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バッド・バニーのスーパーボウルハーフタイムショー出演は再考されないとNFLコミッショナー

2025年10月23日(木) 15:51

NFLコミッショナーのロジャー・グッデル【AP Photo/Richard Drew】

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは現地22日(水)、バッド・バニーをスーパーボウルのハーフタイムショーのヘッドライナーから外すことは検討していないと述べ、グラミー賞を受賞した経歴を持つプエルトリコ出身のアーティストをリーグで最大の舞台に起用する決定を改めて表明した。この起用は、アメリカのドナルド・トランプ大統領やその一部の支持者から批判を招いている。

グッデルは秋季リーグミーティング後の記者会見で、バッド・バニーをめぐる論争に言及。9月下旬に発表されたこの起用に関してグッデルがコメントするのは今回が初めてだ。この決定は世界的に大きな注目を集め、バッド・バニーの音楽のストリーミング再生数が増加すると同時に、反発も起きている。

「慎重に検討した上での決定だ」と述べたグッデルはこう続けた。

「起用するアーティストに対して反発や批判がまったくなかったことは一度もないと思う。文字通り何億人もの視聴者がいる中で、まったく批判が出ないようにするのはかなり難しいことだ」

ベニート・アントニオ・マルティネス・オカシオの名で生まれた31歳のバッド・バニーは、トランプ大統領やその政策に反対する姿勢を公然と示してきた。以前には、ラテン系住民の大規模国外追放への懸念を理由に、米国本土での公演を避け、プエルトリコに31日間滞在して公演することを決めている。

バッド・バニーはスーパーボウルでも通常通りスペイン語でパフォーマンスを行う予定だ。

「素晴らしいショーになると確信している」とグッデルは話している。

「彼は自分が立つ舞台を理解している。興奮に満ち、皆が一体となる瞬間になると思う」

スーパーボウルは2月8日(日)にカリフォルニア州サンタクララにあるサンフランシスコ・49ersの本拠地、リーバイス・スタジアムで実施される予定だ。トランプ大統領が現地に赴くかどうかは不明だが、彼は第2次政権発足後、大規模なスポーツイベントへの出席を重要な活動の一環としてきた。

トランプ大統領は保守系メディアの『Newsmax(ニュースマックス)』の取材でバッド・バニーの名前を「聞いたこともない」と述べている。

「彼が誰なのか分からない」と述べたトランプ大統領は「なぜ彼らがそうしたのか分からない。正気の沙汰じゃない。しかも、その責任を、出演者を手配するために雇ったプロモーターに押しつけているようだ。完全にばかげていると思う」と続けた。

水曜日、グッデルはこの決定を擁護し、バッド・バニーの圧倒的な人気を理由に下された判断だと説明した。

「彼は世界で最も有力で人気のあるエンターテイナーの1人だ。私たちが起用しようとしているのはまさにそういう人だ。スーパーボウルは私たちにとって重要な舞台であり、今回の起用はエンターテインメントの価値を高める重要な要素だ」とグッデルは話している。

また、グッデルはフットボール運営部門上級副社長のトロイ・ビンセントが火曜日に述べたことを踏まえ、春に禁止案が僅差で否決されて以来、QBスニークの一種であるタッシュプッシュプレーについての議論はあまり行われていないと明かした。

ビンセントは、フィラデルフィア・イーグルスがこれまでに何度も成功させてきたプレーについては、判定の難しさが最大の懸念点だと述べた。タッシュプッシュプレーは今回のミーティングで正式な議題に含まれなかったが、オーナーたちはペナルティやその他のフットボール関連事項についての最新情報を得ている。

グッデルは「これは他のすべての面と同様に、あらゆる段階で引き続き監視していくものだ。復活させる提案は今のところない。何か進展があっても驚かないが、それは私たちがシーズン中に注力していることではない」と述べた。

リプレーレビューやその所要時間について問われたグッデルは、いわゆるダイナミックキックオフの調整後にキックリターンが増えたにもかかわらず、実際には今シーズン最初の7試合で試合時間が昨季よりも短くなっていると答えた。

「キックオフの回数を踏まえると、それはかなり驚くべきことだ。ファウルが増えて、種類も変わり、試合時間も少し長くなるはずだからだ」とグッデルは話している。

グッデルは今シーズン、とあるインターナショナルゲームの前にNFLPA(NFL選手会)の暫定事務局長であるデイビッド・ホワイトと朝食を共にしたと明かした。一方、18試合制レギュラーシーズンへの移行やその他の労使協定に関する議論は、選手会が正式なリーダーを選ぶまで持ち越されると見込んでいる。

現在の団体労働協約(CBA)は2031年シーズンまで有効だ。ホワイトは先月に『Associated Press(AP通信)』に対し、18試合制への移行は必然的なものではないと語っている。

「交渉は18試合と2試合(のプレシーズンゲーム)の話だけにとどまらないだろう」とグッデルはコメントした。

「私たちが提起する課題は山ほどあるし、選手側も同じようにするだろう。それがあるべき姿だし、団体交渉の本質だ。選手たちには準備し、交渉に備え、優先事項を整理する時間が必要であり、交渉を始められるのはそれが整ってからだ」

グッデルは、2028年シーズンと2029年シーズンの締めくくりとなるスーパーボウルの開催地を選定する作業が進められており、来年には発表される見込みだとも明かした。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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