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ジャイアンツWRネイバースがACL断裂でシーズン終了

2025年09月30日(火) 10:10

ニューヨーク・ジャイアンツのマリク・ネイバース 【AP Photo/Yuki Iwamura】

予想されていたニュースが届いたとしても、それが容易に受け止められるものであるとは限らない。

ニューヨーク・ジャイアンツのヘッドコーチ(HC)ブライアン・ダボールが現地29日(月)、スターワイドレシーバー(WR)マリク・ネイバースがMRI検査を受けた結果、日曜日に勝利したロサンゼルス・チャージャーズ戦でシーズン終了を意味するACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)断裂に見舞われたことが判明したと明らかにした。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートは月曜日、ダボールHCの発表前にこのニュースを報じていた。その後、ジャイアンツはネイバースを故障者リザーブ(IR)に登録している。

ネイバースはメットライフ・スタジアムで行われた試合の第2クオーターで、新人クオーターバック(QB)ジャクソン・ダートからのロングパスをキャッチしようとした際に芝生に倒れ込んだ。この時点でACLを断裂したことは予想されていた。キャリア2年目のネイバースはすぐに激しい痛みに襲われ、負傷した膝を押さえて地面でもがき苦しみ、カートに乗せられて退場した後、すぐに試合から除外された。

負傷した時期が9月下旬であるため、ネイバースが2026年シーズンに向けて回復する時間は十分にある。しかし、復帰直後に爆発力を取り戻せるか、あるいは一部の選手(例えば2021年のセイクワン・バークリー)のように、超人的な能力を完全に取り戻すのに時間がかかるかどうかは不明だ。

ジャイアンツにとってネイバースのケガは大打撃となる。今回の負傷はドラフト1巡目指名を受けたダートが先発の座を引き継ぎ、若手選手たちの活躍が期待され始めた矢先のことだった。

ネイバースはボールが自分の方に向かっていることを相手ディフェンスに読まれていても勝負できる、真に頼れるターゲットであることを証明してきた。優れたルートランニングとキャッチポイントでの能力を兼ね備えたネイバースは、QBにとって理想的な存在だ。昨季のジャイアンツはQBポジションが不安定だったにもかかわらず、ネイバースは15試合で1,204ヤード、タッチダウン7回を記録している。

2025年シーズン序盤にその強みをさらに発揮したネイバースは、シーズン第2週に敗れたダラス・カウボーイズ戦でキャッチ9回、167ヤード、タッチダウン2回をマーク。シーズン第3週のカンザスシティ・チーフス戦では13ヤードの獲得にとどまったものの、今季に1,422ヤードを獲得できるペースで活躍していた。

そのような選手やそのパフォーマンスは、簡単に補えるものではない。

チャージャーズ戦において、タッチダウンで締めくくられた89ヤードのオープニングドライブで3回のパス――うち2回はパス成功、1回はディフェンシブパスインターフェアによって前進――がすべてネイバースに投げられたのは当然だった。その試合でネイバースはスナップ69回中わずか23回しか参加しなかったにもかかわらず、キャッチ2回で20ヤードを記録し、チームで2番目の成績を残した。

ネイバースがオフェンスから離れることで、これから対峙する相手ディフェンスは格段に楽になるだろう。ジャイアンツには他に、ワンデール・ロビンソン、ダリウス・スレイトン、ジェイリン・ハイアット、ボー・コリンズ、ガナー・オルシェスキーがいるが、いずれもネイバースのように相手の守備コーディネーター(DC)を大きく悩ませるような存在ではない。

ネイバースの負傷によってスレイトンの役割は一層重要になり、特にサイドライン付近で縦の脅威となるターゲットとしての活躍が期待されるだろう。新人のダートはパスを素早く出すタイプであり、ディフェンスが最初の読みを突いてくるようになると、相手を抑える脅威が必要になる。スレイトンはチャージャーズ戦でターゲット4回、キャッチ3回、44ヤードを記録してチームトップに立った。ネイバースの不在によってロビンソンのターゲット数も増える可能性が高く、そのスクリメージライン付近で優位に立ち、キャッチ後もプレーを決める能力は極めて重要になるだろう。

現時点でフリーエージェント(FA)市場に良い選択肢はほとんどない。WRオデル・ベッカムの名前が話題に上ることは間違いない――少なくとも見出しとしては。しかし、32歳のベッカムはもはや以前のようなレシーバーではなく、この3シーズンにおける出場数は23試合にとどまっている。マイアミ・ドルフィンズで9試合に出場した昨季の成績はキャッチ9回、55ヤード(キャッチ平均6.1ヤード)と精彩を欠くものだった。その他のフリーエージェントとしてロバート・ウッズ、タイラー・ボイド、ネルソン・アグホロー、メコール・ハードマンといったベテラン選手が挙げられるが、いずれも試合の流れを変えるような選手とは言い難い。ジャイアンツは練習生のワイドレシーバーをアクティブロースターに昇格させる可能性が高く、その候補としてはイミア・スミス・マルセッテ、リトル・ジョーダン・ハンフリー、ダレン・キャンブレが挙げられる。

トレード市場も選択肢になり得ると言え、タイリーク・ヒルやジャコビ・マイヤースといった選手の名前が出ているが、ジャイアンツは一時的な補強のために資産を投じられる立場にはない。『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によれば、キャップスペースはリーグ最低の285万3,000ドル(約4億2,429万円)しかないとのことで、何らかの手を打たなければ選手を追加できない状態だ。

ネイバースの生産性を補える優秀なワイドレシーバーがいない状況では、2タイトエンド(TE)セットに頼るべきだ。開幕から4週間で、ジャイアンツはプレーの24.5%を2タイトエンドセットで実行してきたが、日曜日の試合ではわずか17.4%にとどまった。キャリア2年目のTEテオ・ジョンソンは出場機会が増えると見られており、ダニエル・ベリンジャーやクリス・マンハーツと共にジョンソンを起用することで、ジャイアンツはランプレーを改善しつつ、パス攻撃の穴もある程度埋めることができるだろう。

ネイバースの代わりを1人で務められる選手はいない。フィールドを支配できる真のWR1を失った以上、ダボールHCはダートの成長を支えるために工夫を凝らす必要がある。

【RA】