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QBマリオタと衝突し流血も、レイダースに勝利したコマンダースHCクイン

2025年09月22日(月) 11:32

ワシントン・コマンダース(HC)のダン・クイン【AP Photo/Nick Wass】

ワシントン・コマンダースのヘッドコーチ(HC)ダン・クインの鼻の付け根には絆創膏(ばんそうこう)が貼られ、鼻の穴や白いあごひげには血が滲んでいた。これは、現地21日(日)に41対24で勝利したラスベガス・レイダース戦の前半終了間際、クオーターバック(QB)マーカス・マリオタとサイドラインで衝突した際の名残だった。

「いい笑い話になったよ」と語ったクインHCは、医師の診察を受けたものの、縫う必要はなかったと明かしている。

身長約193cm、体重約101kgのNFL選手が全速力でぶつかってきた感覚とはどんなものだったのか。

「たぶん想像どおりだよ。2度とごめんだね」とクインHCは話している。

クインHCの顔がコーチというよりアスリートのような姿になったのは、第2クオーター残り10秒を切った場面だった。マリオタが短いランの終わりにサイドライン外へ押し出され、その勢いのままクインHCに激突。彼は後方に倒れ、後頭部を地面に打ちつけた。

直後には数人の選手が駆け寄り、クインHCの容体を確認している。

「本当に申し訳なかった。できる限り支えようとしたんだけど、彼はチャンピオンのようにすぐ立ち上がったよ」と語るマリオタは、2022年以来となるNFL先発出場。負傷中のジェイデン・ダニエルズに代わって登場していた。

「(ハーフタイムに)トレーニングルームで手当てを受けて、戻って来た時には“よし、続けよう”という感じだった。あの姿がチーム全体をさらに奮い立たせたと思う」と、倒れたクインHCの体をタオルで払ったというマリオタは振り返った。

前半最後のプレーでキッカー(K)マット・ゲイが56ヤードのフィールドゴールを決め、コマンダースが20対10とリードしてロッカールームに向かう中、クインHCは顔の血を拭いながら歩いていた。

シアトル・シーホークスでプレーしいた頃、当時守備コーディネーター(DC)だったクインHCから指導を受けたことのあるラインバッカー(LB)ボビー・ワグナーは、次のように語っている。

「まさに彼を象徴する出来事だった。いつも自分のメンタリティとして語っていること、倒れても立ち上がり、前に進み続ける。その通りの姿を見せてくれた。鼻血も出ていたし、あちこちから血を流していた。切り傷もあった。でも彼はフィールドに残って集中していた」

「いつも彼が俺たちに伝えていることを、あの瞬間にすべて見せてくれた気がする。かなり激しく当たられて倒れたのに、パッドもつけていない体で立ち上がって戻ってきたんだ」

「まるで映画みたいだったよ。彼が手当を受けている間、戻ってこられるかどうか分からなかったから、みんなを集めて、俺が代わりに話そうとしていた。すると突然、彼が現れて“任せろ!”って言ったんだ。最高の瞬間だった。あれは一生忘れないと思う」

ハーフタイムにクインHCが選手たちにどんな言葉をかけたのかを尋ねられると、ワグナーは笑みを浮かべながらこう答えた。

「ここでは言えないな。なかなか刺激的だったよ」

【R】