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運にも恵まれたタイタンズの逆転勝利に胸をなでおろすキャラハンHC

2025年10月07日(火) 16:20

テネシー・タイタンズのヘッドコーチ(HC)ブライアン・キャラハン【AP Photo/Samantha Chow】

現地5日(日)、テネシー・タイタンズに必要だったのは、勝ち星のない欄にようやく印をつけるための、ほんのわずかなチャンスだった。

アリゾナ・カーディナルスとの試合でそのチャンスは何度も訪れた。今季初めてタイタンズはそれをものにし、第4クオーターで21対6の劣勢を覆して22対21の逆転勝利を収めた。今シーズンのNFLでも最も衝撃的な勝利と言っても過言ではなく、ヘッドコーチ(HC)ブライアン・キャラハンにとってまさに待ち望んだ勝利だった。

「時には運が味方してくれることもある」とキャラハンHCは試合後に『The Associated Press(AP通信)』に語った。

「今シーズンはこれまで、そうした流れに恵まれることも、運が味方してくれることもあまりなかった。だからこそこういう展開が必要だったんだ」

これまでのタイタンズのシーズン同様、この試合でもミスを何度も犯したチームが、相手に勝機を与える展開となった。しかし、これまでの4週間とは異なり、今回はタイタンズが相手のミスの恩恵を受ける側となった。カーディナルスのランニングバック(RB)エマリ・ディマーカドが、勝利を決定づけるかに見えた72ヤードのランの終盤、ゴールライン手前でボールを落としたのをきっかけに、試合の流れが一変。

これが、第4クオーターでのタイタンズの劇的な逆転劇への第一歩となる。ターンオーバーの後、タイタンズは6回のプレーで80ヤードを獲得するドライブを展開。クオーターバック(QB)キャメロン・ウォードがワイドレシーバー(WR)カルビン・リドリーへ47ヤードパスを通すなど、10ヤード以上のパスを3本成功させて得点につなげた。

ウォードのヒーローぶりは、ここからが本番だった。この試合でウォードのパスをインターセプトしていたコーナーバック(CB)ダドリオン・テイラー・デマーソンが、カーディナルス陣内のエンドゾーンでボールをファンブルし、それをリカバーしたタイタンズがすかさずタッチダウン。その直後、ウォードにもう一度劇的な結末を生み出すチャンスが訪れる。

4月のドラフトで全体1位指名を受けているウォードは、その期待に応えた。試合残り32秒、テネシー陣内から11回のプレーで71ヤードを稼ぐドライブを率い、リドリーへの38ヤードの華麗なパスを成功させて敵陣15ヤードまで前進。このロングパスで、苦戦が続いたキッカー(K)ジョーイ・スライにとっても、名誉挽回のチャンスが訪れた。

「もっといいスタートを切りたかった」とウォードは振り返る。

「でも結局のところ、大事なのはどう始めるかではなく、どう終えるかなんだ」

スライの29ヤードのフィールドゴールが右のポール内側を通過し、試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、タイタンズは自分たちが奇跡的とも言える逆転劇を成し遂げたことを実感した。今のチーム状況を考えれば、ほとんど不可能に思えた勝利だった。

タイタンズは1試合とかからず、たった1クオーターで弱小チームから侮れない存在へと立場を変えた。キャラハンHC率いるチームにはまだ課題が山積しているものの、少なくともこの1カ月間のように踏みにじられる側ではなくなった。

「この勝利は本当に必要だった。これから前に進むための自信になる。ここから積み上げていかなければならない」とリドリーは語った。

この勝利だけでも、ここ数週間キャラハンHCにかかっていた重圧をいくらか和らげるはずだ。これが連勝へのきっかけとなるのか、それとも砂漠で一瞬だけ輝いた幻のような勝利に終わるのか、それはこれから明らかになるだろう。

【R】