“悪夢のヘイルメアリー”の地に再び挑むベアーズ、「今は新しいチームだ」とジョンソンHC
2025年10月09日(木) 12:34
シカゴ・ベアーズは今週、昨年に“悪夢のヘイルメアリー”が起きたワシントン・コマンダースのホームに再び乗り込む。しかし、チームにその話を持ち出す者はいない。
新任ヘッドコーチ(HC)ベン・ジョンソンは、昨季の敗戦についての質問をきっぱりと退けた。あの試合では、コマンダースのクオーターバック(QB)ジェイデン・ダニエルズに好位置を許し、試合終了間際に放たれた52ヤードのタッチダウンパスで逆転負けを喫している。そこからベアーズのシーズンは崩れ始めた。
現地7日(火)、ジョンソンHCは『SI.com』に対し「その件については、当時チームにいた選手たちに聞いてくれ」と語り、「今は新しいチームだ。今週の試合に勝つことだけに集中している」と続けた。
2024年シーズン第8週、ベアーズはQBケイレブ・ウィリアムズのタッチダウンドライブによって、残り23秒で15対12とリードを奪っていた。しかし、当時のマット・エバーフラスHCが敷いた守備陣形は中途半端で、ダニエルズに2本のパスを許す。そのうち1本はサイドライン際でアウトオブバウンズとなり、最後のロングパスへの布石となった。
コマンダースがヘイルメアリーを狙ったプレーで、ベアーズのコーナーバック(CB)タイリーク・スティーブンソンはスナップの瞬間にコマンダースファンを挑発。その直後、慌ててプレーに加わったが間に合わず、ボールはスティーブンソンのマーク対象だったワイドレシーバー(WR)ノア・ブラウンの手に収まり、タッチダウンを許した。
このプレーで、本来なら大きなアウェー勝利となるはずだった試合が一転して敗戦に終わり、チームの崩壊が始まった。結果としてエバーフラスHCの解任につながる10連敗の最初の黒星となった。
もしあのヘイルメアリーが別の結果になっていれば、ジョンソンHCは今ここでベアーズのサイドラインに立っていなかったかもしれない。そう考えれば、彼がこの話題を避ける理由も理解できる。ロッカールームの誰もが、あの出来事について触れようとはしなかった。
WRのD.J.ムーアは「今はみんな余計なことは言わず、今回の試合に集中している。あんなことを2度と起こさないように」と語った。
コーナーバック(CB)カイラー・ゴードンも「正直、昨シーズンのことについて話すことはほとんどない。みんなの意識は勝つことだけだ。俺自身、去年はチームにいなかったから、今は仲間とともにフィールドに立って流れを変えることだけを考えている」とコメントしている。
『Chicago Sun-Times(シカゴ・サンタイムズ)』によると、スティーブンソンは自身のミスに関する質問を避けるように、今週は報道陣が声をかける前にロッカールームを後にしたという。
スティーブンソンは今季、浮き沈みの激しいシーズンを送っている。開幕から2試合は相手に狙われる場面が目立ったが、その後のダラス・カウボーイズ戦とラスベガス・レイダース戦では安定感を取り戻している。
ジョンソンHCは「タイリークは試合を重ねるごとに成長していると」と述べた。
「バイウイーク前のレイダース戦は、彼にとってこれまでで最高の出来だった。彼は物事をうまく整理して、毎週気持ちをリセットできている」
今週、スティーブンソンは昨季に自身の立場を危うくしかけたあのミスを心の中で整理し、乗り越えなければならない。
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