オハイオ州知事がブラウンズの新スタジアム建設費を含む予算案に署名
2025年07月03日(木) 09:37
オハイオ州のマイク・デワイン知事は、州の所得税を平準化し、未請求資金から6億ドル(約861億1,590万円)をクリーブランド・ブラウンズの新スタジアム建設に充当する内容を含む、2年間で600億ドル(約8兆6,115億9,000万円)規模の運営予算案に署名した。
共和党のデワイン知事は現地6月30日(月)の真夜中に設定されていた締め切りの約45分前に予算案に署名した。
ブラウンズのオーナーである『Haslam Sports Group(ハスラム・スポーツ・グループ)』は以前、クリーブランド南郊のブルックパークに新しいドーム型スタジアムを建設するため、州に支援を要請していた。デワイン知事はブラウンズだけではなく、シンシナティ・ベンガルズや他の施設改修を希望するチームのために、スポーツ賭博税を倍増する案を提案していた。しかし、州議会は州が保有する48億ドル(約6,889億2,720万円)の未請求資金の一部を活用。この未請求資金は、休眠口座の残高や未換金小切手、返還されず放置された公共料金の預金など、小額の資金で構成されている。その資金は現在、10年以内に持ち主が現れなければ州に帰属する仕組みとなっている。
デワイン知事はスタジアムの資金について「これは納税者にとっての勝利であり、オハイオ州の生活の質を向上させる事業に多額の資金を提供することになるだろう」と述べた。
火曜日に発表された声明で、ブラウンズは予算承認を“当組織にとっての大きな節目”と位置付け、デワイン知事と州議会が“このような変革的なプロジェクトを支援する責任ある方法を見つけるために”協力して取り組んだとしている。
ブラウンズはファンへの書簡で、ハスラム家が「民間開発パートナーと共に、スタジアムおよび活気ある複合型ライフスタイル・エンターテインメント開発に20億ドル(約2,870億5,300万円)以上という前例のない投資を通じて、“Greater Cleveland(グレーター・クリーブランド)”へのコミットメントを継続している。ハスラム・スポーツ・グループはスタジアム建設費用の超過分をすべて負担し、公費はコスト超過のリスクを一切負わない」と述べ、こう続けている。
「私たちは今後もノースイースト・オハイオおよび地域社会への投資を継続していく。特に教育、ユースフットボール、経済的発展の分野における公平な機会を支援する中で、プラットフォームを活用して意義ある変化を生み出す責任と特権を真剣に受け止めている。私たちはスタジアムプロジェクトを当組織の重要な地域社会の柱をさらに発展させる手段と位置づけている」
ブラウンズは2024年8月に新しいドーム型スタジアムの計画を発表。同年10月には、リース契約満了となる2028年にブルックパークで最新鋭の新スタジアムを建設する意向をクリーブランド市長のジャスティン・ビブに伝えた。
クリーブランド市は2025年1月、ブラウンズがクリーブランドの湖畔から移転するのを阻止するために、“モデル法”を根拠に訴訟を起こした。モデル法の一部では、州の資金を利用してホームゲームの施設を運営するプロスポーツチームは、許可や事前通知なしに移転できないと定められている。
1996年に制定されたモデル法では、住民がチームを購入する機会や新たな買い手を探す機会も認められている。クリーブランド市は訴訟の中で、ブラウンズがいずれの措置も講じず、同法に違反したと主張した。
月曜日に署名された予算案には、モデル法を改正し、オハイオ州外への移転を試みるプロスポーツチームにのみ適用されるようにする条項が含まれている。
ビブ市長は火曜日に声明を発表し、予算案に6億ドルの公的助成金とモデル法の改正が含まれたことについて“深く失望している”と述べた。
ビブ市長は声明の中で次のように続けている。
「ブラウンズの移転は、ダウンタウンから経済活動を奪い、競合するエンターテインメント地区を生み出し、湖畔再開発の勢いを損なうことになる。さらに、高速道路の再整備や公共安全の強化など、納税者負担による大規模なインフラ整備が必要となり、スタジアム建設費に加えて多大な公的コストが発生することになる」
「また、私たちは、スポーツチームに多額の公的投資を行ってきた地域を守るために制定されたモデル法の改正に、引き続き強く反対する。この法律を弱体化させれば、懸念すべき前例が作られ、クリーブランドのような都市が長く保持してきた公共資産を守るための手段が減ってしまう」
【RA】