FAで「積極的」な動きを見せ、QBマレーを中心にチーム構築する意向のカーディナルス
2025年02月23日(日) 12:04
2024年シーズンが終わりに近づくにつれ、明確になったことが1つある。それは、アリゾナ・カーディナルスがNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区で優勝するためには、ロースターを強化する必要があるということだ。
『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、カーディナルスはNFLで4番目に多いキャップスペースを保有しているとのことで、彼らはその資金を使おうとしている。
チーム公式サイトによると、カーディナルスのジェネラルマネジャー(GM)モンティ・オッセンフォートは「私たちは(フリーエージェントで)積極的に動くつもりだ。チームを強化するためにあらゆる方法を模索するつもりだが、今年のチームだけではなく、将来や契約を延長したい選手のために構築する上でも、賢明に対処する必要がある」と述べたという。
カーディナルスは2024年にファンを楽しませるシーズンを展開し、一時的にNFC西地区首位に立ったが、地区ライバルとの対決で1勝3敗という結果に終わったことを含め、シーズン終盤に失速したことにより、プレーオフ争いから脱落。クオーターバック(QB)カイラー・マレーがシーズン序盤に見せた活躍は、期待以上のパフォーマンスを披露したディフェンスと相乗効果を生み出していたが、特にランゲームがうまく機能していないときに、カーディナルスが一貫性を欠くチームであることが明らかになった。
シーズン終盤に差し掛かると、マレーの生産性は低下し、2勝5敗という結果にとどまった最後の7試合で、タッチダウン対インターセプト比は9対8となった。なお、9回のタッチダウンのうち4回は、シーズン最終戦でサンフランシスコ・49ersにほぼ無意味な勝利を収めた際に記録したものだ。マレーがシーズン序盤に見せた魔法のような活躍は一時的なものに過ぎず、カーディナルスは最終的により強力な相手に実力で及ばなかった。
単純な説明を求める人々は、カーディナルスが低迷した責任をマレーに押し付けることができる。しかし当然、話はそう単純なものではない。
現地21日(金)、オッセンフォートGMはダン・ビックリーやビンス・マロッタと『Arizona Sports(アリゾナ・スポーツ)』に出演した際に「チーム全員で、最後までやり遂げなければならない」と語っている。
「つまり、接戦で敗れたのはカイラーだけのせいだったのか? いや、他の選手にもやれることはあった。カイラーはもっと良いプレーをしなければならないか? それは間違いなくそうだ。だから、私たちは常にそれについて話しているし、チームにとって重要なのは、ターンオーバーを避け、爆発的なプレーを生み出すことだ。そういったことに取り組み、貢献していたとき、カイラーは絶好調だった。カイラーは調子を上げていて、私たちはその可能性を目の当たりにしていた」
「接戦になると、ターンオーバーを喫してしまい、カイラーがそれに関与することもあった。そうなると、勝つのが難しくなる。シーズン終盤になると、機会がどんどん少なくなるし、勝つことは難しくなる。それこそ私たちが乗り越えなければならないことだ。つまり、カイラーもチーム全体も、その部分で成長しなければならない。私たちは一貫性を高める必要があるが、カイラーの調子が良いときにどうなるか、彼が腕や脚を駆使し、相手ディフェンスにプレッシャーやストレスをかけることで何ができるかを見てきた。カイラーだけではなく、チーム全体で浮き沈みをなくしていく方法を見つける必要がある。そうすれば、特にシーズン終盤の接戦で良い結果を出せるようになるだろう」
批判が上がるのは当然とはいえ、それをマレーの将来に対する不安の表れと解釈すべきではない。マレーこそ、カーディナルスが昨季にプレーオフ争いに加わった大きな理由だからだ。
カーディナルスのオーナーであるマイケル・ビッドウィルはマレーについて「彼はデュアルスレットクオーターバックであり、健康なときはすべての守備コーディネーター(DC)を脅かす存在となる。また、脚や腕を使って試合の流れを変えるチャンスも持っている」とコメント。
「去年はオフェンシブラインでケガが相次いだが、それでもモンティはランゲームと強固なオフェンシブラインを作り上げる上で素晴らしい仕事をしたと思っている。私たちがやるべきことはまさにそれだったと思う。(マレーにとって)ドリュー・ペツィングのオフェンスは2年目だった。それを踏まえて、私たちは引き続き彼に頼る必要がある。彼は高いレベルでプレーしなければならないし、本人もそれを理解している」
「彼は懸命に取り組んでいるし、オフシーズン中もトレーニングを続けているのを見かける。彼は次のステップに進む必要があるし、私たちはカイラーとの未来にワクワクしている。彼は素晴らしいクオーターバックだ。リーグ全体を見ても、カイラー・マレーを欲しがるチームはたくさんあるだろうし、私たちは彼のためにオフェンスを構築していく必要があると思っている」
カーディナルスには昨年のドラフトで1巡目指名したワイドレシーバー(WR)マーヴィン・ハリソンJr.に関する問題もあった。素晴らしい才能を持つハリソンJr.には高い期待が寄せられていたが、彼が初年度にその能力を発揮したのは限られた場面だけだった。ハリソンJr.とマレーの息は合っているように見えず、他の新人選手(ジャクソンビル・ジャガーズのブライアン・トーマスJr.やニューヨーク・ジャイアンツのマリク・ネイバース、タンパベイ・バッカニアーズのジェイレン・マクミラン)が活躍していた一方で、ハリソンJr.はカーディナルスでうまく活用されていないように見えた。
カーディナルスにとってロースターの編成と同じくらい重要なのは、資本の最大化だ。ドラフトで上位指名を行うことに焦点を当てずに、フランチャイズを前進させることはできない。
オッセンフォートGMは「マーヴィンにはとても満足している。彼はタッチダウンを決め、歴史的なシーズンを送ったタイトエンド(TE)トレイ・マクブライドに次いで、レシーブ記録で2位につけた」と話している。
「マーヴィンが改善すべき点、成長すべき点はあるか? もちろんだ。マーヴィンに関して心強いのは、シーズンが終了してから、私がオフィスに行く日で、マーヴィンがそこにいない日はないということだ。マーヴィンは確実に成長するフットボール選手だ。マーヴィンやカイラーをはじめとするオフェンスの選手たちは、その関係をさらに深めていくだろう。マーヴィンはチームにとってとても重要な存在であり、これからもっと成長するはずだ」
すなわち、カーディナルスの主力選手は全員、2025年に向けて取り組んでおり、チームの意思決定者たちも同じように動いているということだ。今後はそれらの努力を共通の目標に向けてまとめていくことが重要になる。
その過程で新たな顔ぶれが加わっても驚いてはならない。
ビッドウィルは「私たちはあと一歩のところまで来ている」と述べ、「ここは競争が激しいディビジョンだ。オフシーズンに何人か加われば、コーチング、選手、ロースターが最適な組み合わせになり、次のステップに進めるだろう」と続けた。
【RA】