QBバロウ不在で3連敗したベンガルズがブラウンズQBフラッコをトレードで獲得
2025年10月08日(水) 09:54
シンシナティ・ベンガルズが悪化の一途をたどるシーズンを立て直そうとクオーターバック(QB)の獲得に踏み切った。
現地7日(火)、ベンガルズがクリーブランド・ブラウンズとのトレードでQBジョー・フラッコを獲得したと発表。このトレードでは2026年ドラフト3日目の指名権の交換が行われ、ベンガルズが5巡目指名権をブラウンズに送る見返りとして、6巡目指名権およびフラッコを獲得している。
最初にこのトレードについて報じたのは『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロだ。
ブラウンズでシーズン最初の4試合に先発し、パス160回で成功率58.1%、815ヤード、タッチダウン2回を記録した一方で、6回のインターセプトを喫したフラッコは、シーズン第5週を前に、新人QBディロン・ゲイブリエルに先発の座を譲った。
そして、フラッコは州間高速道路I-71を南下してシンシナティへ向かうことになった。
今回のトレードは、ブラウンズが1999年にNFLに復帰してから初めてベンガルズとの間で成立したトレードだ。2017年、両チームはベンガルズに所属していたクオーターバックのAJ・マカロンのトレードを試みたが、書類手続きの遅れにより取引は立ち消えとなった。
負傷したQBジョー・バロウの代わりに先発を務めるQBジェイク・ブラウニングが日曜日にまたしても低調だったことを受け、ベンガルズは何らかの手を打たざるを得なくなった。ベンガルズはブラウニングが先発した3試合すべてで敗れている。
ベンガルズはヘッドコーチ(HC)ザック・テイラーの下でようやく好スタートを切り、シーズン開幕から2連勝を飾った。しかし、バロウがシーズン第2週につま先を負傷したことで、チームのパフォーマンスは急激に低下した。
ブラウニングは先発した3試合でパス92回中59回成功、516ヤード、タッチダウン4回、インターセプト5回を記録。その大半は、日曜日にホームで敗れたデトロイト・ライオンズ戦の後半に記録されたもので、ブラウニングのターンオーバーでベンガルズが大差で不利な状況になった後のことだ。この試合では、ブラウニングが完全に迷っている様子で無謀なパスを投げたり、ターゲットから大きく外れたパスを投げたりする場面が散見された。
3週間のうちに何度も相手ディフェンダーに投げたかのように見える状況が続けば、何らかの変化が必要になるのは当然だ。
ブラウニングが今季に先発した最初の2試合で、ベンガルズは合計13点しか得点できなかった。シーズン第5週では一時的に28対3と大差をつけられたものの、第4クオーターに3回タッチダウンを決めたおかげで最終成績はそれほど悲惨なものにはならなかった。とはいえ、ワイドレシーバー(WR)ジャマール・チェイス、WRティー・ヒギンズ、ランニングバック(RB)チェイス・ブラウンを擁するオフェンスであれば、もっと力を発揮できるはずだ。
第4クオーターに挽回したことは、テイラーHCがブラウニングを先発に据え続ける理由として不十分だった。
問題となるのは、現時点でフラッコの方がより良い解決策になり得るかどうかだ。
40歳のフラッコはターンオーバーを頻発させている。今シーズン、フラッコよりインターセプト数が多いのはラスベガス・レイダースのQBジーノ・スミス(9回)とブラウニング(8回)だけだ。シーズン第5週終了時点でリーグの平均パサーレーティングは93.7となっているが、フラッコは60.3で最下位に位置している。
フラッコにとって問題となるのは、ベンガルズのオフェンシブラインが苦戦していることだ。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によると、ベンガルズのオフェンシブラインマン(OL)は今シーズンに87回のQBプレッシャーを許しているとのこと。『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』によれば、フラッコはブラウンズでもプレッシャー下で苦戦し、4回のインターセプトはプレッシャーを受けた状況で喫したものだったという。
ベンガルズが多くの経験を積んできたベテランを獲得できることは良い面として挙げられる。QBポジションに経験豊富な選手を加えることには、ドラフト3日目の指名権を1巡落とすことに見合う価値があると言えよう。
AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区は悲惨な状態だ。シーズン第5週終了時点で、全チームが得失点差でマイナスとなっている。3勝1敗のピッツバーグ・スティーラーズが地区内首位に立っているが、圧倒的な強さを示しているわけではない(得失点差-2)。2勝3敗のベンガルズはまだ首位の座を狙える位置にいる。フラッコがベンガルズを持ちこたえさせ、バロウがシーズン終盤に復帰することに期待できるのであれば、それは試してみる価値がある。
ベンガルズはシーズン第6週にグリーンベイ・パッカーズと対戦する予定だ。フラッコはシーズン第3週にブラウンズを率いてパッカーズに勝利した。しかし、次の試合には奇跡的な逆転劇を支えてくれたブラウンズ守備陣がいない状態で臨むことになる。
火曜日、ベンガルズはQBのブレット・リピンとマイク・ホワイトも放出した。
一方、ブラウンズのケビン・ステファンスキーHCは新人選手だけで構成したQB陣で挑もうとしている。
ブラウンズのQB陣は当初、ケニー・ピケットとフラッコで構成されていたが、その後にゲイブリエルとシェドゥーア・サンダースがドラフトで獲得された。現在、ピケットとフラッコはどちらもチームを離れている。
シーズン第5週にフラッコをベンチに下げてゲイブリエルを先発させたことは、ブラウンズが新人選手の実力を見極めようとしている最初の兆候だった。フラッコのトレードはその方針を明確に示すものとなっている。
ゲイブリエルは初めて先発した試合で33回のパスを投げて成功率57.6%、タッチダウン2回を記録し、ターンオーバーはなかった。主に短距離パス中心の攻撃だったものの、ゲイブリエルが圧倒されている様子はなかった。それに加え、ゲイブリエルは自身の機動力でブラウンズのオペレーションに活気をもたらしている。ブラウンズはドラフト3巡目で指名したゲイブリエルが先発デビュー戦での活躍をもとに、シーズンが進むにつれてさらに成長することを期待しているはずだ。
クオーターバックを交代させた際に、サンダースをフラッコの後ろの3番手QBにとどめたことには批判もあった。しかし、その障害がなくなったことで、ドラフト5巡目指名を受けたサンダースはバックアップQBの役割を担うことになる。相手に対策を練られてゲイブリエルがつまずけば、サンダースが先発のチャンスを得るかもしれない。
1勝4敗のブラウンズはすでに、将来を見据えて2人の新人QBの実力を評価する段階に入っている。フラッコがチームにいなくなったことで、フラッコがいた場合に生じていたかもしれない迷いもなくなった。
なお、ブラウンズのQBデショーン・ワトソンは依然としてアキレス腱(けん)のケガから回復を目指しているところであり、今季中に出場する可能性は低いと見られている。
【RA】