかっている。
2002年シーズンの第37回スーパーボウルで敗れて以降、レイダースがプレーオフに進出したのはわずか2回。いずれもワイルドカードで姿を消している。クロスビーはこれまでに4度の負け越し、1度の勝率.500シーズンを経験し、プレーオフ出場は2021年の1回のみ。その年もジョン・グルーデンHCがシーズン途中に辞任するという混乱の中にあった。
クロスビーは2021年シーズンの後半を暫定HCリッチ・ビサッチアのもとで戦い、2023年にはジョシュ・マクダニエルズHCの解任によりアントニオ・ピアース暫定HCのもとでシーズンを終えた。ピアースは翌シーズンに正式に就任したものの、チームは4勝13敗と、クロスビー在籍期間中で最悪の成績を記録し、1年限りで職を退いている。
一方のサンダーは、ほんの数年前までNBAの最下位争いをしていたチームだった。2020年シーズンは22勝にとどまり、その翌年も24勝58敗とリーグで4番目に低い成績を残した。だが、1週間前にはNBA王者としてラリー・オブライエン・トロフィーを掲げている。
NFLでも、状況の劇的な変化は常に起こり得る。レイダースにもサンダーのように、見ていてワクワクするチームへと成長できるだけの素地がある。
そのカギを握るのがキャロルHCだ。前任地のシアトル・シーホークスでは就任1年目でプレーオフに進出し、4年目でスーパーボウルを制している。
2度のプロボウル選出を誇るクオーターバック(QB)ジーノ・スミスもキャロルHCと再合流し、ここ数年不安定だったポジションにようやく安定感が戻る可能性がある。2025年ドラフトで全体6位指名を受けたランニングバック(RB)アシュトン・ジェンティも注目の逸材であり、レイダースのバックフィールドに新たな活力をもたらす存在となり得る。さらに、NFL史上最高の勝者の一人であるトム・ブレイディもオーナーとしてチームに関わり、その影響力は小さくない。
足首のケガによりキャリア初の長期離脱を経験したクロスビーも復帰を果たし、ディフェンスをけん引する準備は整っている。
クロスビーはこのオフシーズンに契約延長にサインし、キャロルHCおよび新任のジェネラルマネジャー(GM)ジョン・スパイテックのもとで、今後もチームの中心としてプレーしていく意欲を見せている。ただし、契約や新戦力の補強、スタッフの刷新だけで勝てるわけではないことも、クロスビーは理解している。必要なのは、地に足の着いた努力の積み重ねだ。
「新体制のレイダースが自分に対してこのような敬意を示してくれたことは、当然ながら名誉なことだ」と、クロスビーは3年の契約延長について述べている。
「自分にとっては何より大きな意味がある。スパイテックも言っていたように、大事なのはこれまでの実績ではなく、これから何を成し遂げるかだ。やるべきことは山ほどある」
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