QBブリセットのタッチダウン3回でカーディナルスが連敗脱出も復帰次第QBマレーが先発へ
2025年11月05日(水) 13:44
苦しい敗戦が続いた5週間を経て、アリゾナ・カーディナルスがついにマンデーナイトの試合で勝利をつかんだ。
これまで接戦を落とし続けてきたカーディナルスは、クオーターバック(QB)ジャコビー・ブリセットの奮闘により、現地3日(月)夜に行われた試合でダラス・カウボーイズに27対17で勝利。リーグ最長となっていた5連敗に終止符を打った。
負傷中のQBカイラー・マレーに代わり、3試合連続で先発したブリセットは、この試合で3つのタッチダウンを挙げている。31回中21回のパスを成功させ、261ヤードとタッチダウン2回を記録。さらに、QBスニークでもタッチダウンを奪った。ベテランQBは計5回の得点ドライブを指揮し、そのうち2回は今季のカーディナルスオフェンスにとって最長となる74ヤードのドライブを連続で決めている。
ダラスでの勝利についてブリセットは「そのためにやっているんだ。NFLで勝つのは本当に難しい」と語った。
「アウェーで勝つのはさらに難しい。思うようにプレーできない上に、外からの雑音に惑わされるような時は特にね。そんな状況でロッカールームに戻って、また一歩を踏み出すのは簡単じゃない。でもこのチームの仲間たち、コーチ陣、サポートスタッフは、いつも一歩ずつ前へ、一日ずつ積み重ねようと口にしている。結果を追い求めすぎなければ、結果は自然とついてくる。あとは自分たちの努力を信じるだけだ」
一方、ここ3試合のブリセットの好調ぶりにもかかわらず、カーディナルスのヘッドコーチ(HC)ジョナサン・ギャノンは、足のケガが完治し次第、マレーを先発に戻す方針を崩していない。早ければ次戦の首位シアトル・シーホークスとの対戦で復帰する可能性もあるという。
「そうだ、何も変わっていない」と断言するギャノンHCに対してさらに質問が及ぶも、それ以上のコメントを控えて話題を打ち切った。
「その件については何も付け加えることはない」とギャノンHCは述べている。
ブリセットが先発した過去3試合で、オフェンスの生産性は大幅に向上している。マレーが出場した時の平均得点18.8点、パス獲得ヤード170.2ヤードに対し、ブリセット先発時は平均25.7点、パス獲得ヤード256.3ヤードを記録している。
月曜日の試合では、2年目ワイドレシーバー(WR)マーヴィン・ハリソンJr.が自己最多となるキャッチ7回、96ヤード、タッチダウン1回と躍動した。
ハリソンJr.がチャンスを生み出した理由を問われたブリセットは、「パッドを着けて、フィールドに立った。ただそれだけさ」と答えている。
「バスを降りた瞬間から、今日は彼がオープンになると分かっていた。アウトサイドでチャンスが生まれると確信していた。これは彼が積み上げてきた成果であり、確かな一歩だ。バスを降りたときの彼の目を見れば分かった。ロッカールームでコーチが最初の数プレーを伝えてきて、“少し変えてマーヴのためにこれをやる”と言った。それで“分かった”と答えて、最初のドライブで4回連続で彼に投げたと思う。相手が同じ守り方を続けるなら、試合を通して投げ続けようかと思ったくらいだ。彼の活躍が本当にうれしい。もっとターゲットになりたかっただろうし、俺もそう思う。いくつか通したかったプレーもあったけど、とにかく素晴らしかった」
また、注目株のタイタエンド(TE)トレイ・マクブライドは3試合連続でタッチダウンを記録。カーディナルスのTEとしては1987年のロブ・アウォルト以来の快挙だ。マレーとともに出場した39試合ではタッチダウン5回だったが、ブリセットが先発したわずか3試合でマクブライドは4本のタッチダウンを挙げている。
ギャノンHCはブリセットを「彼はよくやっていた。しっかり試合を運んでいた」と称賛した。
【先発QB別カーディナルスオフェンス比較(2025年シーズン)】
| カイラー・マレー | ジャコビー・ブリセット | |
| 平均得点 | 18.8点 | 25.7点 |
| 平均パスヤード | 170.2ヤード | 256.3ヤード |
| 第3ダウン成功率 | 39.70% | 56.10% |
| 平均ターンオーバー | 1.2回 | 0.7回 |
| スリーアンドアウト率 | 30.00% | 13.80% |
マレーはテネシー・タイタンズに21対22で逆転負けを喫したシーズン第5週の試合で負傷した。5連敗のちょうど中間点にあたる試合で、5試合の合計得失点差はわずか13点。これは2017年のサンフランシスコ・49ersと並び、NFL史上最も僅差の5連敗記録だった。
開幕2連勝と好スタートを切ったカーディナルスだが、その後の5試合はすべて1ポゼッション差の敗戦。いずれも残り5分を切ってから逆転を許している。第3週から第5週にかけては、49ers、シアトル・シーホークス、タイタンズに対し、いずれも試合終了間際のフィールドゴールで敗れるという、信じがたい形での連敗が続いた。さらに続くインディアナポリス・コルツ戦とグリーンベイ・パッカーズ戦でも、残り4分32秒と1分50秒で逆転タッチダウンを許した。
月曜日の試合でカーディナルスは第4クオーター開始時点で17点のリードを奪っていた。
ところが、カウボーイズのQBダック・プレスコットがワイドレシーバー(WR)ライアン・フルーノイへのパスでタッチダウンを決め、瞬く間にスコアは27対17となり、カーディナルスのリードは10点差に縮まった。
そこから試合は必要以上の接戦となったものの、今回はブリセット率いるチームが逃げ切った。
ディフェンシブエンド(DE)カライス・キャンベルは「今のジャコビーの活躍はいくら称えても足りない」と『NFL Network(NFLネットワーク)』のオマール・ルイスに語った。
「彼は本当に素晴らしいプレーをしている。集中して、求められることを確実にこなしている。先発クオーターバックを失った状態で勝つのはNFLでは本当に難しい。でもジャコビーが代わりに出ても乱れずに戦えている。それは俺たちにとって大きい。彼は本当に信じられない存在だ」
いくつものチームを渡り歩いてきたブリセットにとって、この勝利は先発試合での連敗を6で止めるものとなった。最後に勝利したのは、ニューイングランド・ペイトリオッツのQBとしてプレーしていた昨シーズンの第1週。そんなブリセットは先発に関する判断については一切言及しなかった。
「そういうことには関わらないようにしている」とブリセットはコメント。
「自分はただフィールドに出て、試合に勝って、良いチームメートでいること。そしてチャンスをもらったときにベストを尽くすことだけを考えている。それが自分にできるすべてだ」
さらにブリセットは、自らを勝利の立役者とすることもなかった。だが、そこにこそリーダーとしての姿勢がある。
「自分のおかげだとは思っていない。本当に思っていないんだ」と彼は言う。
「シーズン序盤は誰もが結果に一喜一憂するものだ。うまくいかない時期もある。でも、このリーグで強いチームというのは、成長を続ける方法を見つけるチームだ。俺たちは今まさにその段階にいて、どうやってさらに良くなるかを探し続けている。修正を重ね、立ち返って考える。試合後には、ここをもっと良くできた、あそこもこうするべきだった、と話し合うつもりだ。そうやって取り組めていることが今のチームのいいところだ。だから自分の手柄だとは思っていない。時間をかけて、シーズンを通して、もっと良くなっていくだけだと思っている」
【R】



































