ベンガルズに加入したQBフラッコがパッカーズ戦に先発へ
2025年10月09日(木) 10:09
クオーターバック(QB)ジョー・フラッコがシンシナティ・ベンガルズの一員となってからまだ24時間しか経っていない。ヘッドコーチ(HC)ザック・テイラーがシーズン第6週に向けて40歳のベテラン選手を先発に指名する決断を下すのに必要な時間はそれだけだったようだ。
現地8日(水)、テイラーHCは日曜日に臨むグリーンベイ・パッカーズ戦ではフラッコが先発としてベンガルズを率いると自信を持って発表した。
「素晴らしい経験とリーダーシップをもたらしてくれる。彼のスタイルも、うちのプレースタイルに合っている」とテイラーHCは語り、こう続けている。
「彼を出場させるのが楽しみだ。今週は先発を任せるから、すべてのレップスに参加して準備を整えてもらう。すでに多くの時間を費やしてチームとミーティングを重ね、理解を深めつつあるから、彼の現状には心から満足している」
フラッコの加入はテイラーHCに活気をもたらしたようだ。水曜日、NFLで18年のキャリアを持つフラッコについて語るテイラーHCからは、新たに芽生えた自信と高揚感が見て取れた。テイラーHCに言わせれば、その理由は単純だという。つまり、フラッコは約20年にわたってNFLでプレーした経験を持ち、今もなお腕が衰えていない上に、数週間前にパッカーズと対戦したばかりだ。
今回のトレードは週半ばに成立したため、新加入のクオーターバックが攻撃スキームの細部まで理解する時間はほとんどない。しかし、テイラーHCはフラッコの豊富な経験――そして、火曜夜に車でクリーブランドからシンシナティへ移動する際に電話で詰め込んだ内容――があれば、次戦に向けて十分に準備を整えられると信じている。
テイラーHCは「若手クオーターバックがシステムを学び、相手ディフェンスがどう挑んでくるかを理解しようとするのとは訳が違う。それだけじゃない。彼は今年、グリーンベイと対戦したから1週間分の準備をすでに終えている」と説明。
「コミュニケーションの取り方や週単位のリズムは違うし、独特かもしれないが、この相手に対してはすでに準備ができている。つまり、うちのシステムや用語、表現、オペレーション方法を学ぶと同時に、その準備内容を思い出すことができる。今年はあちらでプレーした訳じゃないから、観客の声など環境面は異なるが、少なくとも彼らと対戦した経験はある」
ベンガルズが火曜日に実施したトレードは必死さをにじませていた。しかし、3連敗で2勝3敗に落ち込み、その3試合で113対37と相手に大きな差をつけられたベンガルズは、ただぼんやりと立ち尽くして魔法のように事態が好転するのを待つわけにはいかなかった。精彩を欠きターンオーバーを繰り返すQBジェイク・ブラウニングを再び起用するのではなく、フロントオフィスがフラッコ獲得に向けて動いていると聞き、テイラーHCは喜んだ。
テイラーHCが正しかったとフラッコが証明できれば、暗く苦しい時期を過ごしたベンガルズは再び希望の光に向かって歩みを進められるかもしれない。
「彼のことは知っている」とテイラーHCは話している。
「個人的に知っているわけではないし、ここにくる前は一度しか会ったことがないが、彼のプレースタイルは知っている。対戦した数は数えきれない。何度も戦ってきた。彼のスタイルは十分に理解している。彼が得意としてきた戦術や、私たちの戦術に合う部分についてもね。用語の多くは、想像していた以上にそのまま使えるから、すぐにペースをつかめると感じている」
フラッコが2023年にブラウンズで成し遂げたような偉業――先発したレギュラーシーズンゲームの80%で勝利をもたらし、加入直後にチームをプレーオフ進出に導いた――を再び達成できれば、長きにわたるフラッコのNFLキャリアにまたひとつ魔法のような章が加わることになる。しかしその一方で、懸念点も存在している。
フラッコをトレードで獲得できるようになったのは、ブラウンズが新人QBの実力を試すためにフラッコをベンチに下げたからだった。ブラウンズ攻撃陣は依然として平均以下のレベルだが、先週日曜日にロンドンで接戦の末に敗れたミネソタ・バイキングス戦では、フラッコに代わってディロン・ゲイブリエルを起用したこと(そしてライトタックル/RTジャック・コンクリンが復帰したこと)である程度の改善を見せている。
ブラウンズの脆弱なオフェンシブラインの後ろでは、フラッコの機動力の欠如が問題になることが明らかになったため、ブラウンズには変化が必要だった。また、フラッコが不可解な判断を下す傾向も強まり、今季のNFLでも特にひどいインターセプトを喫する場面が何度もあった。
ベンガルズも同じような状況に置かれており、ブラウニングが投げる時間がほとんどなかったため、ワイドレシーバー(WR)陣の豊富な戦力を生かせていなかった。フラッコと同様に、ブラウニングもターンオーバーを連発している。さらに大きな懸念点は、ベンガルズがランゲームを機能させられていないことだ。5週間を終えた時点で、ベンガルズの試合平均ランヤードはブラウンズの記録よりも40ヤード近く少ない57ヤードであり、これはNFLの中でも最も低い数字となっている。
論理的に考えれば、フラッコはブラウンズでベンチに下げられたときと同じような苦戦を強いられる可能性がある。しかし、テイラーHCはフラッコが単純に技能面でブラウニングを上回っており、今回のトレードと即座の先発起用が正当化されると考えている。
「最も求めている特徴は、チームのシステムを実行してパスを投げられることだ。ジョーはこのリーグで常に優れたパサーであり、私もそれを目にしてきた。うちには今、素晴らしい武器がそろっているし、彼がそれをどう使うかを見るのが楽しみだ」とテイラーHCは語った。
ベンガルズの武器――ジャマール・チェイス、ティー・ヒギンズ、アンドレイ・アイオシバス、これまであまり注目されてこなかったが活躍を見せているミッチェル・ティンズリー――は間違いなくブラウンズのWR陣よりも優れている。とはいえ、フラッコが彼らにパスを通すには時間が必要であり、ディフェンシブエンド(DE)のマイカ・パーソンズやラシャン・ゲイリー、ルーカス・ヴァン・ネス、ラインバッカー(LB)のエドジェリン・クーパーといったQBハンターを擁するパッカーズのディフェンスが相手では、簡単な展開とはならないだろう。
NFLにおいて忍耐力は限られた資源だ。ベンガルズはすでにブラウニングでそれを使い果たしてしまった。今後、不振にあえぐベンガルズに新たな活力をもたらせるかどうかはフラッコ次第だ。
【RA】