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ルーニー家の故郷アイルランドで初めて開催される試合に臨むスティーラーズ

2025年09月26日(金) 12:23

ピッツバーグ・スティーラーズのアート・ルーニー二世【NFL】

故ダニエル・M・ルーニー前ピッツバーグ・スティーラーズ会長にとって、ニューリーへの訪問は、1990年代に設立を支援したホワイトゲーツ・コミュニティセンターに立ち寄らないと完結しなかった。

地元の実業家フィアガル・マコーマックは「いつも30分ほど立ち寄って、地元の人たちと一緒にお茶を飲んでいた。彼はお茶が大好きだった」と振り返っている。

ルーニー家が現地25日(木)にニューリーを訪れる際には、やかんが温められているだろう。その後、ルーニー家は国境を越えて――北アイルランドは英国の一部だ――アイルランド共和国のダブリンにあるクローク・パークで行われるスティーラーズ対ミネソタ・バイキングスの試合に向かう。

実際、日曜日に初めてアイルランドで開催されるNFLのレギュラーシーズンゲームは、ルーニー家にとって帰郷を意味し、厳密に言えば2つの故郷に戻ることになる。

ルーニー家のルーツは国境からわずか5マイルの小さな町ニューリーにある。スティーラーズの社長を務めるアート・ルーニー二世は父が共同設立した慈善団体“Ireland Funds(アイルランド・ファンズ)”とのイベントに出席する予定だ。ルーニー二世の父であるダニエル・ルーニーは2009年にアイルランド駐在大使に就任する30年以上前にこの団体を設立した。

NFLのエメラルド島への進出をどのチームがけん引するかについては、ほとんど疑問の余地がなかった。

NFL U.K.およびアイルランドのジェネラルマネジャー(GM)を務めるヘンリー・ホジソンは「ルーニー家の名前には非常に大きな影響力がある。そのため、彼らが最初にアイルランドでの試合に関心を示したとき、多くの人々が注目した」と述べ、次のようにつけ加えている。

「ルーニー家の名前がもたらす人脈と機会、そして彼らがアイルランドに多大な貢献をしてきたことが、この実現に大きく寄与した」

スティーラーズは1970年代半ばにNFLを席巻し、1975年と1976年にスーパーボウル連覇を達成した。その頃、ダニエル・ルーニーは北アイルランドの宗派間抗争に目を向けてアイルランド・ファンズを共同設立。この団体は平和促進のために数億ドルを集めてきた。

ダニエルは1990年、ビジネスや教育の交流を促進するために“Newry-Pittsburgh Partnership(ニューリー・ピッツバーグ・パートナーシップ)”も共同設立している。

ルーニー家の友人であり、会計事務所『AAB』のシニアパートナーであるマコーマックは「彼がニューリーに来て、代表団の訪問を促してくれたという事実――初期の段階で彼が示した自信は、その後の成功にとって非常に重要だった」とコメント。

マコーマックはルーニー家の系譜をまとめている。スティーラーズ創設者アーサー・J・ルーニーの曾祖父は、1846年頃にニューリーから渡米した。

ダニエル・ルーニーは駐アイルランド大使として、アイルランドの“全32県”――共和国の26県と北アイルランドの6県――を訪れることを心がけていた。

そしてもちろん、各県で一杯の紅茶を飲むことも忘れなかった。

NFLのグローバルマーケットプログラムの下で、スティーラーズは“アイルランド島”におけるリーグ公認の権利を有しており、商業契約の締結やファン向けイベントの開催が可能となっている。いずれもリーグが進める積極的な海外展開戦略の一環だ。

スティーラーズのビジネス開発・戦略担当副社長であるダン・ルーニーは、アイルランドおよび北アイルランドでのチームの成長をけん引してきた人物であり、木曜日にはベルファストで、スティーラーズのレジェンドであるジェローム・ベティスやアイク・テイラーとともに、フラッグフットボール教室に参加することになっている。

スティーラーズはクローク・パークを所有するゲーリック・アスレチック協会(GAA)と提携し、アイルランドにおけるファン層の拡大を図ってきた。

2017年に亡くなった元大使のダニエル・ルーニーは、レギュラーシーズンゲームをアイルランドで開催することを望んでいた。クローク・パークは2013年の開催を働きかけたが、リーグは代わりにその年のロンドンゲームを2試合に増やすことを決定。スティーラーズはそのうちの1試合に出場し、バイキングスに34対27で敗れた。

アート・ルーニー二世は当時、父親が「ダブリンでの試合開催を推し進めていた」と述べている。1997年、スティーラーズはクローク・パークで行われたプレシーズンゲームでシカゴ・ベアーズを30対17で下した。

ゲーリックゲームのファンだったダニエル・ルーニーは、クローク・パークを頻繁に訪れていた。GAAによれば、ダニエルはアイルランド最大のスタジアムの再開発においても静かな役割を果たし、より多目的に使えるスタジアムにするよう設計者に働きかけたという。

GAA広報責任者のアラン・ミルトンは「その点については彼の功績を認めるべきだ」と述べている。

ヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンもダニエルへの敬意を常に表明してきた。

トムリンHCは火曜日に「現地ではきっと彼のことをたくさん思い出すだろう。アイルランドに対して並々ならぬ情熱を持っていた人の話だ。今週末はきっと笑いながら天国から私たちを見守ってくれているはずだ」とコメントしている。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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