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他チームから関心を寄せられてもQBリチャードソンをトレードしない意向のコルツGMバラード

2025年08月28日(木) 12:36

インディアナポリス・コルツのGMクリス・バラードとアンソニー・リチャードソン【Todd Rosenberg via AP】【AP Photo/Zach Bolinger】

インディアナポリス・コルツの先発クオーターバック(QB)争いでダニエル・ジョーンズがアンソニー・リチャードソンに勝利したことで、リチャードソンのチームでの将来に関する疑問が浮上している。

コルツが2023年NFLドラフト全体4位で指名したリチャードソンをトレードする可能性はあるのだろうか。ジェネラルマネジャー(GM)クリス・バラードに言わせれば、その答えは“ノー”だ。

現地27日(水)、リチャードソンに関する問い合わせを受けたのかと質問されたバラードGMは「ああ。だが、彼をトレードするつもりはない」と答えた。

バラードGMはとりとめのない回答の中で、ジョーンズが組織の視点から見て正当に先発の座を勝ち取ったことを強調し、今回の結果はコルツがリチャードソンを見放したことを意味するわけではないと明言した。

「2人ともプロとして競い合い、最後まで戦った。そして最終的にダニエルが先発の座を勝ち取った」とバラードGMは報道陣に話している。

「だからといってアンソニーを見放すか? そうではない。だが、ダニエルが素晴らしいパフォーマンスを見せていたことを軽視したくはない。カンザスシティ(チーフス)時代にいたアレックス・スミスのことをすごく思い出す。彼は毎日、究極のプロとしてプレーし、チームも彼の価値を正確に理解していた。ダニエルもそれと同じだと思う。確かに話題の中心になるのはいつもアンソニーだが、ダニエルのことも忘れてはいけない。彼は良い働きを見せ、本当に優れたプロフェッショナルだ。いろいろな経験もしてきた。アンソニーについて否定的な意見があることも承知している。“もう終わりだ”と言うのは簡単だが、私はそうは思わない」

「何度も言ってきたが、私はそうは思わない。道中の困難や障害を乗り越えるのは誰にとっても良いことだと私は考えている。アンソニーの現状や成長ぶりを誇りに思っている。本当に大きく成長した。これからもそうしていくことで、真の成長を目の当たりにするチャンスが生まれる。先発選手としてのプレッシャーを感じることなく、プロ選手の後ろで観察し、学び、成長し、必要なことに取り組むことには大きな価値がある。それには多くのメリットがあるのだ」

コルツは先発QB争いで何を重視したかを説明する際、“プロ意識”と“実行力”という言葉を繰り返し使ってきた。ジョーンズはプレシーズンでリチャードソンより大幅に優れたプレーを見せたわけではないにもかかわらず、争いを制した。ジョーンズのプロ意識や、リチャードソンがそれを観察することで得られるメリットについて言及があったことは、リチャードソンが先発の役割を担えるほど成熟していないとコルツが考えていることを示唆している。

ジョーンズの後ろで過ごす時間は、リチャードソンのその点での成長に役立つかもしれないが、それが保証されているわけではない。バラードGMやヘッドコーチ(HC)シェーン・スタイケンに大きなプレッシャーがかかるシーズンに、先発を任せられるほどのプロ意識をまだ備えていないと見なしているクオーターバックを司令塔につかせる余裕がコルツにはなかったのだ。

バラードGMは「特にクオーターバックポジションの若手選手にとって、完全に準備が整っていない場合に、日々プレーしなければならないというプレッシャーを感じることなく控えに回るのは良いことだと思う」と説明。

「もちろん、プレッシャーがなくなるわけではない。いつでも出場する可能性があるからだ。だが、それとは全然違う。まったく異なるんだ。バックアップとしての役割を通じて学べる細かい部分は、先発を支えているからこそ、大いに役立つと思う」

最終的には、リチャードソン自身がジョーンズから学ぶ機会をつかむかどうかにかかっている。そして、ジョーンズが全試合に出場したシーズンが一度もないことを踏まえると、できるだけ早く学ぶ必要があるだろう。リチャードソンが長期的に価値のある選手であることを証明するチャンスは、本人が予想しているよりも早く訪れるかもしれない。

その点だけを踏まえても、コルツがリチャードソンのトレードを検討する理由はないと言える。コルツは2人を自由に起用できる状態でシーズンに臨むつもりだ。

【RA】