ニュース

元HCパーセルズと元WRエデルマンがペイトリオッツの殿堂入り

2025年09月22日(月) 13:28

ビル・パーセルズ【NFL】

ニューイングランド・ペイトリオッツの元ヘッドコーチ(HC)ビル・パーセルズが現地20日(土)、フランチャイズの殿堂入りを果たした。これは、唯一共にスーパーボウルに出場したシーズンに表面化し、その後30年近くくすぶり続けてきたオーナーのロバート・クラフトとの確執に終止符を打つ出来事となった。

パーセルズはスーパーボウル制覇を2度経験しているものの、どちらもペイトリオッツの指揮官としてではない。4つの異なるチームをプレーオフに導いた唯一のヘッドコーチでもある。1997年にペイトリオッツを去った経緯については多くを語らなかったが、式典では後悔をにじませる一幕もあった。

「時には、もう少し違うやり方があったんじゃないかと過去を振り返ることがある」と、自身が去った後に建設されたスタジアムの満員の広場に立ち、後継者ビル・ベリチックのもとでペイトリオッツが獲得した6つのチャンピオントロフィーを背にパーセルズは語った。

「こうして戻ってきてこの光景を見ると、やっぱりもう少し違う形で終われたら良かったと思う」

同日にペイトリオッツの元ワイドレシーバー(WR)ジュリアン・エデルマンも殿堂入りを果たした。2018年のスーパーボウルでMVPを受賞したエデルマンは、ペイトリオッツが最後に王座を獲得した際の立役者だった。ケント州立大学ではクオーターバック(QB)としてプレーし、ドラフト7巡目で指名。入団当初はスペシャルチームや守備での起用が続いたが、やがてレシーバーとして頭角を現し、トム・ブレイディのお気に入りターゲットとして活躍した。

「ルーキーミニキャンプ初日の朝、チームに残るのはとてつもない挑戦になると覚悟していた。そこに現れたのがあの大物選手だった」とエデルマンは振り返る。

「トムは、すべてをいとも簡単にこなしていた。彼の投球を初めて見た瞬間のことは今でもはっきり覚えている。“マジかよ!”って思ったんだ。クオーターバックからレシーバーへの転向が最高の決断だったと、その瞬間に確信した」

84歳のパーセルズは、2勝14敗だったチームの再建を託され、全体1位指名で加わったQBドリュー・ブレッドソーとともに4年後にはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)王者に導いた。しかし、スーパーボウルを前に、すでにチームを離れる計画を立てていたとされている。ロースター編成に関する全権を求め、「夕食を作れと言うなら、せめて食材の買い出しくらいは任せてくれ」と語った言葉は、広く知られるようになった。

当時、パーセルズはニューヨーク・ジェッツへの移籍を望んだが、クラフトがこれに難色を示し、NFLコミッショナーのポール・タリアブーが仲介に入る事態となった。最終的にペイトリオッツが4つのドラフト指名権を受け取る形で合意に至った。その後の2000年、クラフトがベリチックを招聘しようとしたことで両者は再び衝突。ベリチックは本来、ジェッツでパーセルズの後任に就く予定だったが、ペイトリオッツが1巡目指名権を譲渡することでこの問題も決着した。

パーセルズは2013年にプロフットボール殿堂入りを果たしたものの、ライバルであるジェッツへの寝返りが影響し、これまでにペイトリオッツの殿堂入りを5度も逃していた。だが今春、クラフトがパーセルズを貢献者として殿堂入りさせると発表し、今回の表彰が実現した。

「年月を重ねるうちに、私たちは2人とも丸くなった」とクラフトは紹介のスピーチで語り、パーセルズを「ニューイングランド・ペイトリオッツというチームの礎を築いた人物」と称えた。

「1993年にビル・パーセルズは混乱の中にあったフランチャイズに乗り込み、チームが切実に必要としていたアイデンティティや土台、そして希望をもたらしてくれた」とクラフトは語った。

「彼はフォックスボロにやって来たのではなく、嵐のように現れた。パーセルズは昔ながらのスタイルを貫き、タフで妥協を許さない、厳格なヘッドコーチだった」

同じく84歳のクラフトは、4月に記者団に対し「お互いが健在なうちに」パーセルズを称えたいとの思いを明かしていた。

「いずれ彼は選出されていたと思うが、式典を楽しんでもらえるように、私はそのプロセスを早めたかった」と語っていた。

一方のエデルマンは、在籍中にペイトリオッツが優勝を果たした3度のスーパーボウルすべてで中心的な役割を果たした。

シアトル・シーホークスと対戦した2014年シーズンのスーパーボウルでは、終盤にコーナーバック(CB)マルコム・バトラーがゴール前でインターセプトを決めたことで、その直前にエデルマンが挙げたタッチダウンが決勝点となった。2年後、アトランタ・ファルコンズとの頂上決戦では、エデルマンがダイブしながら指先で捕らえたキャッチがペイトリオッツの命運をつなぐプレーとなり、28対3からの逆転勝利を手にした。

2018年シーズンのスーパーボウルでは、キャッチ10回で141ヤードを稼ぐ活躍でMVPに輝いている。プレーオフ通算118回のレシーブは、WRジェリー・ライスとタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーに次ぐ歴代3位の記録だ。

ブレイディはエデルマンに宛てた祝福のビデオメッセージの中でこう語った。

「君は一番大きかったわけでも、一番速かったわけでもなかった。でも、誰よりもタフで、誰よりも信頼できて、大事な場面で結果を出し続けたのは間違いなく君だった。フィールドでの最高の思い出のいくつかは、すべてが懸かった大一番で君にパスを投げた瞬間だったよ、ジュールズ」

【R】