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誕生日にスーパーボウルでピックシックスを決めたイーグルスCBデジャン、「まだ実感がない」

2025年02月13日(木) 11:48


フィラデルフィア・イーグルスのクーパー・デジャン【NFL】

第59回スーパーボウルを前に、誕生日にタッチダウンを決めると予想されていたフィラデルフィア・イーグルスの選手がいるとすれば、それは間違いなくランニングバック(RB)セイクワン・バークリーだった。

しかし、ピックシックスとスーパーボウルリングで22歳の誕生日を飾ったのは、ルーキーコーナーバック(CB)クーパー・デジャンだった。

デジャンが決めた38ヤードのインターセプトリターンタッチダウンは、イーグルスがカンザスシティ・チーフスを40対22で下した試合の大きなターニングポイントとなった。それだけでなく、スーパーボウル史上、誕生日に得点を挙げた初めての、そして唯一の選手として歴史に名を刻んだ。

現地11日(火)、『The Rich Eisen Show(リッチ・アイゼン・ショー)』に出演したデジャンは、「本当に信じられない」と語った。

「まだ実感がない。このグループの一員として、このディフェンスの一員として、そしてこの1年で達成できたことすべてに、ただただ感謝している。あのプレーは、フロントの選手たちの働きがあってこそ生まれたし、セカンダリーのみんながシーズンを通して一丸となって戦ってきたからこそ実現した」

バークリーはスーパーボウル当日に28歳の誕生日を迎えた。2024年のレギュラーシーズンでは圧巻のパフォーマンスを見せ、シーズン合計で2,000ランヤード超えを達成。この流れでスーパーボウルでもタッチダウンを決めるのはほぼ確実と思われていた。バークリーはプレーオフを含めた単一シーズンのラッシング記録を更新し、またひとつ偉業を成し遂げている。しかし、スーパーボウルではチーフスの徹底した対策により、25回のキャリーで57ヤードに抑えられ、エンドゾーンには一度も到達できなかった。

第2クオーター中盤、エンドゾーンに到達したのはデジャンだった。インターセプトリターンタッチダウンにより、イーグルスは17対0とリードを広げる。振り返れば、試合開始から圧倒的な強さを見せつけていたイーグルスだが、得点差は10対0に過ぎなかった。だが、この得点が流れを決定づけ、試合は大勝へと一気に傾いている。

その瞬間、デジャンは完璧にクオーターバック(QB)パトリック・マホームズの動きを読み、キャリア初のインターセプトを記録。そのまま得点を目指して駆け出した。

マホームズが右へロールアウトし、苦しまぎれのパスを放った瞬間、デジャンがその軌道に滑り込み、ボールをキャッチ。一気にフィールドを逆方向へと切り替えた。タックルを受けることなく反対側のサイドライン際まで到達すると、内側へ切れ込み、チーフスのオフェンシブラインマンを1人かわす。そして、別のラインマンの腕を振り切りながら、エンドゾーンへ突き進んだ。

「あの時はゾーンディフェンスだった」とデジャンは振り返る。

「自分のゾーンにドロップバックしていたところ、(ミドルラインバッカー/MLB)ザック・バウンがフラットに流れる相手を追ってくれたおかげで、内側に戻ってクロスしてきたレシーバーのルートを狙うことができた。もし自分が取らなかったとしても、CBクインヨン・ミッチェルがインターセプトしていたかもしれない。でも、自分の目の前にボールが飛んできた。キャッチしなきゃと思ったよ。今シーズンはいくつか落としてしまったからね。今回はしっかり捕まえて、一番速くエンドゾーンに行けるルートを見つけた」

得点を決めた後にデジャンはハイステップを踏みながらエンドゾーンを走り回わり、この信じられない瞬間を共に祝うチームメイトを探した。

「子どもみたいに走り回っていたよ」と、この試合で3回のタックルを記録しているデジャンは語った。

「得点した時のセレブレーションは特に考えていなかったんだ」

試合後にはしっかりとセレブレーションが用意されていた。デジャンはスーパーボウル制覇の歓喜に包まれながら、バースデーケーキを頬張った。

AP通信NFLディフェンス部門新人賞の投票で4位に入ったデジャンは、これ以上ない形で華々しいルーキーイヤーを締めくくることになった。2巡目指名のデジャンは、『Pro Football Focus(プロ・フットボール・フォーカス)』の総合評価で86.3を獲得。AP通信NFLディフェンス部門年間最優選手賞に選ばれたCBパトリック・サーテイン二世を含むトップクラスのコーナーバックと肩を並べた。

デジャンに加え、ミッチェル、ディフェンシブタックル(DT)ジェイレン・カーター、ディフェンシブエンド(DE)ノーラン・スミスら若手の活躍により、イーグルスの新世代の台頭が鮮明になった。彼らはCBダリアス・スレイ、バウン、セーフティ(S)C.J.ガードナー・ジョンソンといったベテラン勢と見事に融合し、イーグルスの強固なディフェンスを支えた。

それを象徴するように、試合前にディフェンスを鼓舞したのはカーターだったという。

「普段はB.G.(グラハム)が話すんだけど、今回は控えめだった」とデジャンは明かしている。

「代わりにジェイレン・カーターがフィールドに出る前に率先して語ったんだ。これは最後のチャンスなんだから、すべてを出し切ろうって。自分の持てる力をすべて注ぐから、みんなも同じように全力を尽くしてほしいってね。俺たちは日曜日の夜にその言葉通りのプレーをしたと思う」

実際、イーグルスは日曜日の夜にシーザーズ・スーパードームでスーパーボウルの舞台にふさわしい完璧なパフォーマンスを披露した。

デジャンの活躍、特に歴史に刻まれるインターセプトタッチダウンは、チームの勝利を決定づける大きな要因となった。デジャンは誕生日のロウソクとともに、チーフスの希望の火も吹き消したのだ。

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